被害者は。

毎晩　布団へ入ったらすぐに熟睡しますが　珍しく眠れない夜でして
そうだ    取りだめのビデオでも見ようと　見始めたのは午前2時です。

『遥かなるアルゼンチンタンゴ』はＮＨＫアーカイブスの2時間番組で
情熱のダンスを繰り広げる　息の合ったカップルを　布団の中から観て
バンドネオンの哀愁に　酔っておりました。

 

番組の中ほどだったでしょうか　いきなり画面に    ポワン　ポワンの音と
ともに緊急地震速報です    緊急地震速報です    強い揺れに警戒してください
とアナウンスが2度入り    ピアソラ夫人の下が　速報画面になりました。

なっ　なにっ　徳島で地震発生　強い揺れに警戒　い　いかんっ！
とにかく急いで　夫を起こさねばと　となりの部屋へかけこみ

お父さん　お父さんっ！　早よぉ　起きにゃいかん
南海地震がきた　ついにきたよ！　今から　津波が来るやらしれん
とにかく　早よぉ　ズボンをはきなさいっ！

Ｔシャツと　パンツ一丁で寝ている夫をたたき起こし　玄関のドアを開け
揺れても閉まらんように　ストッパーを出しました。

トレパンをはいて起きてきた夫は　画面の緊急避難指示を見て　とにかく
ＮＨＫ総合をと　画面を切り替えたら　あれれ～　こりゃどうしたことか
なにごともなかったかに　番組が流れています。

スズメの巣頭の夫は　妻の頭を　こつんと小突いて言いました。

「あんたねぇ‥‥ビデオを観よったろ？　この前の　ちょい揺れたとき
取った番組じゃろ？」

ひゃ～～  　言われるまで　気が付きませんでした。今月上旬に
徳島を震源地とした　震度5の地震で　高知市は震度3の揺れでした。

そうかぁ　タンゴの番組は　あのとき放送していた番組じゃったのか
今観ていたものが　ビデオであることを　すっかり忘れていました。

お隣さんのドアを　叩かなくて良かったぁ　ふぅ～～と息をはきました。

幸いにも　被害者は夫だけで済み　時計は　午前3時を過ぎていました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

刺し子。

プール仲間で刺し子をする　〇子さんからもらった　花ふきんです。

左は以前もらったもので　七宝つなぎ　今回もらった右のものは
亀甲花刺し　とそれぞれの模様に　名前があるとのことです。

ふきんといっても　食器を拭くなどは　もったいなくて出来ません。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
刺し子はしたこともありませんが　木綿のさらし布に　方眼用紙のような
線を引き　線に添って　チクチクと手で縫っていくそうです。

今回もらった亀甲花刺しを　1枚仕上げるには　1週間かかるとのことで
一針　一針　　正確に縫い進めなければ　模様がひずんだものになると
素人にも分かり　さらし布が固くなるほど　糸を使ってあります。

ＮＨＫ美の壺の　　『青森の刺し子』　　が先日再放送されました。

雪に閉ざされる厳冬の青森で　厳しい気候ゆえ綿の栽培が出来ず　真冬でも
農民は麻を身に付け　春の訪れを待ったといいます。

江戸時代後期　北前船が木綿糸を運び　女たちは　粗い麻の目を縫いつぶし
保温と衣類の長持ちを兼ねて　刺し子は　生活の知恵から生まれたそうです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
〇子さんは今回　プールのあとの　ワンコインメンバー皆にくださり　時間をかけ
仕上げたものを　もらった皆は大喜びです。

 

土佐のはちきんは逆境に強く　男並みのパワーを見せるが　長続きはせずに
瞬発力はあるが持続力はない　　短距離は得意だが　マラソンは苦手だねぇと
これは私の　まちがった思い込みでした。

人形を　コツコツ作り続ける土佐のマダム　正確な一針ずつを続け　刺し子を
仕上げる友　　どちらも　土佐のはちきんです。

別の友からもらった　お気に入りの一閑張りバッグに　こんな風にして使わせて
もらいます　　ありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

男が惚れる男。

2月のシーラカンス定例会は　月末近くになりました。

先月は休んだため　忘年会以来　2ヵ月ぶりの例会を　待ちかねて
おりました。

　

 

　

2ヵ月前の農閑期には　腹回りが豊かになり　思わず殿さまガエルを連想した
おんちゃん連中も　春田が始まった今　ぐっと　シャープになっています。

今回の話題は　ＮＹヤンキースで　バリバリの活躍をしていた　黒田博樹投手が
年俸20億円(推定)をけり　年俸が五分の一ほどの　　古巣広島カープに復帰した
男気 　になりました。

30代半ばで渡米し　メジャーの5年間で　連続2ケタ勝利を上げた40歳は　今季も
多数のメジャーから　破格の値段でオファーがあったにもかかわらず　古巣広島へ
帰ってきました。

むこうで出来るだけやって　力が落ちたら日本復帰をと　普通はそう考えますが
『　黒田復帰には　昨季4番を打って　レッドソックスを世界一に導いた　マイク・
ナポリが　日本球界入りするほどの価値がある出来事　』　との記事もありました。

自分を育ててくれた　広島へ恩返しをしたい　　義理と人情に厚い　黒田投手の
考えは　田舎のおんちゃん　おばちゃんの　たましいを揺さぶります。

黒田復帰で カープの投手陣はさらに層が厚くなり　今年の広島は脅威です。
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「　黒田は　まっこと　　男が惚れる男じゃのぉ　　　だいたい　金のことを
ごちゃごちゃ言うやつに　　ロクな男は　　おらんきのぉ　　」

