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ラ・ミゼラブルは子供の頃以来、何度か本を読み、そして2005年の年末にミュージカル「「Les Miserables」を梅田芸術劇場にて鑑賞、産まれて初めての(子供の頃の児童向けミュージカル以外で)ミュージカル鑑賞だった。
しかし早いストーリー展開についていくのに苦労したのと、ラストが「こんなんやったっけ?」というハテナマークで、ちょっと腑に落ちてなかった。
過去にもこの「レ・ミゼラブル」は何度か映画されているけど、どれかわからんがどれかを一度だけ観た記憶がある。
19年の服役後、仮釈放となったジャン・バルジャン。彼は宿を借りた司教の家の銀器を盗むが、司教はバルジャンを許し、バルジャンは実も心も生まれ変わることを決意する。8年後、彼は市長にまでなっていた。バルジャンはファンテーヌという娼婦と知りあい、彼女の娘・コゼットを里親から取り戻すと約束をする。しかしある刑事の出現をきっかけに、彼の過去が暴かれることとなり、彼は自分の正体を告白し、コゼットを連れて逃亡する…。
とにかくキャストがすごい、予告編で、ヒュー・ジャックマン(Jean Valjean)、ラッセル・クロウ(Javert) 、アン・ハサウェイ(Fantine)、アマンダ・サイフリッド(Cosette)、ヘレナ・ボナム=カーター(Madame Thenardier)・・・これを知っただけで絶対に観なけりゃとなる。
その上、予告編の切り取り方がとんでもなく巧みで、思いっ切り心を持って行かれた、観るしか無いでしょ!

ミュージカル映画史上最高の出来映えと言っていいだろう。
台詞はほとんど全て歌、徹底的に歌、ミュージカル以上に台詞のほとんどが歌、これまで観たミュージカル映画とは比較にならないくらい徹底的に台詞は歌。
これが受け入れることが出来る人と、どうしても受け入れることが出来ない人で、この映画の感想は、はっきりと分かれるだろう。
しかしただ台詞のほとんどを歌にして徹底的にミュージカルにこだわったのだ、という短絡的なことではなくて、この映画では、その台詞に変わる歌を、アフレコ使わず、演技の時の生の声でレコーディングされたということ。
これがほんとに今までのミュージカル映画とは一線を画すところ。
結果、取って付けたような歌台詞にならずに、普通の映画の台詞以上にレ・ミゼラブルらしく台詞が生きていた。

キャストが豪華なだけということは無く、セットやロケーションや衣装も素晴らしく、話しのテンポもあくまでもミュージカル版を題材にしているがエピソードの割り振りも見事で(コゼットの預けられているテナルディエの安宿の場面がちょっとめんどくさかったが)、2時間38分の尺は、長くもなく短くもなくきちっと収まっており、退屈することもなく長尺でありながら集中力が切れることはない。(そういう意味ではテナルディエの安宿の場面はちょうどいい休憩だったのかなww)
「レ・ミゼラブル」(Les Misérables)は、ヴィクトル・ユーゴーが1862年に書いた、ロマン主義フランス文学の大河小説、日本では「噫無情」(ああむじょう)と呼ばれていた。
愛と真理と友情と信仰と民主主義と善悪、そんなテーマを、1本のパンを盗んだために19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯を通じて描く名作だ。
ミュージカルにしても映画にしても、原作をずいぶんシェイプアップしているが、しかしそれはそれでいいのだ、自分的には別物。
梅田芸術劇場で観たミュージカルよりも、この映画の方が、しっかりと最後の最後のエピソードまで丁寧に描いてくれていたので、自分的にはこっちの映画の方がお腹の中に落ちるのだけど。

アン・ハサウェイがほんまにありえないくらいに素晴らしい。
ヒュー・ジャックマン(Jean Valjean)とラッセル・クロウ(Javert)の壮絶な役柄と演技はもちろん凄いのだけど、彼ら二人を引き立てているのは、間違いなくアン・ハサウェイ(Fantine)によるものなのだ。
この映画は、いうまでも無く、大きなスクリーンで、そして映画館の素晴らしい音響で味わって欲しい!(と、言いつつ、絶対的に評価は分かれるよ、あの歌台詞を受け入れるかどうかやから)
またよろしくです♪