香港人である私の配偶者も配偶者の姉も、配偶者の従妹のアオイちゃんも副業先の編集長も、みんな非国民です。晴れの北京五輪開会式を「興味ないし」などと言って、揃ってスルーしやがりました。
ちゃんと観たのは,私だけ。それでも選手入場の途中で疲れてテレビを消しました。
辟易した気分で居間を離れようとする私に「面白かった?」と配偶者が尋ねたので、立ちかけた腰を下ろしてちょっと考えました。オサーン道まっしぐらの私は、ここは駄洒落で返さなければと思い、
「まあ、あれだな。中国はマスゲームでマスをかいたってとこだな」
と、際どい一言を飛ばしました。もちろん配偶者には通じません。
「マスをかくって、どういう意味?」
「ああ、『打飛機』のことだよ」
と広東語に翻訳してやると、生々しさを感じたのか配偶者は眉をひそめてしまいました。……でもこれ、品がないかも知れませんけど、私にしては上出来なオヤジギャグだと思いました。
北京五輪のかくも冗漫なイベントは、中国と漢人が「マスゲームでマスをかいた」としか表現しようがないものでした。
世界各地で行われた聖火リレーへの非難活動に対して、地元在住の中国人は五輪旗ではなく中国の国旗である五星紅旗を掲げて対抗しました。長野で行われた聖火リレー、赤旗で埋まったあの異様な光景を御記憶の方も大勢いることでしょう。まるで付託された聖火を「自分のもの」とでも言わんばかりの傲慢な姿勢。
今回行われた五輪開会式でのイベントも,同様です。世界の視聴者ではなく、自国民を陶酔させるための演目でした。要するに国威発揚です。
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選手団入場まで1時間余りを要したあの長ったらしいセレモニーは何なのでしょう。いかにも張芸謀らしい演出ではありました。ただ30分くらいで済むならともかく、大作を撮るのに慣れた映画監督によって60分以上も中国の手淫を全世界に垂れ流されてはかないません。何のための開会式か、と言いたくなるじゃありませんか。
現場で観客として眺めていれば多少は面白かったのかも知れませんが、それも最初のあたりだけ。余りに長過ぎます。私なら「いい加減にしろ」と厭きてしまい、途中で席を立って売店でもあればそこでコーヒーを飲んでいたと思います。そして中国のコーヒーであるがゆえに下痢をしてトイレで苦悶を繰り返していたことでしょう。
いわゆる「中華民族」なるものの優良な文化・伝統をその源泉からたどってみせる内容でしたが、
「中国史は近代になればなるほどつまらなくなる。春秋・戦国時代のあの面白さ」
という意味のことを故・司馬遼太郎さんがしばしば書いていましたけど、正にそれを再確認させられる作業でしたね。
西洋人なら「フーマンチュー&スージーキュー」(@YMO)てな感じでオリエンタルぶりを楽しめたのかも知れませんけど、鄭和まで登場させたので私は嫌になりました。自分の晴れやかな故事をひとつ話に周囲へ何度も語って聞かせる老人のようなものです。また、「誰それ?」と言われそうな鄭和まで持ち出してきたことで、私はこのセレモニーが自国民向けのものだと確認することができました。
オリンピックはスポーツの世界的祭典です。その開幕セレモニーには当然ながら「世界」を意識し強調するテイストが色濃く反映されるべきではないでしょうか。
お国自慢を延々と見せつけた挙げ句、最後の最後にちょっとだけ「ONE WORLD ONE DREAM」を必須科目のように付け足した1時間を超える冗長な北京五輪の開幕セレモニーに、私はとても拍手を送る気にはなりませんでした。
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興味深かったのは、明王朝から清王朝あたり?の時期から、いきなりいま現在にワープしたことです(笑)。近代化に失敗して列強諸国に散々喰い物にされたという黒歴史は封印ですか(笑)。世界の「現在」や「調和・共存」に直接関わりのない、また今どき斬新でも何でもない宇宙飛行士が賑々しく登場したのも自己陶酔としかいいようがありません。
