きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

水俣病認定訴訟

2013-04-17 09:49:54 | Weblog
水俣病認定訴訟        (2013-04.17.)

水俣病の未認定患者がおこした訴訟で昨日(16日)、最高裁で初めて水俣病患者が認定された。

公式認定から57年。この間水俣病を巡る多くの裁判で未認定患者側は行政審査に用いられてきた判断基準の変更を求めたが、国は一時金支払いなどの「政治決着」を繰り返す事で見直しを拒否してきた。上告審判決は基準の合理性を認め、実際の行政審より広く水俣病を認定。遺族らは「基準の運用の誤りが認められた」と評価した。

水俣病の症状は、1)手足の先を針でつついても痛くない。2)血がしたたり落ちても気が付かない。3)熱いグラタン鍋でも平気でつかめる。と言った感覚障害が基本的な特徴である。ところが、政府は1977年に感覚障害に運動失調、視野が狭くなる等の複数症状の組み合わせに拘り、感覚障害のみが出る患者は水俣病と認めなかった。

そして、この基準に、合わない患者は、水俣病患者では無く、「被害者」と名付けて一時金を払ってしのいできた。こうした、一種の分断政策が患者同士の地域差別や対立を生み、行政から水俣病患者と認められない人々を「ニセ患者」だとみなす風潮さえ生まれた。

今回の最高裁判決は、症状に軽重は有っても、水俣に面する不知火海や新潟県阿賀野川の魚を食べた全てのメチル水銀中毒患者を、同じく水俣病患者と認める原則に戻る必要がある。

今回の判決によって、此れからの認定を求める人も増えてくると思うが、重症者だけを考えた現行の認定と保証金を支払う仕組みや医療制度を、より広い範囲の患者にあわせて組み立て直す必要が出家来る事は当然であろうと思う。
(えびなたろう)