大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

祝・議会開設120年記念~国会議事堂特別参観(12月4日)~

2010年12月04日 16時37分51秒 | 国会議事堂
明治23年(1890)11月29日に帝国議会が開設されて以来、今年(平成22年)で120年を迎えるのを記念して12月4日(土)と5日(日)の両日に限って、国会議事堂衆参両院本館の通常では入れない場所が公開されるのを聞いて、早速行ってきました。

地下鉄国会議事堂前駅の改札口に国会の係員が親切に誘導してくれます。地上出口から黄色に色づいた銀杏並木を見ながら、国会正門へと向かいます。
雲ひとつない晴れ渡った秋空の下、数十年ぶりの化粧直しを終えた議事堂は黒ずみが消え、美白の美しい顔立ちになっています。これまで国会議事堂には百数十回ほどきていますが、正門から入館するのは初めてです。正門には「国会特別参観入口」の看板が立てられ、国会前庭には白いテントがいくつも並んでいます。

国会正門前
国会正門前庭テント

受付で「議会開設120年記念」特別パンフレットと参観順路を帰したマップと受け取り、いよいよ議事堂正面の中央玄関へと向かいます。

国会前庭
国会議事堂正面

この中央玄関は「開かずの扉」と言われるくらいに、めったに開くことはありません。開くチャンスは国会の召集日に陛下がお越しになるとき、外国要人が来られるとき、衆参選挙の後の議員の初登庁のときに限られているんです。このめったに開かない正面玄関への階段をゆっくりと踏みしめながら重々しい雰囲気が漂う玄関内部へと進みます。なんと厳かな雰囲気なのでしょう。入口の青銅製の扉の重量は一枚約1トンです。この扉を間近で見られるのもめったにないことです。

国会正面中央玄関
国会中央玄関扉

玄関に入るとロイヤルレッド色の絨毯が敷かれた階段が現れます。身が引き締まる思いで、しばらく立ち止まり見とれてしまいました。このめったに体験できない機会にそばにいた衛視さんに写真をとってもらいました。

中央玄関から中央広間へ
中央玄関の階段にて

赤絨毯が敷かれた階段を上がると、そこは中央塔の真下に位置する中央広間の大きな空間が私たちを威圧するように現れてきます。この広間には以前に何度か訪れたことがあるのですが、今日は写真撮影ができるということで思う存分にシャッターを落としてきました。

中央広間から上を見上げる

この広間は2階から6階までの吹き抜け構造で、天井までの高さは32.62m、天井部分は畳50畳分の広さを持っています。そして何といっても最大の見どころは広間の隅に立つ、3人の銅像です。我が国の憲政史に残る偉大な政治家である伊藤博文、大隈重信そして板垣退助が3隅に立っています。

板垣退助像
大隈重信像
伊藤博文像

そして広間の上方を見上げると四面に嵌め込まれた扇型の美しいステンドグラスと四隅に描かれた日本の四季の景色が目に飛び込んできます。



正面玄関に繋がるこの中央広間も凛とした空気と厳かな雰囲気に包まれています。

そして中央広間の一番奥からさらに上につづく階段は一段と神々しさを増して私たちの前に現れます。この階段こそが陛下専用の階段で、陛下はこの階段をのぼって陛下のお部屋である「ご休所」へと進まれるのです。

陛下専用の階段

順路はこのあと中央塔直下の一番奥へと進んでいきます。おや?と思うほどテレビのニュース番組でよく見る場所が現れます。総理が中央に座り、各大臣が両袖に並ぶ様子がテレビに映る大臣室なのですが、「へえ~、こんな奥にあったのか」と少し驚きました。

大臣室

このあと順路に従い赤絨毯が敷かれた廊下をしばらく歩いて参議院議場入口に到着します。通常の国会参観では一般傍聴席から議場全体を上から俯瞰するのですが、今日は議員先生が議席に向かう時に使用するドアから入り、議席の間の通路を進み、速記者席脇を通るという、普通ではめったに体験できないような参観ルートが設定されていました。

