「風間陽水の依頼簿（カルテ）・1059」

カルテ番号　あ・28　9度目（8）

そんな話をしていると、玄関から声がした。
「ごめん下さい。柳です」
ハッキリとした大きな声だ。
「吉永です」
声は通るが、小さめな声だった。
「どうそ。上がって下さい」
風間陽水は、少しワクワクしていた。
この三人の初対面の様子に。

「まずは、お互い座りましょう」
陽水の勧めに従い、柳玲香と吉永百合。
小さいテーブルを挟んで、陽水と愛田恵子。
「初めまして、柳玲香と申します」
「こんにちは、吉永百合です」
「アタシは、愛田恵子よ」
そのまま、お互いは黙ってしまった。

柳玲香は大きな目をより開いて愛田恵子を見ている。
対象的に吉永百合は伏し目がちだった。
愛田恵子は静かな眼差しだった。
そして、愛田恵子が口火を切った。
「柳さん、歳は幾つかしら？」
「35歳です」
この時に、吉永百合も初めて玲香の歳を知った。
「自分の変化に気づいた？」
愛田恵子の口調は相変わらずだ。

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）

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