ICUROK!!

/^o^\/^o^\/^o^\/^o^\

You Only Live Twice......??

2021年11月27日 15時18分10秒 | 映画

『007ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開されてもうすぐ2か月。馬鹿なので三度観た。

ダニエル・クレイグのボンド(以下ダニボン←いつまでも言い続ける)については毎回ここに感想など記してきた(一作目二作目三作目四作目)。あれこれ書くと一々消耗して堪らんのだが今回満を持しての最終作ということもあり観念して以下グダグダと述べさせていただくことにする。

先述の通りダニボンもいよいよ最終作となったわけだが、先ず初めに出た感想は「やっと観れた」に尽きる。世の中がこのような状態になってから公開延期を重ね、前売り券も別バージョンで再発売という異常事態。それに乗っかり2枚買う私……。とにかく作品の感想云々以前に無事に公開されたという感慨の方が大きかったのは間違いない。
そして、次いで出た感想は「長かった」である。これは公開まで「長かった」という思いに加え、カジノロワイヤルからの道のりの「長かった」でもあり、歴代最長の上映時間に対する「長かった」でもあった。

さて、ここからは大きくストーリー、アクション、音楽、個人的ニヤケポイントに分けて感想を並べていくことにする。

先ずストーリーについてはいきなり落とすようで恐縮だが正直蛇足感が否めなかった。前作で引退しマドレーヌちゃんと幸せに暮らしまっせという終わり方をしたので、本当にあれで殺しのライセンスは返上!もう引退!チャンチャン!あとはご想像にお任せして七代目ヨロシク~で良かったんじゃないかと思ってしまう。前作が最終的には身内話に小ぢんまりと纏まってしまったこともあり、これ以上は話を膨らませなくてもいいよなという、ある種の満腹感があった。そして、ここで敢えて続編を作るのであれば、続編で何が起こるのか大体読めてくるものである。これがボンド映画ファンならなおのこと。必ず真っ先に思い浮かぶであろう、女王陛下の007だ。単純に幸せのまま終わるわけがない。
というわけで、蓋を開けてみればダニボンを終わらせるために作ったような展開と言っては乱暴すぎるであろうか。そう、ダニボンの死というインパクト。概ね待ち構えていた展開なわけだが、なるほど、そう落とすかと妙に納得して落ち着いたままエンドロールを迎えてしまった。最高に盛り上がる爆死演出であるのだがどうにも心に響かない。むしろフェリックス・ライターの死の方が衝撃であの最期は泣けてしまった。ダニボン就任決定当時、青い目のボンドに対してあれこれ言う外野がいたけれど、それらに対するカウンターのような素晴らしいセリフと、その美しい青い目を受け継ぐボンドの子(以下、ボン子)という宝物が遺される展開にはグッと来てしまうところはある。しかし、どうしてもダニボンを終わらせるための蛇足感を感じてしまうのだ。
個人的に元々長尺作品が得意でないということも影響しているのかもしれないのだけれども、正直観ながら若干白けてしまったところがある。中盤のセリフの多さも少々くたびれる。そのほか、ラスボスである自称“最凶の敵”サフィンが存在感無さ過ぎだったり、ボン子のうさちゃんぬいぐるみを最後に上手く生かせなかったりと気になる点は多い。この映画全体のトーンや大事なところでキメ画をバシッと入れてくれる感じは好きなので何とも勿体ない感じがする。
やれやれ、ここまでいきなりディスりまくるというね。個人的な映画鑑賞に対するスタンスに反する部分もあるので落とすのはここまでだ。まあ、なんというか、カジノロワイヤルの圧倒的インパクトから続くダニボンに対する期待値が大きかった以上、どうしても辛口になってしまう部分があるのよね。今回の監督は過去作の参照よりも原作を読み直した的なインタビュー記事があったけど、全体を通して当然のことながら女王陛下に加え二度死ぬ辺りの影響が強いのかなと感じた。