なるほど晴れの有人宇宙飛行の決行日に小泉純一郎・首相(当時)が靖国神社を参拝したことに激怒するという独特の国柄な訳です。当時は靖国参拝より歴史的な一日を汚されたという意味で中国は大反発していましたから。所詮は「特亜」という訳ですね。わかります。
結局セレモニーの七割方は昔話に終始した形になりましたけど、そのいま自慢している数々の有形無形の伝統文化を、僅々40年前に「文化大革命」の名の下に破壊して回り、伝統文化に携わっていた人や研究者を片っ端から「人民裁判」という名のリンチにかけてサクサク殺していたことを思うと,何とも皮肉な気分になります。
中共政権の統治下で世界に誇るべきものが何もなく、珍しくもない宇宙飛行士しか出し物がなかったというのは象徴的です。また、基本的にお国自慢に終始していて、「世界的祭典」という主題から甚だしく逸脱していたことも「いかにも」というべきでしょう。
要するにこの延々としたセレモニーは主として自国民に向けられたもので、国威発揚、つまり中共政権の求心力向上こそが真のテーマということでしょう。まあ、聖火リレーを無数の五星紅旗で取り囲んで気勢を上げていたのと同じ精神構造であります。それゆえに私は、
「中共政権がマスゲームでマスをかいた」
と敢えて下品に表現したいのです。このセレモニーに酔う中国国民が大勢を占めるのであれば、これも民度であり、愚民教育の成果ということになるでしょう。
今日は朝っぱらからの電話で叩き起こされたのですが、私が出てみると留学時代に仲のよかった中国人学生の一人で、いまは某国有企業の管理職。私と同じ六四世代で1989年の民主化運動には積極的に関与し、長じても覚めている男です。漢族ながら漢人に非ず。
で、奴はたまたま出張で香港に出てきたとのことで、問題のセレモニーも香港のテレビで観たそうです。久闊を叙するのもそこそこに、
「見たかあの出し物?最高だろ?全く救いようがないよな」
とまくし立ててくれました。もちろん私も即同意。……そうなのです。まさに号砲一発、五輪すら求心力向上の機会にせざるを得ない中共政権の、「救いようがない」終わりの始まりという幕があがったといっていいでしょう。
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途中居眠りしながら私も見てしまいました。やっと「我が意を得たり」の思いがするブログに出合いました。おっしゃるとおりだと思います。中国は大国であり、古代文明の発祥地である事は世界中誰でも知っている事ですが、彼らが主張したのはそれだけです。「それがどうしたの?」という気分です。世界に向かって何も夢を発してはいません。夢も希望もないとはこの事です。バルセロナのような造形も色彩感もなく、北朝鮮か某学会を思わせる人海戦術のみでした。センス最悪でした。まさに「自国民向け」ですね。これを誉めあげる日本のテレビ芸人の神経も最悪ですね。
何度も香港映画のワイヤーを使った手法を見せ付けられて、眠くなって、途中で見るのを止めました。
火薬だろと思いつつ、観続けました。
NHKが選んだ司会者のレベルに絶望しました。
中国一のピアニストの隣に座っていた女の子の
仕草とかとても微笑ましく無かったですか?
どうせなら中国語での国名も表示すれば良いのに。
鄭和を出してきたことは、中国が海洋政策を
進めていくぞっていう意思表示だと思います。
一番初めに孔子を出してきたのだって
ソフトパワーで工作するためだと…。
あのオープニングを観て中国共産党が
何のためにオリンピックを開きたがったのか
よくわかりませんでした。
「飛行機墜とし」ですか。お下品ね。
小生もあの茶番を見て「自模」意外に形容する言葉が見つかりませんでした。
さらにニュージーランドのテレビ解説者も襲われた模様。
初日でコレですよ。流石ですな。
しかしこれはオープニングに過ぎません。大切なのはオリンピックが終わったときです。全世界の人に感動を残すか、軽蔑を残すか、後者を予想していたのですが、実際には恐怖でした。
もう一人、米国人が殺されてしまいました。こんなむちゃくちゃな五輪がかつてあったでしょうか?
