「冶三郎の清水」の写真を撮るついでに、市野新田まで足を伸ばしてきた。
前回紹介した「大沢のブナ林」に次いで「市野新田のブナ林」を紹介する。
国道353号線で峠を越え女谷集落に入るとすぐ左手に柏崎市の観光案内のカンバン、そのすぐ奥に「綾子舞発祥の地」の看板が見える。そこを右に曲がり「綾子舞会館」を左に見ながら、道なりに行くと市野新田集落に行き着く。条理型の道ではないのでわかりにくいかも知れないが、林道に迷い込まなければ何処かにつながっているが、人を見かけることは少ない。尋ねたい場合は「綾子舞会館」に行くのが良いだろう。
市野新田自然散策マップ
見えづらいかもしれないが、「石割桜」「米山きのこ園」「ブナ林とミズバショウ」「リュウキンカ(湿生植物園)」「不動滝」「鵜川源流」などが記されている。今回紹介するのは、「現在地」と記されている場所から右下のブナ林。
このカンバンがある辺りはこんな感じ。
ブナ林の入口
この道をずっと──といっても距離は僅かだが──行くと
──何故か目的のよくわからない展望台があるのは、もうすぐここがダム湖畔になるからのようで、この展望台は未来のダム湖に向って作られているらしいのだが、私には完成予想図を見てもピンと来ない。
畑の手前には車が停められるスペースがある。
ダムに関して詳しくは「北陸農政局 柏崎周辺農業水利事業所」のHPを参照のこと。高柳地区の「栃ケ原ダム」、西山地区の「後谷ダム」のことも記されている。いずれももうすぐ竣工だ。
林内の踏み分け道を行くと……
ここでもやっぱり林床にはブナの幼芽が一面芽吹いている。(左)中央下はコシアブラ。林内の植物の種類はあまり多様ではない。
右の光沢のある葉はハルユキノシタ。
林縁に生えていたコハウチワカエデ。
あえて写真は撮ってこなかったが「生活道路につき立ち入り禁止云々」の看板が此処彼処にある、というのはこの時期「ホタル見物」に訪れる人が多いからで、家の庭先に入り込まれてはかなわないという思いは誰でも同じだろう。静かな集落の静かな生活を乱すことのないようにしたい。
先の看板に記されている「不動滝」の水も旨いのだが、夏場は草刈の手が廻らないようで、去年訪れた時は道は草薮の中だった。今年は力を入れて管理すると聞いているのだがどうなるだろう。瀧のすぐ近くまで車で行ける。
湧き水ついでにもうひとつ。
写真を撮りに行って後気が付いたのだが、女谷の上野集落にある「金山(かなやま)不動尊」のちかくに湧き水がある。
ソフィアだより(柏崎市立図書館だより)120号の記事によれば、「──眼病に効果があると評判であった。眼病の治療のため、遠近を問わず多くの人がこの清水を訪れ、不動尊堂で平癒を祈願した」とある。眼病に効く湧き水謳った例は多く、宮場の鵜川神社でも聞いた。栄養状態の良くない昔の日本人には眼病者が多かったのは、『東講商人鑑』や、黄表紙の中に折り込まれた夥しい目薬の広告でも知れる。目に対する理学治療がなかったからなおさら切実で、信仰と結びついたのだろう。
上野集落は市野新田集落の手前だ。
(陸)