日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)






 いきなり何コレ?な写真なんですけど、香港の最大手紙『蘋果日報』(2008/01/09)によるとこれは長江だそうです。ええ、あの長江の武漢市(湖北省)あたり。武漢といえば競馬の話をしたいのですがそれはまた別の機会ということにして、こんな状態なんで水位は観測史上最低記録を更新。水運にも大きな影響が出ているとのこと。ていうか船、浮かんでいないし。

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 長江といえば、私は上海に留学していた1989年の秋に内陸部をひと周りして、最後に重慶から三峡下りで上海まで4日間の船旅をしたことがあります。2人1部屋のコンパートメントが最高級で、乗る以上は絶対それだ、と最初から決めていました。

 ところが当時は職場の紹介状のようなものがなくては入手できない席で、たとえ外国人が専用旅行社で散々粘ってもなかなか取れないプラチナチケット(だった筈)。しかも私は私費留学生だったので料金は中国人の4倍(記憶モード)。嚢中が常に乏しかった私は冗談じゃないと思って闇屋に洋モクを握らせて頑張ってもらいました。

 その重慶には雲南省の昆明から夜行列車(硬臥=B寝台)で入ったのですが、途中で食べた激辛駅弁で夜通しゲイリー&ゲイリー。すっかり衰弱して重慶の駅から町中へと這い出したら水餃子の店があったので「これで救われた」と思って注文したところ、店員さんは碗に水餃子を高々と盛り上げてくれたのですが、最後に真っ赤なタレをだらーっと垂らしました。

 イチゴ味?何で?と思いつつとりあえずそれを絡めて餃子を口に入れたのが運の尽き。唐辛子なんでしょうけど激辛なんて表現ではとても足りないようなビリビリ感がグルグルしているお腹に突き刺さりました。アイヤーってなもんです(成都で食べた元祖・麻婆豆腐よりキツかったアルよ)。

 この身体でドミトリーは無理と思ったのですがホテルの普通の部屋だと高い。という訳で外国人が泊まってはいけない招待所で受付のお爺さんに洋モクを渡したら泊めてもらうことができました。ドミトリー並の料金なのにツインでトイレ&シャワー付き。もちろんテレビもついていて正に地獄に仏。

 当時は天安門事件で四散した全国各地の学生活動家など落ち武者狩りが盛んで、警官が一日に何度も抜き打ちの宿改めをするのが普通でしたけど、この招待所ではなぜかそれがありませんでした。

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 で、その部屋で静養したりちょっと市内観光したり旅行中に親しくなった重慶人と再会を祝したりしつつ四日に一度出る上海行きの船を待ち、幸運にも奔走してくれた闇屋からプラチナチケットを中国人料金でゲット。

 このGJ!な闇屋、私が特に厚遇した訳でもないのに変になついてくる律儀な奴で、出港日に乗船しようとしたら私を待っていて、手荷物を私の部屋まで運び入れてくれました。最後に私の肩をポンと叩いて「達者でな」と笑って、そのあと船員に発見され何だお前はなぜここにいるんだ、と追い立てられるようにして下船していきました。元気かなーあいつ。

 二人部屋の相方は60歳前後とおぼしき北京の大学教授。私と同じくらいの歳の息子(大学生)がいるということで親しくなり、その旅行の主題であった「『ここだけの話』を仕入れる」ことに随分貢献してくれました。

 天安門事件で広場から最後に撤収した学生グループの中に息子がいたとのことでそのときの様子を克明に語ってくれたり、反右派闘争や文化大革命でひどい目に遭ったとか、そりゃもう盛り沢山。そういう際どい話を交わしつつ、いまはダムになってしまった三峡をはじめ、白帝城跡や古戦場・赤壁を船上から眺めたものです。

 ……と余談に流れてしまいましたが、上海までの船旅ですから私も老教授とともにこの武漢を通過……したのではなく、大都市ですからもちろん寄港します。船客は1時間くらい港の周辺を歩くことができるので、私は缶詰を買ったり本屋をのぞいたりしました。

 長江はこのあたりですでに相当な川幅があり、さらに下ると対岸が見えない水平線状態。河口近くになるともう海同然で、崇明島という中洲(でも確か中国第三の島)があるのですがそれを目にすることもできず、ただひたすらに水平線です。後日そこへ行ってみたら、岸辺の波止場(呉淞)からその中洲まで船で2時間かかりました。