お次はアクション。歴代最長作品ということでアバンタイトルも最長。あれ30分くらいあったか。長いこと散々予告編で見せられてきたアクションをようやく拝むことができて嬉しかったよね。アバンタイトルは物凄く好きなんだよ、この作品。次の音楽の項で語るけれども、音楽の使い方もバッチリ。いきなりヴェスパーの墓がぶっ飛ぶところで驚きと笑いを生みつつ、高所からの飛び降り⇒アクロバティックなバイクチェイス⇒アストンマーティンDB5ギミック大活躍という往年のファンもニンマリさせる特盛展開で実に熱い。とりわけカーチェイスの撮り方が上手くてアストンがドリフトするキメ画が入ると堪らん。カーチェイスといえば中盤以降にマドレーヌ&ボン子を乗せたランクルvsレンジローバーも良かった。まず、敵さんが橋のところから追いかけてくるシーンの“分かってらっしゃる”構図が大変好み。そして追走するレンジローバーをなぎ倒しながら川や森に突撃する走りを空撮を交えて滅茶苦茶格好良く撮っていて、あれはそのままランクルのCMに使えるんじゃあないかって思わず笑ってしまった。
銃撃戦や肉弾戦のクオリティも相変らず高い。湯沸かし器みたいな名前のパロマちゃんとボンドの掛け合いはこの映画のハイライトかってくらい観ていて楽しいし、そこに新007ことノーミも加わって序盤の大きな見せ場になっている。そして何といっても長回し大好きマン的には最後の階段を使った長回し風アクションに尽きる。手榴弾の激しい爆発から始まり扉を開けて次々と襲い掛かってくる敵を階段を登りながらボロボロになって片付けていくダニボンが格好良すぎる。相当なトレーニングを積んだんだろうなと思わせるクオリティの高いアクションシーケンスであり、個人的に終盤最大の見せ場だと思う。そういえば最近久々にムーアボンドを観直したがダルくてダルくて仕方がなかった。まったくボンド映画はよくぞここまで進化したものである。制作環境も異なる昔と比べるなと言われればそれまでかもしれんが。

音楽については、これはもう女王陛下。ここぞとばかり、ずるいくらい使うよな、まったく。アバンタイトルでダニボンがWe have all~のセリフを放つと同時に流れるかの名曲のアレンジ。初見ではニンマリしつつも、「あーもう、やっぱりこれ絶対誰か死ぬやん」という感じになってしまったのだった。ロンドン橋を背景にMと007が対峙すべき敵について話し合う場面ではジョン・バリーの女王陛下テーマが掛かるところも堪らない。そしてダニボンの最期ではYou have all~と改変セリフを放ちつつ、迎えるエンドロールで満を持してのルイ・アームストロングという。アームストロング終わりからしんみりせずにボンドテーマというのもレイゼンビーボンドを意識してか。そんなわけで、ビリー・アイリッシュがまるで霞むくらい女王陛下出ずっぱり状態でありがとうございました。

最後は、もう随分語ってしまったような気がするけど個人的ニヤケポイントをいくつか。アバンタイトルでは相変わらずダニボンとマドレーヌちゃんがあたふたセックスなのにまず1ニヤケポイント。そしてOPタイトル曲に入るところのドクター・ノオをオマージュした入り&女王陛下を意識した時計等の演出に5ニヤケポイント。ポイント制止めます。他にも過去作を感じさせる場面として、例えばMI6本部にジュディ・デンチの肖像だけじゃなくてバーナード・リーの肖像が掛かっているみたいな細かいところなんかも嬉しい。
あと、アクションの項でも語ったけれどパロマちゃんね。本作の救いというか一番好きなキャラクター。登場初っ端からお茶目で気付けに酒をあおるところがちょう可愛いし、いざとなったら3週間のトレーニング内容が一体何だったのか気になるレベルの戦闘力の高さで躊躇ない戦いっぷりが最高。
本作はボンドカーも見所たっぷりなわけだけど、冒頭のアストンマーティンDB5に留まらず、私の大好きなダルトンボンドのV8も登場するのが10ニヤケポイント。ポイント制復活。
単純に笑えたところでは、あれほどまでにボンドを苦しめたスペクター、そして首領のブロフェルドがあっけなく御陀仏という。特にブロフェルドに関しては「あれ、なんか死んでますやん」ってノリなのが笑える。あと、肝心なボンドの最期のところ、あれ絶対ザ・ロック思い出した奴いるよな。あそこで「発煙筒振れ!」って思った奴、少なくとも30万人はいるね。

というわけで、ノー・タイム・トゥ・ダイを総括すると「女王陛下はいいよな~」(いいよなおじさん顔)に落ち着く。ここまで色々好き放題語ってきたけれども本当にダニボンもこれで終わりなわけだ。カジノロワイヤルの衝撃から14年余り、新たなボンド像を作り上げ最後まで駆け抜けたダニエル・クレイグやブロッコリ家の娘をはじめとする制作陣は本当に良い仕事をしたとおもう。伝統に拘ることなくボンド映画の可能性の枠を更に押し広げたわけで、これはとてつもない偉業である。次の世代にこのパラレルワールドへ更なる自由度を与えたことにより、七代目ボンドはこれまた違った質の巨大なプレッシャーが加わることになるだろう。お次も硬派でリアルなボンド像でいくか、はたまた突然ムーアのようなボンド像の再来となるか、あれこれ想像を巡らせるだけでワクワクさんになってしまう。

最後にダニボン全五部作を振り返って、改めて個人的に好きな順に並べてみる。

カジノロワイヤル>>スカイフォール>>>スペクター>>>ノー・タイム・トゥ・ダイ>>>>>>>>>>>>>>慰めの報酬

うん、もう、慰め~はなかったことにしよう……。
合言葉は「JAMES BOND WILL RETURN」。次はどんなボンドが観られるのか。その日まで、ワルサーを枕元に忍ばせつつ、常に逃げ道を用意して生き延びるのだ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