大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

行秋の奈良~飛鳥の白鳳伽藍「薬師寺」

2015年10月31日 19時26分20秒 | 行く秋の奈良探訪
東大寺・大仏殿を辞して、近鉄奈良駅へと向かう途中、奈良市内から薬師寺へのバスが運行していることが判明しました。
ちょうど奈良県庁前に停留所があったので、ここからバスに乗車し、およそ30分で薬師寺に到着しました。

薬師寺西塔

バス停からほんのわずかな距離で北入山口(受付)に到着です。ここで拝観料を納めます。

拝観料チケット
薬師寺パンフレット
薬師寺境内図

かつて50年前に訪れた時の記憶はまったくないので、ここ薬師寺も初めての訪問といってもいいくらいです。

北受付から境内へと入るのですが、まず目に飛び込んでくるのが境内の工事中の柵や建屋です。北受付から入るとすぐに「食堂復興工事」とやたら目立つのが国宝「東塔」の解体修理の大きな建屋です。これらの工事や修理作業はいたしかたないのですが、せっかくの美しい伽藍の様子が興ざめしてしまうくらいの景観になっています。

そんな様子を横目でみながら、薬師寺の境内の散策を始めることにしました。平日の午後ということもあるのですが、参拝客はほとんどいません。
私たちは北受付からの入場をしたので、まずは境内の南端にある南門へ進み、そこから北方向へ移動することにしました。

薬師寺の境内の伽藍の配置は南門から直線状に中門、金堂、大講堂そして食堂跡が並び、西塔と東塔、西僧坊と東僧坊が左右対称になるように配置されています。(境内図参照)

南門からは中門が真正面に見ることができます。

南門から中門を背景に

中門は昭和59年(1984)に再建されたもので、平成3年(1991)には中門の両側に二天王像が復元安置されています。

二天王像
二天王像

中門からは直線状にどうどうとした姿の「金堂」が構えています。

金堂
金堂
金堂を背景に

金堂は昭和51年(1976)に再建されたものです。この金堂の堂内には国宝の薬師三尊像(薬師如来・日光菩薩・月光菩薩)が安置されています。

そしてこの金堂前の広場の東西に二つの塔が置かれているのですが、前述のように国宝の東塔は修理解体中とのことで大きな建屋の中に隠れています。修理解体が終わるのが4年後の平成31年です。

東塔に相対するように置かれているのが「西塔」ですが、こちらは昭和56年(1981)に復興されたものです。

西塔
西塔
西塔
西塔

美しいお姿の薬師三尊像を拝んで、大講堂へと向かいます。そして振り返ると金堂と西塔が浮かび上がります。

金堂と西塔

そして現れるのが美しい大講堂です。

大講堂
大講堂

真新しい大講堂は平成15年(2003)に再建されたものです。正面41メートル、奥行20メートル、高さ17メートルあり、薬師寺の白鳳伽藍最大の建物です。大講堂には弥勒三尊が安置されています。

薬師寺白鳳伽藍群を見て回りましたが、ほとんどの建造物が昭和そして平成に再建されたものが多く、古(いにしえ)の香りと古さを感じることができませんでした。とはいえ、天平の時代にはおそらくこんな風に堂宇が立ち並んでいたんだろう、という思いは強く感じました。
これら再建された建造物も数百年後には重要文化財または国宝に指定されることを願いつつ、玄奘三蔵院伽藍へと移動することにします。

北受付から白鳳伽藍を退出し、道を隔てて北側一帯の敷地が玄奘三蔵院伽藍になっています。この施設は平成3年(1991)に造られたもので、その中心をなす建造物が玄奘塔です。法隆寺の夢殿を思わせるような建物です。

広い敷地のはるか向こうに玄奘塔が置かれています。

玄奘三蔵院伽藍
玄奘塔

玄奘塔には法相宗の始祖である玄奘三蔵の遺骨を真身舎利(しんじんしゃり)として奉安され、須弥壇には玄奘三蔵訳経像を祀っています。
尚、玄奘塔は写真撮影が禁止されているため、至近からの画像はありません。

当施設の中で、玄奘塔の裏手にある大唐西域壁画殿には日本画家・平山郁夫が30年をかけて制作した、縦2.2メートル、長さが49メートル(合計13枚の絵)からなる「大唐西域壁画」が展示されています。これは一見の価値があります。

ほとんど記憶に残っていない50年前の薬師寺の姿とは大きく変わってしまったのかもしれませんが、薬師寺が抱き続ける白鳳時代への回帰の神髄に触れたことに感動した今回の訪問でした。
そして伽藍の完全復元を願うとともに、遠い将来まで薬師寺の伽藍建築が伝え残されることを期待しています。

私たちはこのあと、奈良訪問の最大の目的である唐招提寺へと向かいます。

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