老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

平々凡々

2016-05-27 10:56:45 | 俳句
    ⏰   枇杷熟るるまっこと黒き土佐の海

    

お隣さんから、枇杷をいただく。毎年、初成りの枇杷をいただく。
この枇杷が収穫されるまで、ずーとお隣さんの枇杷の世話を見ている。
花が咲くと、摘花をして、枝に一定の花だけを残す。
花が実に、小さな実とおぼしきものに育つと、ひと房、ひと房に袋をかける。
大変と思う作業の連続の枇杷を、お隣だからというだけで、お裾分けをして下さる。まっこと有難いことである。

枇杷の季節になるといつも、枇杷の句を想いだす。
三十四、五年も前、俳句を始めたばかりの時、「白魚火」という結社で勉強させてもらっていた。
その、俳誌の表紙の裏に 枇杷の句を取り上げてもらった。
想い出の深い句である。
入会したての時だから嬉しかった。
忘れてしまった句評に、(まっこと)と言う、土佐弁が印象深く、あの黒潮の流れている太平洋が眼前に浮かびます、、、とそんなふうに書いて下さっていた。

      

今朝見つけた、我が家の額紫陽花。
まだ薄緑の固い莟である。
朝毎、開いてゆく額紫陽花を見る楽しみが増えた。

      

そして、けなげにも、まだ目を楽しませてくれる、パンジーたち。

夫が散歩に行き、私は窓辺の部屋でマッサージをしていた。
姫 が二人が見えないものだから、しきりに泣いて私達を探している。
最初は大きな声を張り上げていたのだけれど、次第に諦めて、小さな声になっていった。
階段を上って、二階にも行く。どすんどすんと重い身体で降りて来る音も聞こえた。その間も泣いている。
私は、マッサージ機の部屋にいることが、あまり無いので、気がつかないらしい。

「姫」と声をかけると、犬がやるように跳びついてくるような、愛情表現はやらないが
「ニヤーァアアンー」と喉やら腹やらどこから出すのかわから無い声で私のことを見上げる。(なーんだ、いたのか)といった表情。

平凡な朝で今日が始まった。
平凡が何より大切で有難いことだと思っている。

    ⏰   いごっそと隣あわせに冷酒かな

    ⏰   老猫の野太き声や麦熟るる
コメント
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