週末なので閑話です。余太話です。
唐突ですが、今後は柔軟に対応するという姿勢を示唆したものなのか、はたまたツッコミを入れられると困ってしまう外交部報道官の単なるエラーなのかわかりませんけど、
「秦剛、それマジかよ?そんなこと言ってオマエ大丈夫なのか?」
というのが今回の主題です(ただし前口上がやたら長い)。
何せネタがネタですから事は重大です。例の南京事件。中国では不思議なことに「南京大」と呼ばれているそうですが。ってことは豚でも殺したんでしょうかね。
で、その70周年ってことで11月下旬から中国国内メディアは電波記事を飛ばしまくっていましたねー。記念日である12月13日前後がそのピーク。正直、記事集めを日課としている身にとっては不愉快で仕方ありませんでした。反日電波だから、というよりも、電波記事がスペースを奪っているのが嫌なのです。
ネット上のニュースサイトだって新聞と同じように発信できる情報量には限りがあります。例えば50本の記事を掲載しているニュースサイトだと、そこに電波記事が10本混じることでマトモなニュースが10本流れることになります。これが実に惜しい。特に物価高だインフレだと経済が香ばしくなりつつある時期だけに、浮世離れした電波記事には「お前ら邪魔」と言いたくなるじゃありませんか。……とはいえ、
新中国成立以来の数々の自国民に対する残虐無比な振る舞いを隠すために、「中華人民共和国」の歴史が恥ずかしくて情けなくて振り返りたくないことの繰り返しであるために、中共政権はわざわざ60年以上前の出来事を掘り返してきては日本の非を鳴らすのです。
と前回書いた通り、中共一党独裁政権を構成する「中共人」たちにとっては大事なイベント。これも前に書きましたが、「歴史問題」は中共政権がその独裁統治を維持する上で欠かせないアイテムだからです。
それゆえ神経質にもなるようです。『読売新聞』や『産経新聞』が記事や社説で「南京事件」という言葉を使っただけで右翼だの歴史に向き合っていないだのと大騒ぎ。お前らちょっと前に一生懸命ナベツネ持ち上げてたじゃん。忘れた?
あと私がいま毎日少しずつ読んでいる『WiLL』増刊号もお気に召さない様子。あれは恰好の入門書として勉強になりますよ。
まあ、あのNHKの「激流・中国」と同じで、中国国内では発表できない内容が盛り沢山だからうらやましくて悔しくて妬んでいるのかも。これがその記事です。
●「新華網」(2007/12/14/10:24)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-12/14/content_7247820.htm
「歴史を正視することをいまなお拒絶する日本の右翼、南京大を虚構とする一部メディアも」
……ってニュースのくせにタイトル長過ぎ。記事には「東京廣播公司」ってんだからTBS?北京支局のF原って記者が登場。地面に這いつくばって中共の靴をペロペロ舐めてます。
「歴史問題は日中関係の中でも極めて重要な部分だ。日本人記者として客観的に冷静な態度で関連ニュースを報道したい」
っていうのは新華社電の読み方に照らせば「中共史観を受け入れました」ってことなんでしょうね。実名まで出して気合い入ってますね大介クン。ま、せいぜい頑張って下さい。
一方で匿名で取材に応じた日本の通信社の記者も登場します。……って何で匿名なんだろ?(ガッキー調)
「中国では多くの若者が日本のコミックやドラマにたくさん接して日本文化に好感を持っているんだけど、南京大の話になるとやっぱり興奮した態度になる」
……という「発見」があった旨、この匿名記者はさも重大そうに語っています。名前出さなくて良かったですねー馬鹿丸出しのコメントとられちゃってるんですから(笑)。
まあ中共系メディア(しかも電波記事)にオモチャにされている時点でアウト。『北京週報』あたりで老後を送る思惑があるなら別ですけど、それなら大介クンみたいに実名出さなくちゃダメでしょ。
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で、この匿名記者の重大なる発見について、
(1)南京事件の話になると態度を一変させる若者、というのは反日風味満点の愛国主義教育を身体いっぱいに浴びて育った世代のデフォ。
(2)ていうか相手から「自己人」(身内扱い)とみられていないから「仕様」の建前論で応酬されただけなのでは?
