風 囁

福岡市南区平和にあるキリスト教の平尾バプテスト教会の週報に載せている教会員の証し集

2017年2月26日 仁義なきキリスト教史

2017年03月19日 14時16分44秒 | 教会員の証し
仁義なきキリスト教史

 表題は、最近読んだ小説のタイトルである。著者は架神京介(かがみきょうすけ)氏。イエスからルターまでのキリスト教史を、映画『仁義なき戦い』の世界さながらに描く。
 章立てを見てみよう。「第1章やくざイエス」、「第2章やくざイエスの死」、「第3章初期やくざ教会」、「第4章パウロ-極道の伝道師たち」、「第5章ローマ帝国にしのびよるやくざの影」、「第6章実録・叙任権やくざ闘争」、「第7章第四回十字軍」、「第8章極道ルターの宗教改革」。
 イエスをはじめ登場人物は皆、広島弁である。神は「ヤハウェ大親分」、教会は「組」、礼拝堂は「組事務所」、信仰は「仁俠道」、信徒は「やくざ」…。きまじめなクリスチャンから見れば、怒りを買いそうだが、書かれていることはまじめ。“大親分は一方的に自分たちを「仁俠道にきちんと適ったやくざである」ということに<してくれている>のである。実際に仁俠道に適っているかどうかは別として、大親分はそういうことにしてくれるのだ。だからそんな大親分を信頼していればそれでいい。”ルターの説はこうなる。
 著者は、旧新約聖書は勿論のこと、註解書や概説書をよく読み、解釈の分かれる点もきちんと踏まえた上で、小説に仕立てている。青野先生の専門とされる分野でも、ヘブライストとヘレニストの対立など、きちんとおさえている。また、各省の末尾には「解説」も付されている。平尾バプテスト教会の信徒なら、受け入れられるのでは。
発行はちくま文庫(2016年12月刊)


T.S 兄