 そんな具合ですからこの光景、私にはちょっと信じることができません。何だか右の方に長江を徒歩で横断せんとする人民の姿が映っています。あるいは川幅があるから川床の中心あたりはちゃんと水が流れていて、その辺は船が通れるのかもしれず、その船に用事がある人たちなのでしょうか。都市部は軒並み水不足というような報道がありましたが、この写真をみてさもありなんと納得した次第です。その不足している水自体も相当汚染されているようですが。

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 その水汚染について。つい最近も広東省で断水騒ぎがありました。同省開平市の赤坎鎮を流れる川に生活用水の取水施設があったのですが、そのすぐそばにある工場が突如ドス黒い廃水を直接川に排出し始めたからさあ大変。当局はすぐ取水を停止するとともに工場側に廃水排出をやめさせるよう指導したものの、排水口を塞ぐのに手間取ったうえ、汚れた川はすぐ元通りにはなりません。結局1月7日朝から11日まで合計5日間断水する破目になり、被害を受けた取水施設は赤坎鎮をはじめ近隣3カ鎮の生活用水をまかなっていたので、5万人の生活に影響が出ました。

 ●「新華網」(2008/01/12/10:30)
 http://news.xinhuanet.com/local/2008-01/12/content_7409587.htm

 良かったですねー報道されて、とつい余計なツッコミを入れたくなります。一事が万事ではありませんが、報道された事件の背後には未だ外部にバレていない汚水垂れ流しが100件も1000件も隠れている筈です。田舎にある中小規模の製紙工場なんかで同じようなケースが進行しているのではないでしょうか。

 例えば地元当局の党幹部あたりが工場と癒着していて、地元メディアに圧力を加えておけば報道されないから外部には漏れません。当局としても工場からの税収で潤っているので放置当然です。報道されず放置されているので事件は「ないこと」扱い。事件が起きていないので断水措置がとられることもありません。

 憤った民衆が当局に押しかければ武警さんが待ち伏せしていてフルボッコ。ここで鎮圧に失敗するようでは地元のボスは務まりません。「鎮圧失敗」とは官民衝突の現場写真や映像が流出すること。

 流出してしまえば外部の大手メディアが動いてしまうので上級部門も乗り出してきてボスも年貢の収めどき、ということになりますが、本当のボスならここで粘り腰を発揮して下っ端の担当者を容赦なく処罰する一方、自分は現場に出向いて報道陣の前で応急措置の陣頭指揮。……をするポーズをとって逆に自分の株を上げるところでしょう。

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 そういう悪代官がいるのかどうかはわかりませんが、山西省西北部の農村地区・山陰県で悲惨な事態が進行しつつあります。農民たちの生活用水に高濃度のヒ素が含まれており、中毒者が後を絶たないというのです。

 ●「新華網」(2008/01/08/11:16)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/08/content_7384019.htm

 この地区は昔から井戸水のヒ素含有量が高いことで知られていました。その中でも特に深刻な状況にあった大営村は、衛生部門の統計によると1999年時点でのヒ素中毒患者の割合が実に総人口の48%強。要するに村民の二人に一人はヒ素中毒患者ということになります。

 当局も手をこまねいていた訳ではなく、2002年には山陰県に水道を敷くプロジェクトをスタート(総工費1600万元余)。翌年10月に全工事がめでたく完了しました。……ところが意外なことに、農民たちは水道が敷かれたにもかかわらず、ヒ素が混入している井戸水を使い続けているというのです。

 なぜか、といえば話は簡単。それまで井戸水で暮らしてきた農民たちからすれば、料金をとられる水道水はもったいない、水を使うのにカネを払う馬鹿がいるか、という観念が強く、毒と知りつつも井戸水を使うことをやめないのです。むろん、観念だけでなく貧困も理由のひとつです。ただでさえ貧乏なのに、水を使うたびにカネをとられていたらやっていけない、というものです。

 ……実は貧乏なだけでなく、水道料も割高でした。1トン当たり1.2元という計画だったのですが、記者が取材してみると2.1~2.5元というのが実情。倍取りをしている訳です。この水準は県城(山陰県政府のある都市)の水道料金より高いばかりか、山西省の省都・太原市をも上回る値段。

