検察審査会の決議：この国はどうかしている

　『日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、・・・そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。』

　上述の文章は、日本国憲法の冒頭に述べられている。主権が国民にあることを示す言葉である。この国の憲法が規定する国政選挙によって選ばれた何万～何十万の民意の代行者である国会議員を、しかも司法の手によって不起訴とした結果を僅か１１人の検察審査会の民意によって毀損することは許されるべきではない。

　筆者は検察審査会法は原則として、国政選挙によって選ばれた人に適用すべきではない、憲法の趣旨に反していると思う者である。それにしても最低限、検察審査会の審査の内容は公開されるべきである。選ばれた審査員はわずか１１人である、素人の民間人を誘導することはさして難しいことではないだろう。１１人を買収することだって絶対ないとは言えない、密室の審議によって議決される危うさを払拭することはできない。

　かかる国会議員の問題は、司法の厳正な捜査と取調べの結果に付託すべきであって、僅か１１人の民間人の判断によって起訴・不起訴を問うべきではない。議員に問題があるとすれば、それは本来的に選挙による洗礼によって、国民の審判を仰ぐのが筋である。

　昨年5月に施行された改正検察審査会法に基づき、２度の起訴相当の議決で小沢氏は、東京地裁が指定する弁護士によって強制起訴されることになった。昨年５月と言えばまだ自公政権時であり、この制度を国会議員に適用すること自体が憲法に抵触するおそれがあるにもかかわらず、昨年取り急ぎ導入された経緯をみると、当時から小沢氏が台頭することを恐れて敢えて導入されたのではないかという疑念を抱かせる（まさか検察とその背後にいる妖怪が仕組んだ？）。

　小沢氏の「政治と金」問題に関して、検察の厳しい捜査にもかかわらず、西松建設問題は、嫌疑不充分で不起訴となった。そして今回検察審査会に問われている陸山会の土地購入問題に絡んで三人の秘書・元秘書らの起訴されてはいるが、判決はまだ出ていないものの、とても罪に問えるような代物ではないことが、明らかにされている。それを今回大阪地検にみられるように腐った検察が、敢えて罪が存在するかのように、仕立ててきた。それに便乗して検察審査会が起訴相当としたのである。

　裁判によって無罪になるかならないかが問題ではない。来年３月まで菅政権がもつかどうか、この次はなんとしても小沢氏の力が必要なときである。それを今回の審査会が起訴することで小沢氏の出番を阻むことになることが問題なのである。検察審査会の１１人のメンバーは、民主主義を破壊するテロリストたちである。テロリストに仕立て上げたのは誰だ？

　この国はどうかしている。