3月も今日で終りです。
4月1日と聞くとまずはエイプリル・フールですが 私の頭に浮かぶ
4月1日は 古い友M氏の顔で 彼は明日で85才になります。
50年近い昔 当時30代半ばのM氏は『ゴッドファーザー』のヴィトー・
コルレオーネそっくりでした。
映画Comから拝借
M氏とは若い頃のボーリング仲間のため 長い付きあいになります。何回か
呑み会をしたなかで 酔った彼が一度だけ 自分の生い立ちを語りました。
昭和13年４月5日 姉2人がいる家の末っ子長男に生まれた自分は 男手が父
1人の農家であったため 男子の誕生を両親は大喜びした。
早く学校を済ませ百姓をさせるため 出生日を4/1として 父が役場へ届けた。
4/5生まれでは卒業が1年遅れる。出生日の改ざんは 当時はたびたびあった。
幼いころから野良仕事を手伝い 小学校へあがる頃 父親が祖母の古ダンスを
こわして作った机で うすぐらい台所の 裸電球の下で宿題をした。
小学校1ー2年のころ 父の戦死の報せがとどいた。学校から帰るやカバンを
放り出し 百姓を手伝いつつ成長し 苦しい中から 母が高校へやってくれた。
20才そこそこで結婚し子どもが生まれたが 月々の金が入らぬ百姓仕事では
子育てができず 地元の工場の季節工にやとってもらい 休まず勤めた結果
ボーナスのもらえる 正社員にしてもらえた。
若くして父親になったため 40代前半で子どもが巣立ち これで親の役目は
果たした 定年まで20年ほどもある。苦労をかけた女房と 年休を取りつつ
旅をしよう 生まれて初めて自分のために金が使える ああ夢のようだ
と肩の荷がおりたころ 運転免許更新時に目が悪いと言われ 診てもらうと
糖尿病が進んでおり やがて車の運転も仕事もムリになり 50前に退職した。
以来家で細々とニラを作る暮らしになり あっという間に35年の時が流れた。
『M会』の名の呑み会は かつての迷ボウラーが集まって M氏を送り迎えし
年に一度の間隔で 4年前まで続いてきました。
M氏の生きた今まで85年の歳月が もし自分であったなら なんでこうも
不運な星の下に生まれたのかと 普通ならば嘆くでしょうが 彼の口からは
ただの一度も グチは聞きませんでした。
そんな人柄に人が寄るのか 今なおメンバーはM氏を慕い続け ボーリングは
もうしませんが 何十年もの間 年一の呑み会をつづけてきました。
それがコロナで中断し 今はもう 年賀状のみの付きあいになりました。
M氏に小さい字はもう見えないはず 年賀状は奥さんが書いているのでしょう。
エイプリル・フールがくるたびに 私の脳裏には 85年も昔に誕生日を4日早く
された彼が浮かびます。来年の4/1には M氏が元気で86才になれますように。
明日は久々にtel入れてみます。 すらずらと ひとり言が長くなりました。
最後まで読んでいただき ありがとうございました。
といわれています
