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決め手の算数の力をどうつけるか?

今年の入試問題を見ていても、やはり算数は難しいなと思います。

難関校は最近、問題の数を絞り難しい問題を並べる傾向が強くなりました。結果的に算数で一番差がついていると思われるのです。

下記は開成中学が今年の入試結果を発表したデータですが。

科目 国語 算数 理科 社会 合計
合格者平均 56.0 55.7 60.7 53.5 225.9
全体平均 49.7 42.7 54.3 48.7 195.4
満点 85 85 70 70 310

合格者平均と全体平均の差でみると

国語 6.3点
算数 13.0点
理科 6.4点
社会 4.8点

国語算数と理科社会では配点が違いますので、理社を85/70したとしても、算数とはだいぶ違いがあります。もちろん算数だけできるではだめですが、受験生は国語、理科、社会はほぼ一線上に並んでいて、やはり算数ができた子が合格したのだろうと推察できます。

で、これは今年に始まったことではなく、中学受験はもとから算数ができる子が有利とされてきました。

だから、算数をどう強くしていくか、ということが受験準備の中でも最も大事な問題になってくるのです。

算数の力をつける、ということについて言えば、私はとにかく「じっくり考える」ことだ、と思っています。


算数の力を育てていくには3つの段階があるといっていいでしょう。

(1)知識の段階

解き方、考え方を学ぶ。公式の理解

初学の段階といえるでしょうか。たとえばつるかめ算の解き方を習う、円錐の表面積の出し方を習う。これは知識として持っていなければならないので、まずそこを学習します。

(2)基本の段階

(1)を再現できるといってもいいでしょう。基本問題などを通じ、(1)の知識を自分で使えるのか。覚えているのかを確認する段階ですね。

ここまでは記憶である程度できるといってもいいでしょう。だから覚える、パターン化する勉強が行われます。

(3)応用の段階

単純にいえば応用問題を解くわけですが、ここではまず最初に問題の分析力が問われる。いったい、この問題はどういう構造になっているのか、どういう論理の進め方をすればいいのか、そのどこで(1)を使うのか。


で、良く私が「じっくり考える」といっているのはこの(3)の段階なのです

そして得てしてそれがうまくいかないのは、(2)と同じ解き方、考え方をしようとするからです。

応用問題にまでパターンや記憶を持ち込んでしまうと、それはもう際限がない。だから、言い方は難しいですが、問題の本質を考えないといけない。

どの公式を使うではなく、どう考えていくのか、論理の道筋を見出す必要があるわけです

つまり、(2)と(3)では考え方が違う、解き方が違う

しかし多くのお子さんは(2)の勉強で疲れてしまっているから(つまり大量に再現の練習をしている)、(3)も基本の再現の延長で考えてしまう。

しかし、応用問題はひとつの論理ではできていません。複数の論理が重なっている。Aと考え、次にBと考える、最後にCで答え。みたいな流れですね。

だから、それを一括してひとつのパターンになんかできるわけではないのです。


難関校の入試問題は(3)のレベルばかりでしょう。

したがって、その問題の本質をとらえて考えていく、じっくり、ていねいに。

一気にたくさんの問題練習は当然できません。問題を選んで、おもしろそうだと思いながら、解く。

おもしろそうだ、と思っていないと長続きしません。

でも解けないことが、最初は多いでしょう。だから解答、解説をじっくり読む、先生の話を聞く。その段階で

「あ、そうか、簡単じゃん」

(いや、気づいてしまえば、そういうものなんですが。)

という発見があると、子どもには「考える力」がついていく。

この蓄積が必要なのです。

6年生の前半まではまだ(1)と(2)の段階が続くかもしれません。しかしカリキュラムの範囲が終わったら、その後はむしろ目指す学校の問題に合わせて(3)の練習が必要になってくるのです。

もちろん志望校によって、(3)のレベルが出ない、という学校もありますから、全員が同じ勉強をする必要はありません。

ただ(3)のレベルの問題が出てくる学校であれば、時間をかけて考えることを優先すべきだろうと思います。

私は6年生前半は勉強時間の半分を算数に使って良いと思っています。

「算数の問題を考えるのがおもしろい。」

「算数が好きだ」

というようになってくれば、勉強が苦しくはなくなってくるし、できなくても

次はできる

ようになっていれば、確実に力はついてくるのですから。

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