先日(と言っても、2週間も前のことですが)、生まれ変わったフェスティバルホールのオープニングシリーズである「東京都交響楽団 大阪特別公演」に行ってきました。”インバル=都響のチィコフスキー”と銘打たれたコンサートのプログラムは下記の内容でした。
指揮 :エリアフ・インバル
チェロ:宮田大(②)
①ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
②チャイコフスキー:ロココ風の主題
による変奏曲
③チャイコフスキー:交響曲第5番
当日は会社帰りにホール前で妻と待ち合わせ。夫婦で映画は割とよく行くのですが、クラシックのコンサートは久々です。今回は色々と忙しく、私がCDで予習したのは②のみを2回ほど聴いただけでした。①は全く予備知識なし。③はよく演奏される曲であり、メロディも親しみやすくてまあ頭に入っていました。
クラシックのコンサートもザ・シンフォニーホールで聴くことが多く(と言っても、前回は昨年6月のロイヤル・フランダース・フィル)、フェスティバルホールに来たのも数年ぶりです。座席数2700でシンフォニーホール(約1700)の1.5倍以上ということもあり、やはりかなり大きいですね。大階段などの傾斜が緩やかなのは良いです。赤と黒を基調にした色彩はシック。その他のデザインも割と抑えめで、音楽に集中しやすそうでした。ホワイエの天井高さにはビックリ。1~3階席分を吹き抜けにしているようです。
ホール内部は幅が広く、今回の座席(1階25列31、32)からはステージがよく見えました。ただ、前の座席との間隔が思っていたよりも狭く、また1階席は1列当たりの通路が2か所しかないため、列の中央の席の人が後から入ってくるにはちょっと大変ですね。単純な比較はできないのですが、最近の映画館(シネマコンプレックスなど)は座席や間隔がゆったりしているだけに、狭さが気になりました。
※上の写真はフェスティバルホールのホームページより
さて、”マーラー指揮者”としてよく知られるインバル氏ですが、テレビの音楽番組でちらっと見たことがあるくらいで、その指揮ぶりなども殆ど知りませんでした。自分の勝手なイメージでは何となく思索的・哲学的なイメージなのかなと想像していたら、これは大違いだったようです。大柄ですが、権威的ではなく、気さくそうな感じ。
①「オベロン」序曲を聴くのは全く初めてでしたが、ホルンのソロで始まるメロディの美しい曲でなかなか良かったです。1曲目ということもあってパワー全開といった演奏ではなかったですが、緩急・強弱ともに素晴らしく、もう一度聴いてみたいですね。
②の「ロココ~」は、メロディラインがあまり印象に残っておらず、ただ、CDで聴いたときに美しいと感じた唯一の短調である第5変奏(第6変奏?)は良かったです。アンコールはサン=サーンスの「白鳥」でした。満員の聴衆が静まりかえる中、宮田大さんがしっとりと聴かせてくれました。アンコールに有名な曲を持ってくるか、超絶技巧の曲やふだんあまり耳にすることのない曲を持ってくるか、なかなか難しいところですけれど。
圧巻はやはり③の交響曲でした。
第一楽章冒頭のクラリネットソロ良し。それを支える弦の憂いを帯びた、しかし、ずっしりとした厚みのある音色が美しい。ホールもよく響いています。それ以降も素晴らしかったです。第一楽章終盤だったでしょうか?急激なテンポのスローダウンには「おぉーっ」と思いました。
もちろん、ホールを揺るがす金管群の咆吼も大迫力で素晴らしかったのですが、私がより印象に残ったのはトップ奏者のソロが素晴らしかった木管群でした。木管同士の音の受け渡しもビューティフル。よく知っている曲でもあり、あまり驚きなどはないかなと予想していたら、テンポの揺れなどが実に新鮮で面白く、全体に「あぁ、良いなあ・・・」と感じる箇所が多かったです。2週間経って細かな記憶はあいまいなのですが(汗)。所有しているCDとの比較では、テンポはアバド/シカゴ響とコバケン/チェコ・フィルの中間ぐらいの感じだったでしょうか。あくまでも印象です。
演奏は楽章間の休みが殆どありませんでした。インバル氏は腕を高く上げたり大きく広げたりで、結構細かく音を要求したり指示したりされていた様です。かなり熱い指揮っぷりにはビックリ。華麗とも無骨(朝比奈さんのような)とも違ったスタイルですね。第2楽章だったか、身体を大きく動かしたりで踊っているような感じがしたのも面白かったです。演奏後、ブラボーの声と満員の聴衆の大拍手もなかなか凄い迫力でした。また、団員の方のインバル氏を讃える足踏みも良かったです。
アンコールはブラームスの「ハンガリー舞曲」から第1番で、これにも場内は大盛り上がりでした。好きな曲で良かったのですが、なぜブラームスだったのでしょうね。例えば、締めくくりもチャイコフスキーで「くるみ割り人形」の「ロシアの踊り(トレパック)」とかでも良かったなあとも思いました。とは言え、S席:5500円という料金も含めて、素晴らしく大満足のコンサートでした。
◎参考ブログ:
クォーツさんの”おもひでぺたぺた♪”
※写真は2月に撮影したもの。私はこの新しい建物も好みです。