ま、人民の意識がそうだからちょうど良いんでしょうけど。ww
あのワイヤーワークは程小東の指導だそうですよ。香港映画と同じく全部人力でやってたそうで。彼も最近は大陸専門になっちゃってますからね。
ところで、清朝から現代にすっ飛んだのも大笑いでしたけど、そもそも清朝って漢民族じゃないんじゃ
その辺、中共政府的には没問題なんですかね。ww
1.最初の太鼓集団。まるで皇帝を楽しませるためにかき集められた古代の奴隷達のようだった。
2.論語の大合唱。だれも孔子なんか尊敬してないくせに。しかもその文句が「友あり遠方より来たり。また楽しからずや」だって。だれも外国人を歓迎なんかしてないくせに。
3.紙と活版印刷と羅針盤の発明。物が主役で、人は主役になり得ない。しかも、それらはみな昔の話。近現代の中国には、誇るべきどんな文化があるのか。何もない。
4.50余りの民族の子供達が仲良く手をつないで登場。何て偽善的な光景。
5.最後に現れた地球儀に、日本が描かれてなかった。私の見間違いでなければ。
全く、突っ込み所満載のショーでした。
で、今日、東京オリンピックのDVDを見直していたのですが、本当に心が洗われますよ。やはり私は日本人でよかったなあ、と思いました。我々は普遍性を備えた民族だと思いましたよ。
ま、しばらくはテレビで競技を楽しむことにします。
併せて、御家人さんが帰ってきてくれて、うれしいです。
ちなみにpiyoさま。「打飛機」は飛行機の操縦って意味だと思いますよ。言い得て妙ですなあ。
王朝は腐敗と農民の乱によって倒れ、それが官吏・軍人階級に乗っ取られ、新王朝が成立し大発展、やがて皇帝は飾り物になり、閨閥に宦官や腐敗官吏がはびこり、農民の乱が多発して動乱・・・以下同文。w
現在の支那は動乱期に突入する条件がほぼ整ってきたようです。
閨閥も腐敗も農民の乱も揃いました。貧富のさも絶望的なほどつき、さすがに宦官は居いませんが幇間はゾロゾロいそうです。w
あとは誰かがポンと新たな英雄の背を押せば、大スペクタル活劇・新三国志とか新水滸伝の世界が広がりそうであります。w
地球儀に日本はなかったと思います。
我が家でも見つからなくて親子で突っ込みいれてましたから。ちなみに各国民族衣装も和服は見つかりませんでした。ww
>>町方同心さん。
ここ最近の聖火点灯で一番感動したのは五輪ではなくてアジアゲームのアラブ種の馬で駆け上がったのでしたね。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=103342&servcode=600§code=670
私はラスト付近しか見てませんでした・・・。
流石は中国、オリンピックである事を 忘 れ させるくらい幻覚もとい幻想的でした(失笑)。
(観客にドラッグでも配付されてたのかな?)
ワイヤーアクションですか…安全なのかな? と。
安全策を微塵も垣間見せず人々の頭上を…、まさに失礼な今の中国の暗喩でしょうか?