といったところではないかと私は思うんですけどね。
「いや実際はさ、歴史問題なんてどうでもいいんだよ。そんなことより就職とか結婚とかさ、せっかく大学出たって……」
あたりまで話を引き出さないといけません。いまの香港人にとってはどうでもいい南京事件、実は中国の若い世代にとっても似たようなものなのでは?
まあ記事自体が電波ゆんゆんですからね。最後には広島平和記念資料館に何度も足を運んだという清華大学の日本問題専門家を登場させて「日本人にとって第二次大戦といえば中国侵略じゃなくて米国の原爆」なんて話をさせたのはいいものの、
「実はその広島は明治天皇が日清戦争を発動したときの『督戦地』であり、中国を侵略した多くの軍艦も広島から出発している。抗日戦争では広島の人間で組織された第五師団(板垣師団)が南京大に直接参与している」
てな形で話をまとめています。記事もここで終了(笑)。どうやら記者も研究者も頭のネジが数本飛んでいるようですが、こういう奴がストーカーになったりするのかも知れません。まあ今では中国そのものが日本のストーカーみたいになっちゃってますけど。
真面目な話、アヘン戦争とか八カ国連合軍による略奪行為とかはどうでもいいんでしょうか。そういえば八カ国の中で日本軍だけは一切略奪を行っていないという事実は中国にとってふれたくない話題でしょうね。恩師の話によると、恩師の祖父である某親王はその日本軍の厳正なる軍紀を目の当たりにして親日家になったそうです。
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一方で何となく空気感のありげな記事もありました。
●南京大は義務だから追憶するということであってはならない(新浪網 2007/12/13/08:04)
http://news.sina.com.cn/pl/2007-12-13/080414511455.shtml
というコラムです。何でも南京大記念館新館の壁際で彫像をひとつひとつ撮影している20歳ちょっとの女のコ(女子大生か?)に、
「もし宿題っていう義務でなくてもここに来る?」
と記者が尋ねたところ、女子大生は笑いながら、
「たぶん来ない。だってもう70年も昔の歴史の話なんだよ。その時代を体験していなけりゃ共感したりするのは難しいと思うし」
と答えた。……という新聞記事を目にしたそうで、そういう誘導尋問的な質問を記者がしたこと、また「20歳くらい」ということでいわゆる「80後」(1980年以降に生まれた世代=一人っ子政策で蝶よ花よと甘やかされて育っているため云々)だからこういう回答になるんだ、というレッテルを記者が意図的に貼っていることにコラム子は憤慨。その上で、
「義務だから南京大を追憶するというのはこの『80後』ひとりだけだろうか?」
と疑問を投げかけています。要するに本音レベルでは「どうでもいいじゃんそんなこと」という風潮が一般化しつつあるのでしょう。ていうか本音が顕在化している?歴史問題じゃなくて政治的ショーだってみんなわかってますからね。
そもそも南京南京と騒いだところでカネにならないし飯の代わりにもなりません。ちなみにカネにも飯にもならない馬鹿げた政治運動から中国人民を解き放ち、本来の「やったもん勝ち&とにかくカネカネキンコ」に戻したのが改革開放政策。
だから「死亡人数なんてどうでもいい」みたいな投げてしまったようなノリが出てくるのかも知れません。
●南京事件70周年式典に6000人(MSN産経ニュース 2007/12/13/19:05)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/071213/chn0712131905004-n1.htm
【南京=前田徹】南京事件70周年記念式典が13日、拡張改修工事を終えた「南京大虐殺記念館」の広大な中庭で行われた。式典には北京から中国共産党中央対外連絡部副部長らが列席、海外からは日本の関係者約400人を含む532人が参列した。学生や人民解放軍兵士ら約6000人も式典に並んだ。展示のテーマは「歴史を忘れず、未来を切り開く」だが、10倍以上に拡張した展示場には虐殺の証拠とされる写真や証言が大量に展示された。
式典は空襲警報のようなサイレンとともに始まった。会場には30万人虐殺犠牲者と明記され、献花がズラリと並んだ。
今回の改修工事の目的について朱成山館長は11日に人民大会堂で行われた記者会見で「より多くの人が展示品を見ることができる。歴史を忘れずということだ。ただ平和を愛し未来を開くことも強調した」と説明した。30万人虐殺が改めて展示で強調されたことについては「南京裁判(南京戦犯軍事法廷)と東京裁判(極東国際軍事裁判)で確認され実証済み」と話した。(後略)
