7月度の「関西 洋風建築めぐり」講座は神港ビルディングでした。この建物は川崎汽船の本社ビルとして昭和14(1939)年に建てられたもので、設計は近年の研究で木下益次郎であることがはっきりしたそうです。
既にぷにょさんがブログ”まちかど逍遙”で詳細なレポートを書かれているので、多くをそちらにおまかせして(よろしく~)、ここでは川島智生先生のレジメを参考に、神港ビルで最大の見どころである装飾塔の写真主体で報告します。
この装飾は御影石を彫刻したもので、最頂部四隅にある扇状のデザインは、神戸港がかつてその形状から「扇港」と呼ばれていたことをイメージしたものではないかとのことでした。全体的なデザインは、やはりアメリカン・アールデコだと思いますが、扇状の間の中央部にある波形模様(+五角形の突起あり)部分は、ぷにょさん曰く”ちょっとキュビズム?”で、なるほどと思いました。
今回、幸運なことに装飾塔の内部にも入ることができました。東面と南面には面格子がはまっていますが、全体的にはがらんどうの空間で極めてシンプルな構造でした。ただ、上部にはX字の形でかなりゴツイ梁が入っているのがちょっと意外でした。内部からライトアップするスタイルになっており、ライトアップ時は装飾”灯”となって、それこそ灯台のような感じだったのかもしれません。私は4枚目の写真で、コーナー部のデザインは人が足を投げ出して腰掛けているようで面白いなあと思いました。細かく見出すと、この建物は装飾塔だけでなく、最上階(8階)と屋上部分がかなり凝っていることが分かります。
以下、内部編に続く予定。