ラストオーダーの　大学イモをつまみつつ　そう呟いたおんちゃんは　別の
シーラカンスおんちゃんが　最近パチンコで　負けなしを聞いて　言いました。

「　えっ　そりゃ　どこの店？　あした行かにゃならん　　〇ちゃん　もっと早うに
言うてくれにゃあ　　　あ～ぁ　　今月は　　なん万も負けた　　大損した。。。　」

男が惚れる男になるには　　歳月がかかるようです。

 

 

断捨離。

断捨離とは　不用なモノなどの数を減らし　生活や人生に調和を
もたらそうとする　生活術や処世術のこと　　との説明があります。

家の中は不用品でいっぱい　これがないと生活に支障をきたすと
そういうものは　押し入れの中を見渡しても　ほんの少しです。

先日おじゃましたＴさん邸の　すっきりした空間を見て反省しきりで
モノにあふれているわが家を　ちっとは　片付けようと思います。　

というわけで　　断捨離のしょっぱつは　　まず本類からです。

先月の不用品回収日に　文庫本といっしょに　料理の本も大半は捨て
少しはと残してあったものも　今回　　全部捨てることにしました。

以前は　初めての料理は本を見つつ作ったため　ページを開けると
あちこちに　調味料のシミがあります。

今はＰＣのクックパッドを開けたら　何通りもの作り方が　即わかるという
ありがたさで　料理本は要らなくなりました。

次に　押し入れやタンスの中の　ここ数年着なかった　セーターや衣類も
未練を残さず断捨離です。

今までは　衣類はそのままゴミ袋に入れ　不燃物に出していましたが
洋裁教室の先生を見習い　捨てる前に　ボタンを切り残しました。

これもどうせ　次には断捨離だなと　そう思いつつビンに入れました。

なんか　終活にむけての準備みたいな気もしますが　ま　いいかと
手鏡を覗けば　まゆ毛の中に　 きらっと1本　 シラガが光ります。

楢山節考では　人間は70になったら　役立たずになると考えられ
貧しさの中　　口減らしのために　山へと断捨離されました。

現代では　65歳からの　年金が満額を待ちかねて　仕事を引く人が
多いですが　満額受給年齢が　これからまだ　上がっていきそうです。

それにつれ　やがて　定年が80歳も冗談でなくなれば　そうなれば
70歳は　働き盛りの青年です。　　　　　　　　　　　　　　　

幸せにも身近に　人形作家のしづこさん　プールの浜田峯子さんと
90代の現役選手が2人もおり　お2人から見れば　70なんて　まだまだ
鼻たれ小僧でしょうね。

あれれ～～　　題名は断捨離ですが　ずいぶん脱線しましたねぇ。。。　


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

後継者。

もう昨年になりますが　　92歳の人形作家しづこさん　　の人形を見せてもらいました。

お弟子さんを　取らない主義であるしづこさんですが　　唯一の弟子であるＴさんが
お人形を見せてくださると聞き　友と総勢6人で　Ｔさん邸を訪ねました。

閑静な住宅地に建つＴさん邸は　家の造りや庭　家の中も　一見料亭かと思えるほど
みごとな日本家屋です。

玄関を入り　まず目についた人形がこれで　あ　しづこさんの人形だと　素人の目にも
映りましたが　弟子のＴさん作です。

普段は　出してない人形の数々ですが　今月末から始まる　室戸市吉良川町に並べる
吉良川町並みひな祭りに展示される　おひな様を中心にした人形で　Ｔさんも出されます。

華やかさが主の　お内裏様とおひな様ですが　色を押えた渋いこちらが　私は好きです

これは　カルタ取りに興じる　お姫様たちでしょうか　　建屋の部分は　なんと
Ｔさんのご主人作とのこと

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

しづこさんの人形は　物語の1場面を切り取ったような　そんな情景がありましたが　これは
江戸詰めの　夫からの手紙を読む　留守を守る妻でしょうか　艶々黒髪は黒帯で出来ています

幼い娘を抱き上げる若い母親　　その娘が成長し　親子で涼む　夏の夕暮れでしょうか

 

こちらは　源氏物語を執筆中の紫式部でしょうか　　琴を奏でる後ろ姿もいいもので
周りに置かれた小道具が　これがまた　どれも精巧に作られています

 

しづこさんのお嫁さんシリーズは　立ち姿に気品があって　ほれぼれしました
Ｔさんのお嫁さんシリーズも　受け継がれた　品格があります

 

弟子を取らない主義の　しづこさんの人形に魅せられ　門戸をたたいたＴさん達3人は
断られてもしつこく頼み　弟子になったのは50代前半　　2人はすぐに辞め　1人残った
Ｔさんは　お弁当持参で　師匠の元に通ったそうです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
「　お弁当は持って行ったが　自分の分だけで　　先生の分は持って行かずで‥‥　」
悔いたように言うＴさんは　週一の授業を熱心に3年通い　家へ帰っては　その日の
復習を重ねつつ　　以来10数年作り続けて　しっかり自分のものにしました。

今では立派に　しづこさんの後継者となったＴさんですが　素人が見ても　なぜか
作った人形は作者に似ており　小柄で丸顔　色白のＴさんに　人形はそっくりです。

人形だけでなく　こんなものも作っていました

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
人形の衣装も素晴らしく　今では古布を入手することが　ご苦労だと思います。

吉良川町に　出展する前に見せてもらい　目のお正月をさせてもらいました。

そういえば春節祭の旧正月で　やさしい気持ちになった6人は　すごい　すごいね！
くり返し言いながら　Ｔさんに見送られて　家路につきました。