日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)




 前に引用したリンクを再利用しますが、反政府系ニュースサイト「大紀元」によると、9月中に29省・自治区でデモないし抗議活動が発生したということです。

 http://www.epochtimes.com/gb/4/10/27/n700739.htm

 それにつけても思うのは、天安門事件(六四)に象徴される1989年の民主化運動は、運動の主体があくまでも学生や一部の知識人で、市民はそれを応援・支援するというスタイルでした。
 しかし現今の中国社会において散発的に繰り返されるこうした運動の担い手は、失業者であったり、リストラの決まった工員であったり、政府に土地を強制収用された農民であったり、あるいは今回のような定年退職者であったりと、生活を背負う人々が行動に出ています。
 その点についていえば、社会状況は1988~1989年当時より遥かにに悪化していると言うことができるかと思います。(「安徽省の老人デモ詳報(下)」2004/10/26)

 何が言いたいかというと、学生は何をしているのか、ということです。

 失業者
 リストラを通告された工員
 政府に土地を強制収用された農民
 定年退職者
 ――こういう人たちかやむにやまれず立ち上がっているというのに……生活を背負っていない連中、危機感なさすぎです。
 それとも、普通に暮らしている分には、危機のカケラすら感じることができないのでしょうか。

 例えば1989年の民主化運動、あれは突発したものではなくて、その前年である1988年後半には政治・経済・社会の各面において、そういう運動が起きるための条件がほぼ揃っていました。
 そして1989年の胡耀邦死去を契機に、世相に最も敏感に反応した大学生が立ち上がった訳です。
 中国政府が天安門事件(六四)の後に強調しているように、運動が盛り上がっていく過程では、国外の民主化運動団体などからの関与は、実際あったと思います。ただ、そういう手合いの煽動だけでは、とてもあんな大規模な運動にはなりません。運動が発生し、大規模化するための条件が揃っていたために、かくなったと言うべきでしょう。

 15年前の話はこのくらいにして、いまの大学生、本当に何の動きもないのでしょうか。
 だとすれば、この世代を特徴づけるいくつかの点に加えて、江沢民の「反日教育」が効いている、ということになるのでしょう。

 いまの大学生、年齢でいえば18~23歳でしょう。
 ●一人っ子であり、蝶よ花よと育てられた「小皇帝」。
 ●天安門事件当時は3~8歳、つまり政治運動を全く経験していない。
 ●物心ついたときには、ひとつ前の世代と比べれば物質的に豊かな生活環境に囲まれていた。
 ●そして学生になったいまはインターネットがあり、情報統制は知っていてもそれほど痛切には感じていない。
 ――つまり社会の現状を肯定している連中が多い、ということです。

 これに加えて、物心ついたときには江沢民の反日教育がシステムとして教育の現場に導入されていますから、それをたっぷりと吸収して育った。純粋培養されたと言ってもいいでしょう。
 その反日教育ですが、日本と日本人への憎悪が高まるのは当然として、一方で、自分の属する社会への問題意識が麻痺させられることになります。もちろん江沢民はその両方の効果を狙っていた訳ですが、ここに来て、後者(社会への問題意識)の影響が深刻なように思います。

 お爺さんお婆さんが無許可デモに立ち上がらなければならないほど追い込まれているというのに……と思うのです。
 社会のニオイに一番敏感で、感受性も強い筈の世代が、こうなってしまっている。
 連中の反応を見るにつけ、中国はもうダメだなと思うのです。
 まあ、全部が全部そういう手合いという訳ではないでしょうけど。

 何はともあれ、大学生に目立った動きがないということに、歯がゆさを感じます。
 危機感が足りないとか感受性が鈍っている、というだけではないんです。
 例えば名門大学ですと、高級幹部の息子とかが学生の中にいて思わぬ情報が共有されたりします。
 あと全国から英才が集まっているので、故郷の家族や友人と連絡したりする中で、ごく自然な形で報道管制の網をくぐって各地の情報が集まってくる訳です。
 しかも建前として全寮制ですから、情報の伝播するスピードも速い。

 だからこそ世相にも敏感に反応して、学生運動という形で当局への異義申し立ての主役になることができるんです。
 あ、主役になることが「できた」、と言うべきですか。

 まあ大学の方も最近は商売優先になって……ああ「教育の産業化」と言わないと怒られますね(笑)。
 とにかくそのために入るのにも色々とカネがかかって、テストの点がいいだけじゃダメなんです。そのために笑えない事件も色々起きています。

 子供の学費を用意できないので自殺してその保険金で通わせようとする母親とか、やはり学費のために営利誘拐に走る父親とか……そういう事件記事が私の手元にあるのですが、リンクを張る気にもなりません。
 あと教育者の方にも賄賂を要求する奴がいますし。最近は南京の某大学で、党幹部を接待するために、女子学生の授業を休講にしてダンスの相手をさせた、なんてこともありましたね。

 ――何だか暗い話ばかりですね(笑)。


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