 ちなみに水道料金については都市部には国の補助が出ますが、目下のところ農村は対象外とのこと。ところが補助金を受けられない農村部こそ住宅密集地ではなく、耕地や森林の広がる風景の中にポツンポツンと農家が点在している訳ですから水道工事のコストも高い。地元当局には農村部ゆえに国の補助金が出ないため、結局コスト分を水道料金に転嫁せざるを得ない、という事情になるようです。

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 農民が井戸水を使い続けている理由は他にもあります。割高な水道料金をとられるだけでなく、各村落まで引かれた水道管から、自宅まで水道を引く設備一式を自己負担しなければならないからです。

 なにせ貧困地区ですから地元当局の財源も潤沢ではありません。このため水道敷設プロジェクトを実施してはみたものの、予算の関係で給水管を各村落に1本ずつ引くのが精一杯。あとは各世帯が費用自己負担で業者にその水道管から自宅まで水道水を引いてもらうことになります。代々井戸水を使ってきた農民にしてみれば、これもまた余計な出費です。

 さらに、メーターを村ごとに共有しているというのも問題のひとつ。現状では村まで引かれている水道管のところにメーターがあり、その先で各世帯が水道を引き込んで使用することになります。つまり村全体の水道使用量を世帯数で割り勘するのです。

 世帯ごとの使用量などそう変わらないので本来なら問題にはならないのですが、どこかの家が業者に設置してもらった給水設備に欠陥があって、……例えば給水管に穴が空いていて常時垂れ流し状態となるとメーターは回りっぱなしです。

 複数の世帯でそういう事態になると、村全体の水道使用量はハネ上がり、割り勘しても負担し切れなくなります。高い,払えない、だから井戸水に戻る。……というケースと、料金未払いのため村までの給水を止められてしまい、やむなく村全体で井戸水生活が復活するケースとがあるようです。

 もちろん、水道料が計画より倍高い訳ですから料金徴収の過程で誰かが着服している可能性があります。業者の手抜き工事も問題とすべきかも知れません。残念ながら取材班はそれ以上踏み込むことができずに終わったようですが、農民たちが井戸水生活に戻り、ヒ素含有量の高い生活用水で暮らし、中毒患者を出し続けていることは事実です。

 しかもこういう状況、実は山陰県に限ったことではなく、山西省南部の臨汾市、運城市の農村部などでも似たような事態が進行しているとのこと。深刻です。

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 水の次は空気。第一次全国汚染源調査活動弁公室の朱建平・副主任が1月7日明らかにしたところによると、現在、中国国内では空気が国の定めた安全基準に達していない都市が全体の三分の一に及んでいるそうです。工場や自動車、オートバイなどの排気による汚染が原因だとか。常にスモッグに包まれているような状態なのでしょうか。

 ●「新華網」(2008/01/07/17:04)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2008-01/07/content_7379985.htm

 そういえば1月8日に上海がものすごい濃霧に覆われたそうですね。空港や高速道路も封鎖されたほどで、最も深刻な時点での可視距離はわずか20m。純粋な自然現象なのか大気汚染によるものかはわかりませんが、これでは名将・木村昌福少将をもってしてもキスカ島の友軍5200名を救出することはできないでしょう。

 ●「中時電子報」(2008/01/08)
 http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,130505+132008010801960,00.html

 ……あっそういえば上に出てきた朱建平副主任は水の話もしていました。全国の地表水のうち、生活用水として使用できるのは全体の半分にも満たないということ。残りは汚染されているのでしょう。

 水が汚染されていればそれは土壌にも波及します。灌漑施設を通って耕地をも毒するということです。この土壌汚染について1月8日、国家環境保護局の周生賢・局長が具体的な数字は挙げていないものの、「事態は非常に深刻だ」と語っています。

 ●「環球網」(2008/01/08/19:03)
 http://china.huanqiu.com/politics/2008-01/44576.html

 土壌汚染が進んでいれば、そこで栽培される作物も当然影響を受ける訳で。有毒物質が根から入るために表面をいくら神経質に洗っても意味がない、という始末の悪いことになります。しかも中国の農民は農薬漬けがなぜか大好き。収穫した作物を不必要なまでに毒々しい原色にお化粧させるのもお好みのようで。

