超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

離島へ行く

2012-07-27 19:18:53 | 出来事
あくまで仕事なんだが、ひょんなことから高速道路を北方面にひた走りフェリーで離島を訪れる機会を得た。乗車するのは何と前日にぎりぎり配備が間に合った移動災害対策用指揮支援車両である。東日本大震災の経験から、建物などが万が一倒壊して施設が使えなくなっても最低限の対応をするために考案した。米空軍のエアフォース・ワンのようなものだが(そんな仰々しくはないか)いずれ公開したりするだろうから機密事項じゃないよな。。。
前日の納車時はまず神社に安全祈願に赴き、およそ50近くある機能を一つ一つ確認していった。駐車場で間違って本番用のサイレンを鳴らしてしまったり、マイクで「前のライトバン、左に寄せなさい!」などとパトカーばりのマイクテストをしたり・・・

自動追尾衛星通信機、太陽光パネル、モニターカメラにサーチライト、エンジン兼用の充発電器など、フル装備するとかなりの重量になり車体が沈み込んでしまうので、フェリーの段差を超えられるかどうかも確認の一つだった。出発港までは約200km、誰がそんな初めて乗る多機能車両を運転できるのか少し不安だったが、同行したスティーブにシバヤン、ヨッシーは鮎釣りが趣味で同型の大型車の運転は慣れているようだった。集合場所出発は土曜朝の5時、フェリーが2時間20分ほどの行程だ。さすがに長丁場でキツそうだったが、訓練という位置づけもあるので、文句は言えない。。。
構造上の制約から今時あまり流行らないディーゼルエンジンなのだが、乗り心地は中々良かった。

日本海側に抜ける長ーいトンネルを抜けると、かなり強い雨が降っていて、その先の行程が危ぶまれた。「天候が悪いとフェリーが出ないなんてことには。。?!」「そんなヤワな船じゃないです」東京湾を渡るフェリーとは規模が違うらしい。。。
「ところでスティーブぅ、後ろのフックに掛けてあるのは何ですかぁ?「SHIMANO」って書いてありますが・・・」後部席からニヤニヤ笑いながら声を掛けたが、運転席のスティーブは知らん顔をしていた。
「さらに聞くけど、後ろに積んであるクーラーBOXにある「DAIWA」とは?!」よく見ると色々な機材に混じって「ウキ」のようなものがちらほら見える。
実はヨッシー(スティーブではなく)が馴染みのポイントの近くを通るので、あわよくば偵察&練習するつもりだったらしいのである。バッテリーで使用できるハイブリット冷温BOXが装備されているのだが、「まさかあの中には●ールとか、ないよな・・・」

車は順調に高速道を進んでいった。走行テストも兼ねているから「盛大に鳴らしてみようぜ」(むろん前後に走行車両がない時に」サイレンもテストしてみた。(車内でもかなりうるさい)結構時間にゆとりを持っていたから、フェリー乗り場についたのは出航1時間前くらいだった。現地の施設に入館する時のパスカードと鍵を持ってきてくれた係員は「島に渡ったらぜひ『ぶりカツ丼』を召し上がってみてください。美味しい店は○○っていいます。」「そうですか。では楽しみにしています。ありがとうございます」
フェリーは竹芝から出ているのに比べかなり大きめの船舶だ。出航時に子供が船べりからカモメにスナック菓子をあげ始めたら、すごい群れが周回するようになっていた。おーっ、自衛隊の護衛艦が見える。何かたくさんの人が乗っているぞ。夏休みに入って一般開放しているのかな。

        

一番下の2等船室はやはり新島行きと同じで「雑魚寝フロア」だった。船内ではちょっとしたイベントも開催され、のどかなものだった。ぶりカツくんにササダンゴン、もちうさぎ・・・これが流行りのご当地「ゆるキャラ」というヤツか。。。なるほど、ぶりカツというのはご当地グルメとしてイチオシにしているんだな。この手のものは大外しはないが期待の割りにはがっかりすることが多い。我々はさっきの係の人には悪いが、ヨッシーが最初にプランニングしたドライブインで海鮮丼とすることにした。スティーブはお土産屋で「ぶりカツ系」アイテムを探す私を訝ったが「オレ達、帰りはヘリじゃんか。今のうちに買っとかないとチャンスないぜ」

            

        

