きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

「金融緩和」の危険性

2013-04-16 11:13:44 | Weblog
「金融緩和」の危険性         (2013-04.16.)

元経済企画庁長官だった、田中秀征氏が「政権ウォッチ」と言う記事の中で、“「次元の違う金融緩和」が秘めた危険性”と言う記事を”ダイヤモンドOn line”に掲載している。

彼の経済を見る視点は、「気前が良すぎる貸し手が現れたら、それは大きな異変です。貸し手が、借り手に頭を下げて借りて貰うのは経済法則に著しく反する行為だからです」と言っている。

そして、正常な経済状況下では、金を借りる必要のない人は借りない。そして借りたい人でも返す力の無い人は借りない、また貸し手もそんな人にはかさない。問題は借りる必要のない人が借りたり、返す力のない人が借りる現象が起きる事だ。

リーマンショックの契機となったアメリカ住宅バブルの崩壊もその典型であった。中流家庭に住宅が行き渡ると、バブルを維持するためには低所得者層に拡大せざるを得ない。
返済困難な人にまで融資すれば、当然バブルの崩壊は時間の問題である。

また、貸し手が借り手に「借りて貰う」様になるとモラルハザードが発生する。「あなたが借りてくれと必死に頼んだから借りて遣った」と返済する気持ちが極度に弱くなる。結局それが不良債権として蓄積するのである。

1980年代バブルが弾けた後、宮沢喜一元首相に「何とかならなかったですか」と聞くと、「みんなが歓んでいる時に水を掛けるのは難しいんだな」とつぶやいたと言う事です。

私の念頭に有るのは、言うまでも無く、「次元の違う」金融緩和策。特に日銀が市場に供給する資金量を2年で2倍にするという破天荒な政策だ。資金需要のない所に供給すればその金は何処へ行くか。結局はまず土地や株に向かい、資産バブルをおこさざるを得ない。

銀行も旨味の少ない国債から離れて借り手を探す事に成る。そうすれば、逃げる借り手を追う貸し手と言う不条理な風景が再発するかもしれない。

黒田日銀総裁も勿論その対策を考えているだろうし、金融当局も、学界も、企業や、個人も、80年代バブルの時に多くを学んでいる。

今の所絶好調な「アベノミックスをどの様に着地させるか。官民あげて知恵を絞らなければ、元来た道を再び辿る事に成りかねない。

もしも、この絶好調を堅実な成長過程につなげる事ができれば、アベノミックスの大実験は経済史に深く刻まれる事になると言う事だ。

問題は、其の切り替えの見極めで、そのチャンスを見逃がさない事が、最も大切であると思う。
(えびなたろう)