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 水も空気も食べ物も素敵なまでに毒素満載。こうなると誰でも考えるのがこれでやるのか北京五輪?ということ。『読売新聞』電子版が記事にしています。



 ●北京五輪、大気も食品も不安…20か国が直前合宿に日本へ(YOMIURI ONLINE 2008/01/13/09:38)
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080113it02.htm

 今年は20年ぶりに夏季五輪がアジアで開催されるオリンピックイヤー。8月8日に開幕する北京五輪の直前合宿地として、日本を希望する国が相次いでいる。

 悪評高い中国の大気汚染や食の安全性への不安から、「滞在費が少々高くついても、最終調整は世界陸上などで実績のある日本で」という戦略だ。すでに20か国が名乗りを上げ、うち8か国は受け入れ先も決定した。

 夏ごろには、世界のトップアスリートが日本に集結しそうだ。

 日本オリンピック委員会(JOC)などによると、日本での合宿が内定しているのは米国、英国、ドイツ、フランス、アイルランド、スウェーデン、フィンランド、オランダの欧米勢。陸上や水泳、カヌーなどの選手が五輪直前の7~8月に日本入りする。

 選手村に入村すると練習場所の確保が難しいため、過去の五輪でも気象条件や時差を考え、開催都市の近くで合宿する国は多かった。

 今回は開催都市の北京特有の事情もある。昨年11月に香川県に直前合宿を打診してきたボートのフィンランド代表のコーチは「北京に長く滞在するリスクは避けたい」と漏らした。翌月にはフィンランドのカヌーチームからも同様の打診があり、県の担当者は、「屋外競技の選手は、大気の状態に神経質になっている」と受け止めた。英国の水泳チームのマネジャーも、大阪市の担当者に、「中国では大気汚染や食事に不安がある」と話したという。(中略)

  本番が近づけば、日本で合宿する国はもっと増えそうだ。



 香港紙『明報』がこのニュースを目ざとく拾い上げて記事にしています。

 ●五輪特需を狙う 日本が欧米選手の合宿誘致(明報 2008/01/14)
 http://hk.news.yahoo.com/080113/12/2mxvy.html

 いや特需を狙っている訳でも強引に誘致している訳でもなく、向こうから慕って集まってくるという話なんですけど。……香港紙はすぐこういう商魂たくましげなエゲツナイ見出しにするから嫌ですね。

 ただ記事本文では北京の大気汚染や食の安全の問題をちゃんと指摘しています。

「五輪誘致で北京に敗れた大阪市が誘致目的で建設したプールが北京五輪に備える最良の合宿地となっている」

 とのことです。

 水と空気と食べ物と。……あともうひとつ、何か忘れてはいませんか?

 ●「北京五輪、最大の課題は中国人観客のマナー」ってお前が言うな!(2007/08/09)

 変ですね。本当は上海リニアの話をするつもりだったのに……。




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コメント
 
 
 
支那崩壊は時間の問題 (青雲大空)
2008-01-15 15:58:40
武漢(wuhan)でこんな有様では河口の上海には淡水が届かないであろう。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b4/Wuhan_location.png
黄河は既にこの様な状態と聞いているので、当初は黄河と思っていた。
水を治める者が国を治めるの例え通り、治水事業は為政者の一大事業だ。
支那の二大河川がこの現状では支那崩壊も近いと感じる。
 
 
 
Unknown (ぽん)
2008-01-15 18:56:48
長江と聞けば、満々と水を湛える姿しか思い浮かばなかったので、この写真はおぞましい限りですが、仮に長江断流などという事態になれば一体どうなる事か。
しかし、この有様では、華北における水不足解消の切札たる南水北調計画は…。
 
 
 
黄河が干上がり… (90)
2008-01-15 20:37:35
こんばんは。

黄河が干上がっている話は聞いていたのですが、長江までこうなっているとは驚きです。NHKの「激流中国」で北京の水不足解消のため華南地方の水を華北へ流す話をしていましたが、これで流せるのでしょうか。勝海舟が「揚子江を見るとシナの大きさ、日本の小ささが分かる」と賞賛したのに、勝海舟も歎くでしょう。

ところで、某巨大掲示板でシナに駐在中という人が「シナ農民は貧しく見えても出稼ぎでテレビとか揃えて裕福だし、公害がひどいと言っても昔の日本も同じ、水不足は昔からなので中国が破滅することはない」と言う意味のことを言っていました。あまりにも楽観的だと思ったのですが、どうでしょうか?私は詭弁だと思ったのですが。
 
