超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

囲まれる会に臨む

2017-06-29 20:20:46 | 職場
2X回目の結婚記念日にまさかのサプライズ発言から、前回書いたように息子甘辛はあと1ヶ月ほどで旅立つべく準備を進めている。一方時をほぼ同じくして私は一般とは少しく異なるがいわゆる一定時期に達した「退職」の時がやってきた。元々職域のものすごく広い会社で十数回あった異動の中で何回もほとんど「転職」に近いリセットスタートがあったからそれほどのビッグイベント感はないが、やはり「会社を去る」ことには違いない。ちょうど甘辛の留学について結論に至った時くらいに、今月末をもって退転職することが内々で知ることとなった。私はかなり鈍い方なのだが、この手の話にやたら耳が早いヤツがいて、早速これまで職場を共にした元同僚らにニュースが駆け抜けたらしい。ある日小番頭のコウちゃんが「ちょっと見てほしいと言われてるんですけど・・・」と小部屋に誘われた。見ると大型スクリーンに何やら新聞のようなものが写っている。「日本うるとら新聞 号外」と書かれた「磯辺氏引退か?!」

  

「なんだこりゃ?いつの間にこんなの作ったんだい?」2ページにぎっしり私が入社してからのラフな歴史が本人も思いつかないような面白い表現で綴られている。作成したのは研究所、グンマ時代と付き合いの長かったKYOちゃんだそうだ。号外用の写真などむろん提供していないから、某SNSや昔のスナップなどを組み合わせたようだった。「おー、懐かしい。我が社の採用HPを華々しく飾ったショットじゃないか」もうお蔵入りしていてもれないだろうと思っていたが、どこからか手に入れてきたらしい。「関係者全員に号外で配ってサプライズにしようとしたんですが、プライバシーもあるので一応確認してほしいそうなんです」コウちゃんは真顔でずっこけ紙面を眺めながら記事を紹介した。ははは。。。何とも気恥ずかしく懐かしいものだった。

まだ正式には公表されていないが、予定がかなりタイトなので、部署の有志が集まって「囲む会」なるものを開いてくれるという。社食だと思っていたら、ちゃんとしたパーティルームを貸し切りにして盛大に行うようだ。うーむ。。。これまで退職する上司を送る会などに経験したことがあるが、まさか自分にそういう番が回ってくるとは想像もしていなかった。一応、一つの単位組織を束ねる立場だからかもしれないが、他にも退職、異動する人もあろうのに、何か申し訳ないような気がして「ホント、身内だけでいいんだからね」しかしコウちゃんから見せてもらった「時間割表」は結婚披露宴ばりのがっつり盛り沢山イベントみたいだった。「当日、拡大会議を予定しているんで仙台、札幌からも参加してもらいます。」何かやる気満々のように意気込んでいて、こちらの方が何となく緊張してきた。しかしせっかく私の最初で最後の晴れ舞台を用意してくれるというのだ。グンマの時のようにこの職で辿った足跡をまとめてみるか・・・「ねえねえ、会場にDVD流す環境ってある?」さらに超小声で「内緒で着替えるスペースあるかな?」コウちゃんは一瞬怪訝な顔をしたが、目を光らせて「大丈夫です!用意できます!」

当日、皆と一緒に会場に向かうといきなり入口に「○○さんを囲む会」という大きなサイネージが。。。う、う、う・・・こういうの苦手だ。収容150人と書かれた会場は満員になっているように見え、めいめいグラスを持って「練習」していたのでいつもの通り輪の中で飲んでいた。(我が組織の半分近くが集まってくれたのか)「とびちゃん」(仮称)が撮影係らしく、始まる前から私から見え隠れしながらカメラを向けていた。(もしかして泣かせるシーンを逃さないつもりか?!)
司会のコウちゃんに「ちょっと、こっち来てください!」と急かされて、密かに私の後任に決まっていたドラくんの乾杯で時間通りに会は始まった。
札幌、仙台他各拠点で作成してくれたメッセージビデオや参加者のコメントが続いた。「ありがとう」「お世話になりました」「ウルトラファイト!」いかにも「やらせ」っぽい演出が失笑を呼んだが、(勤務時間中だよな)「いつの間にこんなの作ってくれたんだろ?」と心温まり胸が詰まるものがあった。

  

「ではほんとにしばしですけどご歓談を」というコウちゃんの言葉で私は壇上を駆け下りてビール瓶を両手に掴むと、手前のテーブルから駆けずり回る。忙しい中にこんなことまでして頂いたメンバに一杯くらいお注ぎしないと申し訳ないからである。おそらく次のプログラムまではいくらも時間がない。一言二言だけ交わすのみで、選挙の立候補者のように時には握手しながら、ようやく一番奥の若手が集うテーブルまで辿りついたところに司会のコウちゃんから再びお呼びがかかった。ご歓談」の暇もないほど盛り沢山で次から次に趣向を凝らしたプログラムが続くようだが、中には「すっ飛ばしてもいいんだけどな」というものもある。「職歴紹介」である。一応職場を去る時の恒例行事となっているようで何度もあったが、聞く立場にいる人を思うと今しか知らない「人の職歴」など興味があるはずもなくかなり退屈なものなのである。

