ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第 159号、再び・イラク復興支援とは何か

2005年09月12日 | 政治関係
教育の広場、第 159号、再び・イラク復興支援とは何か

 〔2004年〕01月28日付けの朝日新聞は「メディア」欄で、自
衛隊のイラク派遣をめぐる主要全国紙6紙の論調をまとめて比
較しています。

それに藤田博司上智大学教授と水島朝穂早稲田大学教授のコ
メントが付いています。藤田さんは「自衛隊のイラク派遣をめ
ぐる各紙の立場」には4つの軸があるとしています。憲法との
整合性、国際社会との関係の視点、日米同盟に対する姿勢、現
地の安全性の評価、です。

確かに与えられた6紙を比較するだけならこの4点でいいか
もしれませんが、このような考え方では6紙が全部見落として
いる視点は落ちてしまうと思います。

そして、私が思うにはこの6紙全部が見落としている点こそ
が大切だと思うのです。というのも、最近の世論調査ではイラ
クへの派遣に反対する人よりも賛成する人の方が多くなってき
ていると報じられているからです。そして、その賛成の理由が
、多分、この点と関係していると思うからです。

では、その点とは何か。それは、自衛隊がイラクでしようと
している事はそれ自体としてはイラクの人々の役に立つ好いこ
となのか、という点です。賛成するようになったという人のイ
ンタビューを聞いていますと、要するに、「憲法はどうか知ら
ないが、イラクの人々が困っている時、それを助けにいくのだ
から、悪い事ではない」という考えです。

しかるに、反対する政治家も有識者もこの点に触れていない
のです。私はこれは大問題だと思います。政治家や有識者の政
治感覚を疑わせます。

私が前回の「イラク復興支援とは何か」で論じたのはまさに
この点だったのです。私の考えは、自衛隊がイラクでしようと
している給水事業とか学校の修復とか病院関係の仕事は、どれ
もみな、イラク人に任せて日本は資金とか資材とか技術とかで
それを側面から援助するのが本当の意味でイラクの人々のため
になる、ということです。

逆に、自衛隊が出ていって何もかもやってしまうのは、イラ
クの人々の生活や技術と合わない、何よりも自立を促さないか
ら、良くない、ということです。

そのほかにスポーツとか芸術とか学術とか宗教とか、その他
考えられる限りの交流をするといい、というのが私の主張でし
た。

皆さんはどう思いますか。ご意見をお寄せください。

(2004年01月30日発行)

     日  本  語  疑  典(その1)

01月26日付けの朝日新聞の「私の視点」欄に前田弘毅(ひろ
たけ)さんがグルジアの問題について寄稿していました。その
中に次の文がありました。

・・それは冷戦以降、若い世代を直接、間接に支援してきた欧
米の影響力拡大であり、一方で、「裏庭」カフカスを手放さな
いとするロシアの必死の巻き返しだった。・・

私が疑問とするのはこの「手放さないとする」という表現で
す。私の感覚ないし知識では、こういう所は「手放すまいとす
る」と、「打ち消し意志」の助動詞「まい」を使うものだと思
うからです。(01月27日執筆)

      日  本  語  疑  典(その2)

01月27日の朝日新聞は中国が世界の工場としてだけでなく、
大市場としても存在感を増していると伝えています。その記事
の中に次の文がありました。

・・~などインフラの不備が懸案として浮上しているが、日本
企業は2008年の五輪や2010年の上海万博もにらみ、中国重視の
手綱をゆるめる気配はない。・・

私の疑問とするのはこういう文脈で「手綱をゆるめる」とい
う慣用句を使うのが正しいのかということです。

辞書を引きますと、「手綱を締める」とは「自分の管理する
部下などの行動を監視して見張る」(必携国語辞典)とあり、
明解国語辞典には「手綱」について「失敗や勝手なまねをしな
いように始終与える注意や監視」と書いてあります。

どこがおかしいのかと考えてみますと、「手綱を締める」と
か「ゆるめる」というのはあくまでも「他人への態度」なのに
、ここで問題になっているのは自分の態度だからなのだと思い
ます。

ここはやはり「中国重視の姿勢を変える(あるいは、再考す
る)気配はない」くらいではないでしょうか。