 
 
青雲大空さんへ (御家人)
2008-01-15 20:42:02
黄河では棲息していた魚類の三分の一がすでに絶滅とのことです。

 ●黃河三分之一魚類種群已絕跡(新華網 2007/01/16/15:59)
 ttp://news.xinhuanet.com/politics/2007-01/16/content_5613178.htm

 ●黄河危うし!環境問題でも斬り結ぶ「中央」と「地方」。(2007/01/17)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/17f05927bcfa2ec9a41993742f8fe224

 さらに渤海ではすでに魚類が絶滅状態とのこと。

 ●渤海生態瀕臨死亡
 ttp://hk.news.yahoo.com/070112/12/1zv8u.html

>水を治める者が国を治めるの例え通り、治水事業は為政者の一大事業だ。
 正にその通りなんですよね。逆にいうと、黄河や長江などの大河が中国の豊穣な歴史を育み、中国自体を成立させてきたともいえます。それだけに単に「干上がりました」で済む話ではないように思います。長江では武漢よりさらに上流の重慶あたりで、歴史的低水位ということが昨年すでに報じられていました。

 ともあれ以前の長江を実見した者としては、すごくショッキングな写真でした。動画とかがあれば是非みてみたいです。いや、観たいような観たくないような……でもやっぱり観ないといけないんでしょうけど。
 
 
 
ぽんさんへ (御家人)
2008-01-15 20:43:00
 長江は武漢あたりでも相当な川幅があるので、たぶん川床の真ん中あたりは一応それなりの水量があるのではないかと思います。というかそう信じたいです。この写真は低水位を強調するためのアングルで撮影されているので、歩いて渡河できるほどひどくはないのではないか、というのが私の希望的な予想です。

 ただ、だから船はまだ通れるといっても、それならそれで、その水のあるあたりに応急桟橋のようなものを設置する必要がある訳で、ともあれ従来のインフラは全く機能していないことになるので深刻です。水量と同時に水質も心配。

>しかし、この有様では、華北における水不足解消の切札たる南水北調計画は…。
 あの計画も水質汚染が深刻で、「汚れた水を引いてきてもらっても迷惑」みたいな声もあがっているようです。華北といえば現時点では「北京五輪を開催できるだけの環境整備」(これ自体もんのすごーいトピックですよね)が最重要課題でしょうけど、北京を取り巻く形のため、にことごとく北京に奉仕させられて犠牲になっている河北省の関係者に本音をぶちまけてほしいところです。
 
 
 
90さんへ (御家人)
2008-01-15 21:05:47
 上でも書きましたが、南水北調計画は本当に水量が確保できるのかという懸念とともに、汚染された水を運んでくるだけではないかという声が出ています。何でもその流域には公害企業みたいな工場がたくさんあるそうで、中央政府はそれを潰しにかかりたいようです。ただ税収の大幅減や雇用機会喪失などの問題をもろかぶりすることになる地元当局の抵抗も予想され、「きれいな水をたくさん華北に運ぶ」ことが実現するかどうかは疑問です。

>ところで、某巨大掲示板でシナに駐在中という人が「シナ農民は貧しく見えても出稼ぎでテレビとか揃えて裕福だし、公害が……
 これは、実際に現地に入ったことのない私には何ともいえません。ただ「テレビとか揃えて裕福」というのは都市部でいえば1980年代の感覚ですし、インターネット人口が1億数千万人(=事実上の都市部限定メディア)ということからも、農民と都市部住民との格差は私たちの予想以上ではないかと思います。そもそも「出稼ぎで裕福」という物言い自体に問題があるようにも思います。都市から農村を見下した発言ではないかと。

 今回のエントリーで紹介したヒ素含有量の高い井戸水で生活する農民の話は、恐らく他の地域でも類似例があると思います。あの記事自体も山西省西北部の山陰県のみをカバーしていて、「山西省南部の臨汾市や運城市の農村部でも同じような問題が」と端折っているくらいですから。報道されただけマシなのです。ずいぶん前に「貴州省の人口の半分がフッ素中毒者」という事例を紹介したこともあります。そうしたことを踏まえた上で、