いやいや朱さん、「30万人」と大書するのは先々月の党大会で党規約に加えられた胡錦涛オリジナルの「科学的発展観」にもとるのではないでしょうか。「実証済み」っていうけど実際にはそうじゃないから南京事件を含めた日中共同作業の歴史研究が進められている訳で。
この共同研究については昨年(2006年)10月に安倍晋三・首相(当時)が訪中したときに日中両国が合意して「日中共同プレス発表」にも明記されています。
●日本語版
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe/cn_kr_06/china_kpress.html
●中国語版
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-10/08/content_5177472.htm
ですから結論の出ていない「30万人」を掲げたままだと、お得意の記念館も怪しげなテーマパークになってしまうと思うのですけど。骨なんて反右派闘争か三年困難(大躍進のしっぺ返しといえる飢餓期)か文化大革命で量産されたものがザクザクありますし(いやザクではなくGM)。……でもこの朱さんは、
「南京裁判(南京戦犯軍事法廷)と東京裁判(極東国際軍事裁判)で確認され実証済み」
と自分なりの根拠を持っているからまだマシです。どの記事だか忘れましたけど、
「30万という数字だけは譲れない」
というバナナの叩き売りみたいなものもありましたから(笑)。ただし「根拠がある」といっても朱さんのはあくまでも私見であって公式見解ではありませんね。公式見解は中国政府に直接尋ねてみないと。
ということでようやく秦剛タソの登場です。12月11日の中国外交部報道官定例記者会見から問題の部分をドゾー。
●外交部報道官定例記者会見(新華網 2007/12/11/21:44)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-12/11/content_7231661.htm
記者「改装された南京大虐殺記念館内には日本軍による残酷な虐殺を強調する内容がある一方で、平和の女神像を新たに建立し、かつ未来志向の内容が些か加わった。だが南京大虐殺30万人という死者数は依然として突出して強調されている。これは新たに増設された内容と矛盾するものではないか?」
秦剛「実のところあなたの言う犠牲者30万という人数は、『歴史を忘れず、歴史を鑑として未来に向かう』という精神の体現なのだ。もし私たちが、現在の中日関係の改善と発展を大切にし、世代から世代へと中日友好が受け継がれていくという遠大な目標のために努力するよう子供たちを教育するのであれば、私たちは必ず歴史を記憶しなければならない。この数字が反映しているのはあの悲惨でいたましい歴史だ。日本軍国主義が発動した侵略戦争は中国人民に悲惨な痛みと災禍をもたらした。この戦争は同時に日本人民にも深刻な災難をもたらした。」
ということで、「30万人」という数字に対する中国当局の公式見解は根拠を示すことなく、
●日中友好精神の発露。
●悲惨な歴史の象徴。
という政治的シンボルとして掲げている、という説明のみが行われた次第。これ原文を手際よくまとめて中国国内のあちこちの掲示板にコピペして回ったら秦剛は報道局長になれず現在の副報道局長で据え置かれたまま定年?
いや、読み方によっては中国側が「30万人」という数字は政治的なスローガンのようなものだと暗示したとか、日中共同研究がずっと少ない数字で落ち着く可能性を示唆したともとれるのです。だとすれば重要なメッセージ。実質的には「値切り交渉に応じてもいいよ」というシグナルであり、同時に日本側の見返りを暗に要求してもいるのでしょうけど。
●首相訪中は「年内」に 中国・賈政協主席が要請(MSN産経ニュース 2007/12/08/21:39)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/071208/chn0712082139004-n1.htm
……見返りはやっぱこの辺?まあ土曜日ですし閑話ですから余太話ということで。あっそれから長文スマソということで。m(__)m
「そんな大仰に刻んじゃったら、もうそれ以上増やせないじゃん」
と思ってしまいました。
必要に応じて数字を水増しできるようにしておかないと、
いざという時に困るのではないかと老婆心ながら思うのです。
真夜中ゲリラ作戦を展開して、レーザー光線で「通州大200000人」の巨大文字をシナ大使館上空に浮かび上がらせることは簡単にできそうです。(笑い)
ところで、厳正な軍紀の日本軍に感心したという御家人殿の恩師の祖父の方は某親王とのことですが、想像するに満州にいた粛親王のご関係でしょうか。
紅い国ですから
3倍ってことで・・・
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