世の中には「便乗組」というものがあります。
流行や時勢の流れの尻馬に巧いこと乗っかって、そのおこぼれにあずかろうとするもの。
……といえば何やら悪いイメージのようですが、私はむしろポジティブにこうした動きを捉えています。便乗者が出現することは、便乗しようとする流行やら時流やらが社会で広範に支持されていることの証だからです。
「便乗組が出るくらいでないと勢い不足(弾幕薄いよ何やってんの)」
とも思います。ひとつの流れが社会で広い支持を獲得していなければ、そこに便乗しようという連中は現れないからです。……当ブログの常套句でいえば、
「その流れがコアユーザーだけでなく、ライトユーザーまで取り込む大きなものとなり、そこに商機を見出す向きさえ出現している」
という訳で、悪徳便乗組には注意しなければいけませんが、基本的にこれは慶事というべきでしょう。
中国関連の「流れ」でいえば、まずは年初から春いっぱい続いた毒餃子問題、そしてフリーチベットということになります。最近はまたぞろ中国の有毒食品がわらわらと湧いていて、このタイミングを捉えて大花火を打ち上げんとする向きは出て来ないものかと、じりじりしているところです(笑)。
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えげつない言い方になるかも知れませんが、フリーチベットにも便乗組がいました。東トルキスタンとか南モンゴルとか中共政権打倒を呼号する中国民主化運動などがそれです。5月6日の大規模デモには南ベトナム独立派まで参加していました。
台湾独立派が流れに乗り損ねた感があるのは残念なことですが、これは運動母体がフリーチベットのような「いま風」の活動方式に対応できるような柔軟性を持っていなかったことによるものかも知れません。
私は「朝食会」で勉強させてもらっているLさんをはじめとする東京在住のカレン族(ビルマ・タイ国境付近の先住民族)も「便乗」すべきだったと考えています。
ミャンマー軍事政権を支援することで、同国の天然ガス確保やインド洋に通じる軍港租借というのが中国の「いまさらな帝国主義」の実例のひとつ。これに打撃を与えるという意味において、私は軍事政権打倒派の中で独特の存在感を漂わせ、60年に及ぶ内戦を継続しているカレン族の参加も有意義なことだと思うのです。惜しむらくはLさんと相識るのが遅すぎました。
ともあれ上述したように、私は「便乗組」大歓迎派ですから、フリーチベットの旗のもとに諸派が結集したことは素晴らしいと考えています。何とまあ、ウイグル解放を求める東トルキスタン・デモが単独開催され、それなりの参加者を擁して成功を収めたのは画期的といっていいでしょう。関係者の方からメールでデモ当日の記録映像を頂きました。YouTubeです。
★★★東トルキスタン ウイグルデモ行進 IN大阪★★★
「今回、メールいたしましたのは、今春以降のフリーチベット派生の中国包囲網・対中国民族支援運動の停滞を、動画再生数の停滞から危惧してのものです。」
という言葉が添えられていましたが、動画再生数の停滞は私にいわせれば至極当然のことで、フリーチベットがもはや旬の話題・流行でなくなった(ライトユーザーの多くが離脱した)現在においては、少数民族支援という正攻法での「中国包囲網」の形成は困難です。だからいまなら旬の話題じみてきた中国有毒食品の方向からアプローチすべきではと個人的には考えています。その気運を盛り上げておいて、そこにチベット以下諸派が便乗するのです。
厳しい物言いになりますが、上の動画、記録映像ですから長ったらしいとはいえ、ライトユーザーに観てもらうためには、まずこの長過ぎるという点で失格。それから「つかみ」が弱いです。デモの最中にビラ配りなどが行われたかどうかは知りませんが、いきなり「東トルキスタン」とか「ウイグル」とか言われて青い旗を掲げられても一般市民には馴染みが薄いでしょう。もう少しアバウト&ライトユーザー風味で、
「シルクロードの伝統文化を継承し守ってきた少数民族が、中国当局の迫害で……」
といった方角(=つかみ)からまず入っていくべきだと私は思うのですが、どうなんでしょう?