道理で予想されてた国民的云々のバスケットボール選手ではなく体操選手な訳ですね。
(宙釣り状態で走っている姿を維持できるのは全身満遍なく鍛えた人でないと)
あと花火。
情緒も何もないですね。
あれならアンタらの大々々好きな爆竹でいいやん、と画面にツッコミを入れてしまいました。
観客は離籍できなかったらしいですからトイレの件が人事ながら心配でした。
鳥の巣に屋根がなく 風通し が良かったですね、と。
http://www.youtube.com/watch?v=gSA9xUUXj6E
今回のはわたしはみてなくて、あとで家族や友人に確認したのですが、「マスゲームすごかった。きれいだった。でもそんだけ」「過去の文明がすごいのはわかった。…で、いまのお前らはどうなんだっていう」という感想でした。
ttp://www.47news.jp/CN/200808/CN2008081001000755.html
李元総統、来月沖縄訪問=昨年5月以来の訪日-台湾
ttp://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2008081000170
これは楽しみですね。
いや、演出としては悪くないんですが、あれが五輪のとなると本末転倒、で、長すぎですね、開会式は本質としてショーではないので。
まぁ、そんな折ではありますが我らがファンタジスタが密かに面目躍如ですwww
『AERA』で「中国はもう終わりだよ」と平気で取材に
のたまえる御仁ですから、まぁ怖いわけがある筈がありませんw
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-465.html
8月8日は僕はオリンピック反対国民大集会に参加しました。
400人が参加して熱気むんむんでしたね。
特にシュプレヒコールのときは本当に盛り上がりました。
反中闘争ー諸民族糾合でアジア解放の運動を
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-466.html
北京虐殺五輪開幕、各地で抗議行動!
http://dadao.kt.fc2.com/ron159.htm
8・8 都内で北京五輪反対集会
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/08/html/d69031.html
あだしごとはさておき。
8月15日が近づいてきました。蝉時雨の中、背筋をピンと伸ばしこころ静かに参拝しようと思っています。願わくば、衆生の喧噪の無き事を。
金メダル量産で浮かれている裏で、いよいよ崩壊の序曲が終わり、幕が上がろうとしているようです。
割り切ってしまえばそれなりに見応えのある「作品」ではありました。
しかしあの選手入場行進はなんでしょうな。
アメリカとかロシアに対する歓声のデカイことデカイこと(笑)
中国人観客は、総じてアジアの国々対しては何の感慨も無いようでありました。
地球儀の地図画像も実はCG合成だった、なんて爆弾証言でないかなw
さて五輪開催前から、建設途中のビルに完成した姿の壁紙を張ったり道路沿いに目隠し五輪の巨大看板を立てたりなどなど体裁と面子に拘るあまりネタに事欠かない中共ですが、開会式の空撮花火CG映像に吹替え少女歌謡など開催中もまだまだ出てきそうですね。
個人的には、これがヒット作
五輪プレスキットに“ゆうこりん”!?
http://www.sanspo.com/shakai/news/080812/sha0808121637021-n1.htm
久々に自分のブログを更新しようと思い、「中国政府のオ○ニー」とでも題して書こうかなと思いつつ、でもちょっと下品になりはしないかと考慮していた。
しかし、何気なくここを見たところ、もうすでにここに書かれてあり、私のような者が考えることはもうすでに・・・と驚くやらほっとするやらでして。
さすが御家人さん!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ(ry
またコメントさせてもらいます。
これからも体に気をつけてブログをつづけてください。
もし良ければ暇なときにでも見て頂ければ幸いです。
↓
中国で日本語を教える
http://plaza.rakuten.co.jp/lijiacheng
「やむを得ぬよ」と 試金石かな
開会式の花火を見ながら、思いました。『あれだけ連続で打ち上げているのに、煙で花火が見えないという事が起きないのは不思議だなあ』。今年、小生の地元で行われた花火大会では、フィナーレを飾る三尺玉の連続打ち上げが、露払いのスターマインによる花火の煙により・全・く・見・え・な・い・!!という悲劇があったので、直感的に気が付きました。
まあ、中国国体に世界の選手が出ている珍妙な運動会であるだけに、どうでもいいですが。
世界陸上・サッカーワールドカップなどが行われる昨今にあって、お祭り騒ぎをすればするほど、世界から孤立する中国が、滑稽かつ哀れですな。どうでもいいけど。随意ニイ便!!
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