「出稼ぎでテレビとか揃えて裕福だし」
「公害がひどいと言っても昔の日本と同じ」

 となお平気で言っていられるのかどうか。

「テレビがある=裕福って何十年前の話?」
「いま21世紀だって知ってる?なぜ日本の公害に学ばなかったの?」

 と切り返したくなります。

 ちなみに、そのうち正確な統計が出てくるでしょうけど、収入面での都市と農村の格差は拡大傾向に歯止めがかかっていない状況とのことです。これに福利厚生なども加味すれば生活面での格差はより広がることになります。……といった地域間格差や業種間格差といった「富の分配の不公平」に関する論文がここ数日で大量にネット上に出てきていて、一応拾っておく必要があるので私は毎日泣きながら記事漁りをしています(笑)。
 
 
 
永年の疑問 (はげ親爺)
2008-01-15 22:08:53
今日のエントリーを読み、永年の疑問がひとつ解けたような気がします。

今は昔、学校で教わった「古代文明は大河の畔に生まれ・・・・」と云う説。ナイル河畔のエジプト文明、インダス河のモヘンジョダロ、チグリス・ユーフラテス下流のシュメール・・・・一度はみな滅びた文明なのに支那文明だけは何故滅びず今に続くのか、と云う疑問。

支那文明は唐代までは黄河に、それ以降は揚子江のお世話になっていたんですね。つまり実母に養母と文明を育む母を二人も持つ特殊かつ例外環境だったんですね。

ここへ来て南の養母も気息奄々の兆し・・・・ウ~ン、文明文化の生死に最終責任を持つのが支那の皇帝ですから・・・・!!!!
 
 
 
これは大変だ(棒読み (きんぎんすなご)
2008-01-16 08:09:28
あけおめことよろです。
といってももうどんと祭も終わってしまいましたが(苦笑

長江の水運に頼っている重慶近郊の重化学工業の中の人は大変でしょうねェ
特に某最大手T自動車なんて只でさえ内陸部にまで工場(成都でRV車造っているとか)造らされて水運の輸送コスト削減の為に輸送日数削減に必死になっているのに…
でもこのお陰で工場稼働率低下して中国一の公害都市との名誉危うし
 
 
 
はげ親爺さんへ (御家人)
2008-01-16 09:56:48
>支那文明は唐代までは黄河に、それ以降は揚子江のお世話になっていたんですね。
>つまり実母に養母と文明を育む母を二人も持つ特殊かつ例外環境だったんですね。
 そういうことなのかも知れません。少なくともあの二大大河がなければ穀倉地帯も十分に持てず、あれほどの人口を維持することはできなかったでしょう。さもなくば文明めいたものも成立せず、「中華思想」という呪縛に中国人がとらわれることもなかった可能性があります。ともあれ現状は、黄河と長江の源流ともいえるヒマラヤ付近の氷河の面積がものすごいペースで減少しているそうです。

 黄河といえば、坂本龍一の古い楽曲に「高土高原」という、字面のイメージ先行でちょっと勘違い気味の讃歌めいた名曲があるのですが、現状は勘違いどころか全くの悲惨な別風景に成り果てたといえるかも知れません。
 
 
 
きんぎんすなごさんへ (御家人)
2008-01-16 09:57:08
 明けましておめでとうございます。昨年は実に得難い体験をすることができました。今年も李登輝さんに来日してほしいものです。

>長江の水運に頼っている重慶近郊の重化学工業の中の人は大変でしょうねェ
>特に某最大手T自動車なんて只でさえ内陸部にまで工場(成都でRV車造っているとか)造らされて
 本当に大変ですねこれは(棒読み)。重慶とか成都とか、旧日本軍すら進出しなかった奥地に出ていっちゃあいけません。攻勢終末点を無視して戦場を広げたらどうなるか、ガ島戦であれほど痛い目に遭ったのに……。案の定、補給線が伸び切ったところで水位低下で見事にやられていますね。ガ島では上陸した日本軍の3分の2が生還できませんでした(戦死より餓死や病死が多かったとか)が、現代の第十七軍は如何なる結末を迎えることやら。

>でもこのお陰で工場稼働率低下して中国一の公害都市との名誉危うし
 中国一の公害都市は山西省の臨汾市かと思っていましたが、あれは大気汚染度ランキングだったのかも。
 
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