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さて本題。フリーチベットが勢いを持っていた時期には、少数民族解放運動だけでなく、関連Tシャツやカンバッジ販売といったネットショップが商機とみて一斉に様々な「フリチベ商品」を開発・販売しました。便乗商法というものです。
もちろん、この動きに対しても私は大歓迎。クリエイターの独特な視点とセンスから生み出される作品は動く側にとっては恰好の七つ道具となりますし、ライトユーザーにとってはファッションで意思表示をする上での選択肢が広がって、フリーチベットに対する敷居が低くなることにつながります。
「何だかよくわからいけど、何か流行っているみたいだから、着てみるかフリチベTシャツ」
といった、運動には「われ関せず」ながらチベTを着ることで自然にフリーチベットのアピールになっていた、という効果を生むこともあるでしょう。当ブログにて常々強調しているように、世の大勢を決めるのはこうした傍観者やライトユーザーであり、何事であれ、この社会の圧倒的多数派の取り込みに成功した勢力が時代の勝者となります。
そこで私もいまさらながら「便乗商法に便乗」しようということになります(笑)。関連商品はたくさんあるのですが、
……と、上のロゴをクリックするとあるネットショップのトップページに飛びます。そこの商品検索で「フリーチベット」「チベット」「トルキスタン」「モンゴル」などと入力してサーチすれば関連商品が色々出てきます(関連商品でなくても魅かれるものが結構あります)。
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ダラダラと縦長になってしまいますが、以下に私が気に入って愛用しているものをいくつか。
……あ、申し遅れましたが今回は楊枝削りでありました。m(__)m
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【追記・てんてけさんへ】四川大震災の募金軍団の横に立つという「いたずら」をなさる勇気をお持ちであれば、私の勝負戦闘服で十分アピールできます。リンク先の拡大画像を御覧下さい。正に王道のフリチベTシャツ&カンバッジです。日本人へのアピール重視なら、「チベットの人々を中国政府の人権弾圧から救おう」といった体のプラカードを手にして募金軍団の付近をウロウロすればOK。五星紅旗で埋まった聖火リレー時の長野の写真もあれば完璧でしょう。(2008/10/06/05:40)
フリーチベットTシャツ22,100円
フリーチベットTシャツ2368円
フリーチベットTシャツ3368円
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一部の人がしてるもの、と言う認識ではなかなか広がらないし。
ところで、動画を見たときにこの赤と黄色の旗は何?と疑問に思いググったところ南ヴェトナムの旗と知りました。
そして寡聞にて南ヴェトナム復活(独立?)運動も知りませんでした。
先日NHK-BSにて久しぶりに「英雄本色」系列を連続放送してました。「夕陽之歌」でサイゴン陥落シーンでこの旗が翻っておりましたね。
漠然と21世紀は地球はひとつ、みたいなSFや小説を読んでいた所為か個人的には国家は大きくなる方向に行くのではないか、と考えていたのですが、どうも逆の方向に進むほうがいいのではないか、と最近は思うようになりました。
國の大きさ=国力と言う考えもなくなってきたようですしね。あ、ごく最近国家の威信を掛けて旧然とした国威発揚イベントをしたところもあったようでしたねぇ。ww
デザイナーも苦労しているんでしょうけど、いたずらも難しいものです。
伝統的な運動組織というのはマーケティング感覚が全く欠如しています。それでライトユーザーが取り込めず、お約束の組織動員でショボいデモを打って「一般市民の意識が低い」とか何とか。そういう連中には学生のころから辟易しています。
極端な話(現実的にはまず不可能かと)、ガッキーとか蒼井優とか山田優が出てきて「チベットを救おう!」というCMを流せばフリチベ気運は間違いなく再燃します(いやマジで)。中国本土市場があるから無理な話ではありますけど、もし台湾独立派のデモにジェイ・チョウとF4がゲスト参加(握手会込み)したら3000人は固いでしょう。徹夜組が出る可能性も(笑)。
中国の少数民族の問題というのは、煎じ詰めれば弾圧者である中共政権をどうにかしないと解決しません。ここが覚悟のしどころです。祈るだけでは現実が動きませんから、そのときどきの「旬の話題」を利用しつつ、日本人の対中嫌悪感を高めていく中でフリーチベット以下を便乗させるのが現実的だと私は思います。
対中嫌悪感の高まりは日中関係に影響するので日本政府も無視できません。チベット以下諸問題を政治家の扱う範疇に入れてしまえば、日中間におけるよりハイレベルなテーマへの昇格もあるのではないかと。
>あ、ごく最近国家の威信を掛けて旧然とした国威発揚イベントをしたところもあったようでしたねぇ。
あれは中国による中国を目標とする自爆テロというべきものです(笑)。
力ずくで占領されていた国が次々独立し、細分化した国々が競争力をつけるため納得の上で一つにまとまる。
そんな動きになってるんだと思いますがどうでしょ?
つまり中国もロシアも周回遅れですね。
もちろん周回遅れなりの強みもありますが。
ダライラマ猊下がお元気なうちに、平和なチベットが実現できることを願っています。
中国はここまで来てしまったので自壊する他ないでしょう。少数民族の自治区だけでなく漢族の省や直轄市同士の競争意識や格差への不満、また中央に対する割拠志向が強いですから、まずはバラけると思います。混乱の中で内戦でも始まったら大変ですし、外資企業も多数進出しているので、状況次第で国際社会の介入もあると思います。ともあれ共産党員が続々とリンチに遭うことでしょう。
>>五香粉さん
いまの状況からみると、チベットは中国がバラける混乱の中で欧米諸国の保護(支配)を獲得して独立することになるかも知れませんね。桂も西郷も竜馬もいないのは清朝末期と同じです。当時の日清戦争と今回の北京五輪は国力を費消させたという点で同質のものかも知れません。まあ、大多数の漢族にとって幸福な未来は待っていないことだけは確かなような気がします。
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