ICUROK!!

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猫ちゃんのブレスを返せ

2021年12月31日 14時08分15秒 | 映画

さあ、恒例の2021年映画10選諸々のお時間がやって参りました。今年は絞り出します。

『Mr.ノーバディ』
普段は工場の冴えない経理担当のオヤジとおもって舐めていたら…という完全に私好みの作品。ボブ・オデンカーク演じるオヤジがすっとぼけた感じでバタバタとロシアンマフィアを片付けていく姿が痛快。この作品、主役のみならず映画全体がどこかすっとぼけた感じの雰囲気なのが個人的にハマってしまったのだ。共演のRZA、クリストファー・ロイドもすっとぼけながらインパクト残しまくりで最高。あと、マイケル・アイアンサイドの容姿がかなり変わっていて最初気づかなかったけどお元気そうで何より。バスでダニエル・バーンハードらチンピラグループに絡まれた時はまだオヤジ覚醒途中で結構ボコボコにされるところや、イキってた隣人のダッジ・チャレンジャーぶん捕るところなんかが好きな場面。最後は殺しの下ごしらえもバッチリで工場にランボー並みの罠を張り巡らせマフィアをイチコロにする盛り上げ方も実によろしい。クソみたいな時代にこういう作品が年に1本は必要なのだ。

『マリグナント 狂暴な悪夢』
不作続きの今年後半戦に突如現れたとんでもない作品。悪霊によるエクソシスト的なオカルトホラーと思いきや後半で全く別の映画になるという今年の映画最大級のインパクトをもたらした怪作。日本昔話、はたまたブラックジャック先生でも登場しそうな大どんでん返しの展開に加え、警察署一つ潰す勢いの大暴れに劇場で笑いを堪えきれなかった。あまり語ると核心に触れてしまうので、あとは興味があれば観てくれとしか言いようがないのだが。こういう作品との出会いがあるから映画鑑賞は止められないと、ついつい水野晴郎顔になってしまう。どこか懐かしさを覚える作品のテイストに合わせてかVHSが活躍するのも嬉しいところ。細かい画作りもちゃんとしていてつくづくジェームズ・ワンという監督は器用な人だ。

『レイジング・ファイア』
ベニー・チャン監督の遺作となった傑作。いよいよ“香港映画”を作るのが難しくなってきた昨今。静かに力強い反骨精神が見え隠れしていて「香港映画ここにあり」という意地を見せてくれたんじゃないかとおもう。バイクチェイスでの無茶苦茶っぷり、ヒートやザ・アウトローを彷彿させる後半市街地での銃撃戦など古き良き香港アクショ映画の底力を感じさせてくれて嬉しかった。鬼に金棒、ドニーさんに警棒とはよく言ったものでラストの警棒vsナイフアクションが超絶クオリティ。教会がステージというのも熱い。ドニーさんが警棒展開したときは「いよっ、宇宙最強!」と掛け声を飛ばしたくなる。そして、ニコラス・ツェーがとにかく色気もあるわでクッソ格好良い。多感な時期に観ていたら確実に特殊警棒とバタフライナイフの購入を検討してしまう職質まっしぐら映画だった。

『ただ悪より救いたまえ』
毎度のことながら韓国製アクション映画のレベルは本当に高くて脱帽する。エレベーター内でのドンパチや階段でのナイフバトルなど個人的に好きなアクションてんこ盛りだった。東京からタイへと殺し屋さん出張追いかけっこバトル。人身売買組織との闘いということでドルフ・ラングレンのバトルヒートを思い出しつつ、毎度のことながらタイは闇が深いな~などと勝手なレッテル貼りをしてしまうボンクラ脳。あと、白竜が使ってた雑居ビルの拷問部屋、日本にもあんな闇プレイスがあるのかなとワクワクしながら観ていた。タイパートでは『オンリー・ゴッド』のおっさんも出演しており、相変わらずカタギの役は似合わない面構えであった。

『ベイビーわるきゅーれ』
こちらは和製アクション映画の心意気。同じく阪元裕吾監督の今年の作品『ある用務員』で注目していた伊澤彩織さんが大活躍。『ある用務員』のJK殺し屋スピンオフ的な趣の作品なのだがスベるかスベらないかギリギリのゆるさをもつ世界観が個人的にハマった。この辺は正直好みが分かれそうなところではあるのだけれども。本作は最後の伊澤彩織さんvs三元雅芸さんの肉弾戦がユニークな振り付けでとても良く出来ていた。伊澤さんの闘った後「疲れた」のボヤキが大好き。もっとあの二人の物語が観たいなぁなどと呟いていたら、続編制作が決定したようでおめでとうございます。二作目は本作のテイストを大切にしつつ更なる大暴れをしていただければと期待している。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』
一応リアルタイム世代には当たるのだけれど本シリーズを観たのはかなり後の方だったわけで、更に特にファンでもないという断りはしたうえで、この作品のためにこれまでのすべてのシリーズ作品が報われたというか救われたというかそんな気持ちがしてしまった。2時間半以上の長尺に詰めるだけ詰め込んで本当にこの長いカルマのようなシリーズを終わらせてしまった。それはもうきっちりと。新劇場版になって登場したマリについて、当初はエヴァオタに媚びるコネメガネ~くらいにしかおもっていなかったのが本作でもう大好きになってしまった。いやー、つくづく手のひらは返すためにあるんですなあ。きちんと終わらせたってのがとにかく高評価となった一本。

