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陰毛論

2022年03月09日 22時12分58秒 | 戯言

かねてより一部の愛好家に嗜まれてきた陰謀論は情報過多の波に押し出され表舞台に引きずり出された挙句、SF的文脈を失い人心のレガシーコードのようなものに共鳴し混沌を生み出した。現在まさに混沌から別世界の真実とされる荒唐無稽なストーリーが堂々と独り歩きを始めている。

かくいう私も元々その手の話やオカルトは嫌いではない。それは先述したSF的文脈やそこから派生する創作物の類が自身の思考や創作に刺激を与えてくれたり単純にエンターテイメントとして面白いからである。かつて、そうした個人的な嗜好も相まって、陰謀論に関する書物を購読したりWeb上のコンテンツを読み漁ったりしたこともあった。世界の裏側というものを思いもよらない角度から語る手法は読み手を惹きつけ、純粋に知的好奇心を刺激しワクワクさせるものである。一方、これらは共通して、我々は世界を牛耳る巨悪に騙され虐げられてきたのだという論調により、過去に起こった出来事や結果論に対して、ユニークな解釈、はたまた都合の良いストーリーを後付けする構成で成り立っていることが多いのが特徴だ。また、信憑性の不確かな情報ソースによる裏付け、もしくは、その裏付けすらないストーリーが方々で繰り広げられていたものと記憶している。そして、これら情報に触れることにより、陰謀論を別世界の真実として信奉する方々は概ねこうした書物等で体系付けられた思想を拠り所としていることを理解したのだった。個人的にある意味こちらも目覚めさせられるような気持ちになり妙に納得したものである。

さて、もちろん世の中には我々のあずかり知らぬところで表沙汰にならない悪事や陰謀も渦巻いているだろう。人類の歴史の中で実際に暴かれた罪も確かに存在する。しかし、現実世界は陰謀論的思想体系だけで語れるほどシンプルなものではないはずだ。この世界は多様な思想、複雑な利害や因果関係、自然発生的な事象等で成り立っており、白黒で割り切れることのほうが少ないくらいモザイク状で不確かなものだ。いわゆる目覚めている人は別世界の真実が見えるそうだが、逆に何故それが真実と言い切れるのか不思議でならない。例えばマスメディアの情報には真実を歪曲する表現や演出等が多々含まれるのは事実だろう。しかし、だからといって、専門家による十分な分析や考察が行われていない創作まがいのデータやWeb世界に放流された荒削りの情報をそのまま鵜呑みにするのも違うのではなかろうか。ましてや、今まさに同じ世界の時間軸で人が傷つき殺められている状況下において、陰謀論的文脈でそうした殺戮行為を仕掛ける者を肯定し、傷つく人々を愚弄するかのような言動を取るなど言語道断である。そもそも、どちらのサイドに立とうが渦中で苦しむ無辜の民に先ず以て心を寄せて欲しい。そして、百歩譲って余程我々の見ている現実世界が誤りであるというのなら、その根拠をきちんと示すべきだ。

明後日の方向に糞を掛け合うような不毛な議論など望んでいないのでこのお話はおしまいだ。そして、はて、不毛といえば、かの思想体系は不毛でないというのならば一体何なのだと一つ思案して、ここに陰毛論と名付けることにする。

結局、強引に痰壺を煮詰めたような駄洒落を言いたかっただけなのかといえば否定はできない。合掌。


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