「ドクさんが義理堅く真面目な彼らしく丁寧で長々とした職歴紹介の後、「ここでサプライズです!」とコウちゃんがスクリーンを指さした。セブンの息子「ウルトラマン・ゼロ」の大きなタペストリーが映し出された時、どこで撮影したものか一瞬で分かった。顔はお面で覆っているが紛れもなく息子甘辛の声である。と、すれば次に登場するのは・・・やはり乃木坂のポスターを掲げた妻からのメッセージだった。実はこれまでの職場ではKYOちゃんなど色んな付き合いで家族を知っている人が少なくないのだが、たまたま今の組織では(声だけだけど)初の登場で場内がどよめき、また「泣かせ用?」のBGMに隠れて、肝心のメッセージは甘辛の「今年もウルフェスに行きましょう」妻の「あなたの人生はこれから・・・」みたいなことしか聞こえなかった。

しばらくして再び若手からのメッセージと花束贈呈があった。これほど大きくて重たい花束は持ったこともない・・・壇上の花飾り用じゃないか?そして次なるサプライズが、女性マネージャーからかまされた。「母親からの手紙」である。「えっ?」と思ったが、スクリーンに映ったのは、ワープロで書かれた「お疲れ様、皆さまに感謝を・・・」みたいな手紙であった。ここで皆の期待は涙にくれる姿なのだろうが、毎週母を連れ回って最近のことなど詳しくしっている私は「ははあ、コメントだけして妻にタイプしてもらったな」と可愛くない想像をしていたのだ。しかしその後の「記念品贈呈」で危うく堪え切れないところだった。スクリーンに「いつか何かの記念に購入しよう」と思っていた、「超大型ウルトラホーク1号」が映し出されたのである。実は札幌出張の際に半分冗談で「この組織で退職して記念品をくれるんだったら、あのホーク1号がいいな」とつぶやいたのを覚えていてくれたのである。妻子や母のメッセージにも笑って頭を下げていた私がこのときはヤバかった。。。

さて最後のご歓談時間を終えるといよいよ私の出番である。通常、あらたまった懇親会の「締めの挨拶」などを頼まれると「フルパワーで飲めねえじゃんか」と逃げ回ってきたのだが、今回ばかりはそうもいかない。(ってこの時はさすがに、自分で杯を傾ける暇がほとんど無かった)私は舞台中央でマイクを片手に「型通り」の挨拶を始めた。実は用意してきた「たぶんかって無かった主役のサプライズ」が思い切り滑らないか、かなり緊張していたのである。頃合いを見て司会に合図すると大晦日に息子甘辛が「オレ、絶対泣ける」と興奮していた乃○坂の曲に乗ってVTRが流れ出した。これを製作するにあたっては正直かなり悩まされた。グンマの時は3年間で触れた土地の自然、食べ物、そして人々との思い出スナップが山ほどあり、素直に編集すればよかったのだが、今回の組織は1年間しかいなかった、しかもデスクワーク中心の集約センターである。綴る話題があまり多くない。

2X年間の勤務の集大成としてこれまでの多彩な話題をぜーんぶ編集して一大スペクタクルにしてしまうことも考えたが、「職歴紹介」と同様自分以外の人にはあまり興味を持たれるとは思えなかった。アイディアに詰まった私は社内HPにある「幹部(じゃない人も入っている)紹介」のコーナーにあるタイトルをパクッて改めた自己紹介風にして皆へのメッセージとした。甘辛が「名曲」と言ってはばからないイントロでは私が入社2年目で行った入社式司会のシーンを引っ張り出してきてオープニングにかましたのだった。自分の入社年次、生年月日、血液型星座などに続き、好きな言葉、好きなアイドルなどと続け、社内HPインタビューにある「休日は何をしている?」「健康のために取り組んでいることは?」「仕事の上でのモットーは?」「今、ハマっていること?」を写真解説付で編集した。「磯辺太郎とはこんなヤツだったことをたまには思い出してほしい」、というのと「こういうことがしたかった」というのを伝えるつもりでちょっとしんみりした曲に乗せた。

そして極秘のうちに主賓自らがウルトラサプライズをかましたのだが、それには曲のタイトルと同様隠れた深い意味があったのである。ということで、最終回と予告しながらものすごくカッコ悪いのだが、長くなり過ぎたので次回後編に続く・・・

