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「コインチェック」の流出事件で考えたいコト

2018-01-30 20:15:27 | アラカルト

まだまだ騒動が続きそうな、仮想通貨取引会社「コインチェック」からの流出事件。
今朝、聴いていたFM番組では「仮想通貨」がなぜ投機目的で使われるようになったのか?という、話があった。
端的に言えば、「金余り」ということらしい。
銀行にお金を預けても、利子はほとんどつかず。だからと言って買いたいものがあるわけでもない。
株などに投資するよりも、利回りがよさそうな「ビットコイン」に投資をする人が多くなりつつある、という分析をされていた。

そこで疑問に思ったのだが、この「コインチェック」にお金を預けた人達は、「コインチェック」という会社に対してどれだけ知っていたのだろうか?ということだ。
例えば、クルマを購入するとき、いくつものディーラーに行くと思う。
ディーラーでカタログなどをもらい、自宅でネットなどからもユーザー評価のようなサイトでチェックをし、購入するクルマを決めているのではないだろうか?
場合によっては、家族の意見を聞くこともあるだろう。
クルマのような大きな買い物でなくても、テレビや冷蔵庫などある程度値の張る商品を購入するときは、大体このような「比較検討」に時間をかけるのではないだろうか?

それに比べ今回の「コインチェック」に対して、どれだけの情報を得、検討をし「自分のお金を預ける最適な会社」と判断したのだろうか?という疑問があるのだ。
というのも、「仮想通貨」については以前突然取引所が閉鎖され、後で管理者が横領罪で逮捕される、という事件があったからだ。
このような事件の他にも、「仮想通貨」を巡る事件は増えているようで、「自分の資産を預ける」には適切な場所なのか?という、検討を十二分にする必要がある「金融取引」だったからだ。
「コインチェック」が大きく取引を伸ばしたのが、テレビCMなどの積極的なコマーシャルが展開された後だった、ということを考えると、お金を預けた人の中には「テレビCMを見て」という理由で取引を始めたのでは?という気がしている。もしくは、「仮想通貨は儲かる」という「儲け話」から、テレビCMを見てという流れなのかも知れない。

もちろん、お金を預ける側だけが問題ではない。
むしろ「お金を預けられた側」ほうが、重い責任があるはずだ。
今回の「コインチェック」側に対して疑問を感じるのは、多くの方が思っていらっしゃる「セキュリティー」の問題も大きいと思うのだが、それよりも「人からお金を預けられた(資産を預けられた)」という意識や緊張感のようなものがどれだけあったのだろうか?という、疑問があるのだ。
BUSINESS INSIDER:コインチェック和田社長27歳、出発点は「ビリギャル」
この記事を読む限りでは、「仮想通貨のアプリ」に対しての興味は高いと感じられるのだが、企業人として「顧客をどう考えているのか?」という気持ちのようなものが伝わってこないのだ。
少なくとも「人様のお金を預かり、運用をする」という、金融機関の企業の社長ということは感じられないのだ。
金融業界での経験が無い、ということもあったのかもしれないが、自分の事業が「金融業である」という意識そのものがどれほどあったのか?という、疑問のほうが大きい。

「金余り」の状況で、投機目的で「仮想通貨」にお金を預けるのなら、コインチェックの和田社長のように「若い社会起業家」達もたくさんいる。
できればそのような若者の事業に投資して欲しい、と願うのだ。