放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

石田組2023-The First Inpact

2023年12月02日 23時31分43秒 | 観劇日記
2023年12月1日、東北電力ホールにて19:00開演。
それは、おもむろに始まった。
シベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」。
その瞬間に僕は天上高く舞い上げられたような錯覚に包まれた。

空はいちめんエメラルドグリーン、藍色、孔雀石色、あらゆる種類の青と緑がきらきらと鋸歯形、あるいはあらゆる抽象的なモザイクに編み上げられてゆく。たえず色彩は透明でうつろい、模様はゆらめく。天地というものはなく、ただひたすらに輝く空だけがうごめいている。

なんだこれは。
目を開けると、木目調の茶色いステージに黒い服を来た奏者が10人立っている。
(正確にはコントラバスとチェロ✕2の合計3人は座っていた・・・)
目を閉じると再びターコイズ色の光のモザイクが頭上を覆ってくる。

それが弦楽器の奏でる音から来る幻覚のようなものだと気がつくのにしばらく時間がかかった。
仕事帰りで直行したので確かに綿のように疲れてはいたが、こんな不思議な体験をするとは思わなかった。

その繊細で緻密な音は奇跡に近い。
これが形も大きさも制作時代も異なる弦楽器が一斉に奏でていることを思えば、奇跡の度合いはますます大きい。

クラシックのコンサートはほぼ初めて。聴き方もエチケットも知らない。
とにかく咳払いなどしないで、じいっと聴こうと思っただけ。
最初の一曲目からその鮮烈な世界観に一瞬で連れて行かれた。

石田組長・石田泰尚さんのことはNHKのコンマス特集の番組で知った。
その硬派(?)な風貌と繊細な音色のギャップに驚かされた。
で、BELAちゃんが石田組コンサート情報のリサーチを始め、仙台公演を察知。チケット確保に至る。毎度ながらBELAちゃんの「引き」の強さは驚異的。ありがとう。

前置き無しでおもむろに始まった演奏。
前半MC一切なしでプログラムがどんどん進んてゆく。
合間のチューニング(調律)も手早い。
勿体ぶっているところが一秒もない。
「とにかく聴け。そして感じろ」という風で小気味よい。
ステージは一切の飾りつけがない。照明も動かない。
楽器用のマイクもない。
ただ、名器と超一流の技術で紡ぐ音だけがホールを満たしてゆく。

この上ないほど贅沢なひと時でした。
弦楽器って、こんなに自由なの?こんなに表現できるの?

アンコールで「津軽海峡・冬景色」を、まさかのナマ声でご披露いただいたのは驚きました。
組長さん最高。会場も大喝采。

世の中にはまだまだいい音楽がいっぱいありますね。
であえてよかった。
来年の福島公演も行きたい!
パイプオルガンのあるホール「夢の音楽堂」へ!

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