陛下のお席を仰ぎ見る
参議院議場
参議院議場

議席レベルから見上げる議場全体は500畳敷きの広さを肌で実感できるものでした。

参議院議場を横断するように突き抜け、廊下を進むと次に現れるのが「参議院議長応接室」です。おそらくテレビのニュース映像でも見ていたと思われる部屋なのですが、実際に見る部屋の色合いは古い時代のカラー写真を見ているようで、国会議事堂の80年余りの歴史がひしひしと伝わってくる瞬間でした。

参議院議長応接室

参議院本館2階部分の参観を終え、階段を上って3階へと進みます。3階にあがるとすぐに参議院本会議場を上から見下ろして見る「公務員席」入口、そして廊下を進み左へと回り込むと参議院第三委員会室、同第二委員会室とつづき、更には委員会室で最も重要な参議院第一委員会室が次から次へと現れます。これら委員会室の内部の荘厳な雰囲気は日本の唯一の立法府としての権威を象徴するようなインテリアと壁面に掲げられた絵画や肖像画でより一層高められているようです。

参議院第三委員会室
参議院第一委員会室

この後、長い廊下を進み議事堂中央部へ向かいます。前方にくっきりと浮かびあがる場所が見えてきます。国会の中でも最も重要な部屋の一つである「陛下のご休所」が置かれている所です。漆喰塗りの天井、その天井に嵌め込まれているステンドグラス、国産の大理石が埋め込まれ美しいモザイク模様が描かれた床など、他の場所とは異なった雰囲気が漂っています。

ご休所へとつづく廊下
廊下から中庭を望む
ご休所前広間

通常の国会参観では絶対に写真が取れない場所なのですが、今日は特別なのでしょうか撮り放題の状態です。この時とばかりに節操なく撮り続けました。陛下のご休所内部、皇族室内部など恐れ多いのですが写真をとってしまいました。

陛下のご休所内
ご休所入口の大理石飾り
皇族室
ご休所前広間の賑わい

ここで余談ですが、国会議事堂の建設費用は当時の価値で2600万円弱と言われています。実は陛下のご休所、皇族室部分だけで総費用の10%が費やされていると言われています。それだけ贅沢に造られているのです。

後ろ髪を引かれる思いで、ご休所前から再び中央広間を囲むテラス部分へとやってきます。テラスから見下ろす中央広間はいつになく照明で明るく浮き上がって見えます。

テラスから広間を見下ろす

テラスを一回りして、いよいよ今度は衆議院側へ入ってきます。廊下の柱に備え付けられたアメリカ製の郵便ポスト、そして野党自民党の控え室に掲げられた興味溢れる看板を見ながら衆議院本会議場へ到着です。

アメリカ製の郵便ポスト
興味ある看板
衆議院本会議場

本会議場の傍聴席の後ろの通路を歩いて見学した後に、これまたテレビのニュース映像でたびたび見ることがある「衆議院第一委員室」に到着です。この場所も普通ではめったに入れない場所で、予算委員会の会場として与野党が論戦を戦わす様子をテレビ中継で見ることができます。テレビ画面で見ると、少しくすんだような色合いなのですが、実際には結構明るく温かみを感じる雰囲気を漂わせています。

衆議院第一委員室

衆議院3階部分の参観を終え、2階へと階段で下りていきます。最後に衆議院議長応接室が待っています。室内の壁には歴代の衆議院議長の肖像画が掲げられ、歴史の重みを感じさせてくれます。

歴代衆議院議長肖像画
衆議院議長応接室
衆議院議長応接室暖炉

大満足の充実した参観を終えて、国会議事堂の裏側から退出しました。そこには新築なった衆議院第2議員会館が聳えていました。

衆議院第2議員会館
色付く銀杏の葉と議事堂

国会議事堂・衆議院本館見どころ紹介(1)
今、大人気!国会議事堂・衆議院本館をとことん楽しむコツ(その1)
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