先日、「名古屋の近代建築」ツアー(講師・川島智生先生)に参加し、一番最初に訪れたのが一宮市の墨会館でした。設計は丹下健三で、織物加工業・艶金(つやきん)興業の本社社屋として昭和32年(1957)に完成しました。
墨会館という名前はこれまで全く聞いたことがなく、事前にネット等で見た写真もコンクリート塀に囲まれた閉鎖的&無機質な建物といった印象で、正直なところさほど期待していませんでした。この日は曇りがちの天気だったこともあり、実際に現地に到着したときも、インパクトは感じたものの、モノトーン&グレーの外観を見てあまり感動といったものはありませんでした。
しかし、敷地内に入って解説を聞き、見学が進むに連れて、次第に丹下建築の凄さ・素晴らしさに驚嘆するのであった(汗)。
なお、現在は地域の公民館に生まれ変わるための改修工事の最終段階でした。
三角形の敷地の北側は二階建ての(旧)事務所棟です。ぱっと見た雰囲気は、装飾を排した現代風のお寺のようにも感じます。しかし、敷地内&建物内には素晴らしい景観やデザインが隠されていたのでした。
当日の見学順序とはちょっと異なるのですが、正面を入った向こう側(間にテラコッタの障壁あり)には伸びやかな広い中庭があり、建物・松(?)・芝生・石が実に良い感じで配されていました。
↓この中庭&中庭越しの眺めを見て私が思わず発した言葉は「おーっ、カッコイイ!」でした(笑)。
広い空が見えるのもいいですね。
そして、事務所棟の2階へ。
この吹き抜けの空間も広々としており、とても明るいです。天気が良ければ、ここにも光がもっとあふれていたでしょうね。
階段を上がったところの佇まいも素晴らしいです。コンクリート、金属、木、タイル、カーペットなどの質感や色合いとそのバランスが絶妙。シンプルbutビューティフル!
先ほども書きましたが、ここに日の光と、そこで生み出される陰影を見たかったです。
閉鎖的に見えた外観の内側にこのように開放的な空間が広がっていたとは・・・。
コンクリートが生み出した軒の出の構造美(ダブルビーム?)。
こちらは丹下らしい力強さが表れているとも言えます。
以下、その2に続く予定です。