きまぐれ発言

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中国の移民ブーム

2013-04-11 11:40:30 | Weblog
中国の移民ブーム       (2013-04.11.)

4月4日の中国メディアが「第3次移民ブーム」と称して2012年1年間、カナダへの移民した人の数が3万2900人にのぼり、中國が、カナダへの最大の「移民輸出国家」と報道している。

2012年の報告に寄れば、中國現代史上3回目の「移民潮(ブーム)」が起きていると報じている。過去2回の移民ブームと比べて今回は、富裕層と企業家が主力で、(約1億6千万円)以上の資産を持つ中国国民の6割は既に海外へ移民してしまったり、あるいは移民を検討している。さらに個人資産1億元以上の富豪企業家では27%が移民済みで、47%が検討中であると言われている。

中国経済と社会を支えて行く“はず”の経営者と富裕層による雪崩式の移民ブームは当然、国内で大きな問題となって居る。
先月5日に開幕した全国人民代表大会では、代表の一人である企業家の“王挺革氏”が「移民による人材と富の流出は甚大で、国家がこうむる損失はあまりにも大きい」と指摘し「一刻の猶予も無くそれを食い止めなければいけない」と提案したといっている。

世界第2位の経済大国となった中国の富裕層と企業家たちが競って海外へ移民するのはなぜか」。前述の王氏が一番理由として挙げて居るのは「財産の安全に対する心配」と言っている。カナダなどの法治国家では個人財産がきちんと保護されているが、体制の違った中国で自分たちの財産が果たして大丈夫なのか、と言う心配が中国の富裕層を移民に駆り立てる最大の理由になっていると言われている。

無論、王氏だけの意見では無く、「中国企業報」や新聞記事などでも取り上げている。高名な経済学者で北京大学光華管理学院教授の張維迎氏も「中国企業家たちに安全感がない。だから移民ブームを起こしている」と語っている。

問題の根っこは、むしろ、当の政府が成り立つ政治体制にある。1990年以来、共産党政権は「社会主義市場経済」を打ち出して独裁体制下での市場経済の発展を推進し、その中で党と政府から独立した企業家層が大きく成長してきた。

その一方、旧態依然の体制の下では、絶大な権力を握る政府各部門が権力をかさに、企業家たちを食い物にし、散々いじめている。党と政府の力が完全に凌駕している状況下では、権力はその気になれば、企業家の財産と安全をいとも簡単に奪う事が出来るし、実際にそうやったケースは数えきれないほどある。

だからこそ、財産を蓄積してきた企業家たちは「究極の安全策」として、海外移民へと走っているのである。

此のままでは、中國から金持ちは殆ど逃げてしまい、独裁政権と、貧乏人だけが国に留まり、最悪の事態に成りかねないのではないでしょうか。
(えびなたろう)