『ガールズ&パンツァー最終章 第3話』
魔境での鬱屈した生活の中で出会った、人生最大級にハマった清涼剤のようなアニメシリーズ最終章の第3話目。これまで散々持ち上げておいて7本目に持ってくるとは如何なるおつもりかと叱られてしまいそうであるが、いや、その、作品としてはそらもう知波単大活躍のジャングル戦の続きも激熱で素晴らしいんすよ。不憫じゃないエリカも可愛いし継続のシモヘイヘも良キャラだ。しかし、問題は我が心の母校アンツィオ高校の描写ですよ!あれだけでマイナス10万点ですわ!もう少し活躍を見せてくれー!!というわけで、アンツィオ過激派にとっては残念な結果だったわけだが、いよいよ個人的に期待していたあんこうチーム白旗展開が来たので次回作が超楽しみ。澤ちゃんが覚醒して胸熱展開となるか、はたまた大洗が敗北を迎え桃ちゃんは留年するのか、まだまだ死ぬるわけにはいかないのだ。…畜生!クラウドファンディングでP40買うぞ!

『すばらしき世界』
やれやれ、つい戦車の話に熱くなってしまった。さて、本作は個人的に好きな西川美和監督の最新作。シャバに出た元ヤクザがやり直そうと社会の中で苦闘する姿を丁寧に描写する。社会の厳しさや様々な困難の中で愚直に生きていこうとする少々不器用な主人公にとって皮肉めいたタイトル。それでも一縷の望みを見せつつ最後はズドンと心に迫る。後半は主人公としての視点が若手テレビ屋さんに移っていたのが上手いなとおもった。あとは役者の力。役所広司の枯れた演技と枯れた尻に尽きる。梶芽衣子さん相変わらずお綺麗でもう70代なのが信じられん。

『ミセス・ノイズィ』
騒音おばさんのフラッシュなんかあったなあとしみじみ。人の表層だけを見て先入観や経験値や過去の参照を基に動いた結果すれ違いからの大騒動に発展という寓話的要素を持つ作品。メディアリンチ、ネットリンチもテーマに入れつつコミュニケーションの本質を描く。炎上騒動が広がる中、キャバ嬢が誰よりも冷静な視点で語るのは映画らしくて面白い。極端に説教臭くなったりシリアスになったりし過ぎず、最後は綺麗な落としどころに持ってくる点も良かった。拾い物感のあった邦画の佳作。

『アメリカン・ユートピア』
デヴィッド・バーンといえば『ストップ・メイキング・センス』をたまに作業BGVに使うことがあるのだけど、本作はソロライブの映画化。まず舞台のコンセプトが面白くて滅茶苦茶クール。チンドン屋みたいに一人一人楽器を抱えて舞台上を縦横無尽に動き回る。トーキング・ヘッズの楽曲も久々に聴くと良いものだ。個人的にギタリストのアンジー・スワンが滅茶苦茶格好良くてお気に入り。一方、こういうこと言うと野暮なうえ真面目に怒られそうだがスパイク・リー監督らしい例のBLMに関するシーン構成は些か無粋に感じたりもした。いずれにしても、このライブは生でじっくり見てみたいので何とか本邦に来ていただけないものかしらね。


さてはて、例の如くグダグダと書き綴ってきたわけだが、冒頭でも述べたように絞り出した感が例年以上で大変苦悩した。自分の精神状態のせいなのかわからんが、特に今年後半は大作系映画など一つも面白くなくて、毎週肩を落として劇場を出る始末だった。それでも、『マリグナント』『レイジング・ファイア』『ただ悪より救いたまえ』のような作品に出会えたのは本当に救いだったとしか言いようがない。

というわけで、最後は恒例の各種オマケ大賞コーナー。
女優賞は今年はダントツの一位で伊澤彩織さん。今後の活躍に大期待。次いで男優賞はニコラス・ツェーに決定。もうね、なんなんすかね、あの格好良さは。抱かれたら誰だって全身の毛穴から血を噴いて絶命するわあんなん。
今年のベストバウトは悩んだので異例の二作品から『レイジング・ファイア』のドニーさんvsニコラス・ツェーと『ベイビーわるきゅーれ』の伊澤彩織さんvs三元雅芸さんに決定。午後ローにベストマッチ賞はチャドウィックの死が惜しまれる『21ブリッジ』。劇伴大賞は「あれ、この曲、坂本龍一っぽくね?」とボーっとアホ面してたら本当に坂本龍一だった『MINAMATA-ミナマタ-』。劇中歌大賞は『007ノータイム・トゥ・ダイ』というより女王陛下はいいよな~(いいよなおじさん顔)ってことで「We Have All The Time In The World」に決定。護られたい二の腕大賞は映画自体は今年ワースト級だったが『エターナルズ』のバブみ溢れるマ・ドンソクに。何と四年連続の受賞ということで、これはもはや二の腕界のオメガパフュームっすわ(自分でも何言ってるか分からない)。ベストタイミング賞は『ローグ』のナイスなパク付きを見せたワニさん。餌付けしたい子No.1は『モンスターハンター』のキュートなトニー・ジャー。お前が『直撃!地獄拳』リメイクしろ大賞は『るろうに剣心最終章The Final』の新田真剣佑に。そして最後に、人生辛いので子宮に入れてくれ大賞は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のマリさんに決定だ。皆さんおめでとうございます!

やれやれ、2021年もクソ疫病のせいで映画公開自体が減るわ千葉ちゃんが亡くなるわでろくでもない年だった。さすがに来年も同じ状況は勘弁してほしい。良い展望に向かうことを切に願いつつ。
それでは、皆様良い年をお迎えください。