現地で訓練現場を予定している施設で同行したグループと合流する。若手技術者を連れてきたチーフは、震災の時大変だった教訓を活かして、本番を想定し「サバイバル訓練」も兼ねると息巻いていた。30食余りの非常食を持ち込んで、野営を敢行する気らしい。新装備車両の発電機能や通信機能など十分にテストし、翌日の訓練フォーメーションを確認して我々は現場を後にした。出番は主に明朝からで、その日は朝起床が4時過ぎ、運転手はなおさらだがずーっと移動していたので、さっさと宿へ行って風呂でも入り英気を養いたいところだが私にとっては初めての離島で、しかももう来る機会はないかもしれないからせめて行けそうな場所はないかとS閣湾という景勝地に車を走らせた。「峡湾美」というそうだが、複雑に侵食が進んで入り組んだ形をしたところに奇岩奇石が並び、見たことも無い不思議な光景を目の当たりにした。
白い砂浜に小さな小川が流れ込んでおり、スティーブたちは橋から下を眺めている。。。「んーっ、まだこんなところにいるなー」
何かと思って覗き込んだら、小さな魚が群れている。その魚は何と「鮎」だという。ヨッシーによると「フグとケンカしてるの見たことありますよ」へえー、鮎って海から昇ってはくるが清流で釣れるもんだと思ってたが、こんなところにたむろすることもあるんだな。

      

遊覧船も出ているようで、乗り場まで言ってみると30分くらいで出航するという。我々は海中透視船という方に乗ることにした。なんだかすごい機能を持った船のようだが、単に船底に1×2メートルくらいのガラスが何枚かはめ込まれていて、海底の様子を見られるようになっている。半潜水艦「アトランティス」とは少し違う「グラスボート」である。遊覧時間は約30分あまり、しかし見事な景勝だった。比較的海水の澄んでいるこの湾は浅いところは海底もくっきりと見える。初めのうちは「船のエンジン音で驚いて逃げてしまう」とガイドされていて、小さなキスのような魚とクラゲが時折見えるばかりで、「おーっ、今見えた見えたー」と歓声は上がったが正直「ま、こんなものか・・・」と思っていた。少し船を走らせてガイドが「ここから海が深くなり絶好のポイントになります。ここの黒鯛はエンジン音でも逃げずにむしろ寄ってくるんです」

      

すげえ・・・(もしかして前半はこのための演出?!)新江ノ島水族館でしか見たこともないような大きな黒鯛がうようよ泳いでいる。どれも40センチオーバーくらいの立派な成魚で確かに船底に集まっているように見える。慌ててガラスから離れ船べりから直接外を見ると、海中にうようよ泳いでいるのが見える。ここから竿を出しゃ一発で入れ食いじゃないか・・・?しかし海釣りはあまり詳しくないスティーブも鋭く海中を見つめながら「こりゃー、撒いてるな」私もそう思った。撒きエサのことである。
毎日、決まった時間にエサまきをして魚をおびき寄せているうちに、魚が「パブロフの犬」のようにエンジン音を聞いただけで集まってくるのだろう。それにしても「生簀」でもないのに、天然の岩場にこのようなポイントを作れるというのはすごいことだ。

      

クルーズを終えて港に戻ってきたのは4時頃だった。「遠くじゃないんだから、行くだけ行ってみようぜー」向かったのは有名な「S度金山」である。写真などで少し見たことはあるが、人形が金鉱を掘っているようなところで当時のつらい作業スタイルを再現したセットだと思っていた。しかし入ってみると、とんでもなくすごいところだというのが分かった。江戸時代の採掘コースと明治時代のコースがあり、初めての人には江戸時代コースがお薦めだという。両方行く時間もないから江戸時代コースに足を踏み入れた。
長くなったのでここで一旦区切ろう。つづく


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (小夏)
2012-07-29 10:05:51
ひゃー♪見ようによっては「夏休みってたまらなーい❤」っていう光いっぱいの光景にワクワクしちゃいますが、なになに、災害対策の、、それも『指揮支援車両』ですかっ!?お暑い中地道に整えられ、ご苦労さまですー!!
災害時には食料もいつ尽きるかもしれないんだもの釣り竿、ぜったい必要ー(笑)

へぇへぇ、黒鯛、釣りをなさる人にはわかるのねぇ~!すごいっ

Unknown (磯辺太郎)
2012-07-30 08:50:16
小夏様

災害・・・そうそう、ちゃんと仕事もしてるんですが、遊んでばかりに見えるので、その辺はスルーしてやってください。。。最初天気悪かったんですが、長いトンネルを越えるとがらーっと晴れました。(暑くなりました)
食料補給対策の釣り竿・・・そういう考えもできますねー。非常時なら入漁券持ってなくてもOKよね。投げ竿だったらロケットランチャー代わりになるんですがね。

黒鯛の群れはすごかった。いつかそちらでもアップされてましたね。一匹でも釣れればレポートもんの大きさでした。

コメントを投稿