【おまけ】ホントの土壇場でこのスタイルとしては最後になる人間ドックを懐かしきいつもの病院で受検してきた。腹部頸部エコー、そして上下消化器内視鏡では「もう今月で最後なので念入りに見てね」と言って苦笑された。10数年に渡ってずっこけ話題満載だったがこれでドック納めだ。昨年から施設がリニューアルされ、医療施設もシステムも最新式のものに生まれ変わった。1日に100名近くの受検者を扱うのに、事務員も医療技師も医師も皆、丁寧で親切、食事は美味しく温泉付という一度行ったらやめられない、素晴らしいプログラムが名残惜しかった。

          


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6 コメント

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Unknown (月美)
2017-06-30 00:23:16
えーーーっ 本当にこのブログ 終わっちゃうんですか〜?たまたま通りすがった縁でしかありませんが、結構楽しみに読んでいたので とても寂しいです…。(小夏さんなんて もっともっと、ですよね?)それに まだ「ベターっと開脚」も競い合ってないし、「本の友の会」も「月見草」だって…
でも きっとまたどこかでお会いできると信じて…ここは気を取り直して 本題に入ります。太郎さんは退転職されるのですね。号外の写真は 目を凝らしても ぼけて読めなくて残念ですが 皆さんの熱い気持ちが伝わってきました。ご家族からのビデオレターなどは 感動ですねこの会では太郎さんは 感激して泣いてしまう事はなかったのでしょうか?後編が気になります。主賓自ら 用意したサプライズって何でしょう?終わってしまうのは寂しくて嫌ですが、でもどうなるんだろう…と ドラマの最終回についての予告を見ているような気分です。最終回を読み終わった後「磯辺ロス」にならないか 心配です〜
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Unknown (磯辺太郎)
2017-07-01 11:49:39
月美さま

以前ですが、「超兵器」はしばらくお休みしたことがあるんですよ。このタームとしては一旦閉じるだけです。次はいつになるか分かりませんが、たくさん与太話があるので、以前の記事でも振り返って読んでいただければ嬉しいです。
そーなんです。昨日をもって社会人第一期を終えました。ははは。。。号外新聞には機密事項がたくさん書かれているので、目を凝らして読まれてしまうと困るんです(笑)。
皆さん、ホントによくしてくださいました。天真爛漫タイプなボクは泣くようなことはなかったんですが、ぐっと詰まるシーンは何度もありました。
い、いや、後編は大したことないです・・・あまり期待しないでください。磯辺ロスなんかに決してなりませんから。
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月美さま、 (小夏)
2017-07-01 18:15:15
うっぇ~~ん、胸かしておくれでないかい
ひっくひっく、、さすが、よくおわかりで、、その通りです。
涙の海を泳いできます


磯部師匠、
一端拝読しておりますが、展開におののき一日ぼーっとしました。
心落ち着けてもう一度読んできます。

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Unknown (小夏)
2017-07-02 02:55:33
一端筆をおかれると伺い、株主総会なのかなー、とか、私また余計な一言言っちゃったかなぁと密かに思っておりました。
正直寂しく思っていたところに退職と伺い、驚いて心の底までドーンときてました。(何も本人じゃないのにと言われそうです)
大きな転機をお迎えだったのですね。そういう制度があるのですねぇ(モノを知らない?)

うるとら新聞の最後の写真思い出深いです!
この記事で師匠のことをより理解したのでした。
インタビューから華麗な記事にする文才のお話面白かったです♪

囲まれる会、新旧のお仲間の方々、更にはご家族コメントも盛り込まれ盛大に催されたようですね。
人生の一ページにふさわしいですねー。
これも師匠のお人柄だと私自信をもって言えますよ!!

ドックも、名残惜しいですね。
あぁ、カブトムシの餌、永遠に。。。

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Unknown (磯辺太郎)
2017-07-02 08:05:52
月美さんにコメントされた小夏さま

ま、まあ絶筆というわけではないですから・・・そう大げさにお考えにならずとも。。。
勤め先が変わり、息子が旅立ち、わらわら落ち着かないので小休止ってところです。
そのうちにまた筆を持ちたくなるでしょ。(退屈が嫌いなので)
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Unknown (磯辺太郎)
2017-07-02 08:33:30
小夏さま

株主総会にも時期的にすこーし関係はありました。
退職と転職が同時に起こる制度ですから、あまり大きな感慨は正直ないのですよ。時期的には本人と息子に大きな転機がやってきましたね。

うるとら新聞の写真、よく入手できたと思います。HP掲載時に記念に「キャプチャしとけばよかったな」と後悔していたところでした。そうそう、ゲンコツくらいの話を大玉スイカくらいに拡大するルポライターの才能に驚いたものでした。。。

囲まれる会は確かに人生の数少ない1ページでした。自分が中心の会など、披露宴依頼ですね。盛大にプロデュースしてくれたスタッフにホント感謝の一言に尽きます。

実は最後のドックが一番感慨深かったんです。何せずーっと一人きりで時間を過ごすので。
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