日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 久々に来ました大規模暴動。しかも4日連続の官民衝突です。

 ●旧正月のお屠蘇気分も抜けないうちに……というか旧正月期間に掟破りのバス料金大幅値上げが行われたのが原因。
 ●しかも値上げ抗議に対してバス会社が暴力をチラつかせた威嚇ともとれる横柄な対応。……民衆さらに憤激。
 ●横柄なのはそのバス会社が地元当局の党幹部による特権ビジネスだから。……民衆の怒りはさらにエスカレート。
 ●さらに党幹部のサイドビジネスだからなのか警察が早々に出動。……民衆の怒り頂点へ。

 ……という絵に描いたような具沢山な筋書きで官民衝突が発生。しかも暴動は昨日(3月12日)まで4日連続して発生し、現在も未だ事態は終息していない模様です。

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 現場は湖南省は永州市の芝山区。事件の発端は旧正月期間中、地元のバス会社・安達運輸公司がバス料金を勝手に大幅に引き上げたこと。珠山鎮と零陵区を結ぶバス路線(約30km)の料金が従来の6元からいきなり10元に値上げされたのです(15元説もあり)。

 それがいつのことなのかは不明ですが、旧正月期間に実施されたため地元民の怒りを買うこととなりました。「旧正月期間中における公共交通機関の料金値上げは不可」という通達が出されていたからです。

 安達運輸公司はそれを承知の上で値上げを断行。……という厚顔さには理由があって、実はこのバス会社、永州市の常務副市長と交通局長という地元党幹部2名による特権ビジネス。むろん土地の者なら誰でも知っていることです。交通局長が大株主ですからこのバス路線は当然ながら安達運輸公司の独占区間、ということも民衆の怒りを呼んでいました。

 権力を後ろ盾にした横暴かつ禁令を破っての料金値上げに地元住民は不満を募らせ、3月9日午前にはついに珠山鎮のバスターミナル前にわらわらと民衆が集まって抗議集会。禁令破りのバス料金引き上げが直接的な原因ですが、上述したような党幹部による特権ビジネスへの憤懣が以前から鬱積していたこともあるとのこと。

 さらに永州市はこのバス会社だけでなく官民癒着のケースが多い上、不自然な物価の引き上げといった悪政が以前からまかり通っていたこともあり、積もり積もっていた民衆の不満と怒りがバス料金値上げで沸点に達してしまったといったところでしょう。

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 衝突はこれに対し警官隊が過敏に反応してしまい、集まった民衆を追い散らそうとする中で暴力がふるわれたことによって発生しました。警官に殴打される住民が出たのを見た民衆が反撃に転じたのです。こうなるといつものことながら、数に優る民衆が怒りの勢いで警官隊を押し返し、警察車両やバスを焼き打ちする騒ぎとなりました。

 翌3月10日も民衆が引き続き屯集し、その人数は1万人にまで膨張。ところがそこに安達運輸公司の経営者がチンピラまがいの数十名を引き連れて出現したため現場はたちまち険悪な雰囲気に。しかもこの経営者、権力という後ろ盾がありますから強腰です。よせばいいのに、

「おれが2000万元出してお前ら珠山鎮の人間を皆殺しにしてやる」

 と挑発したことで群衆が煽られ、住民側の人数がさらに膨れ上がってたちまち暴動へとエスカレート。近くに停車していた安達運輸公司のバス1台を炎上させました。

 この火は駆けつけた消防隊によって直ちに消し止められましたが、同夜には防暴警察(機動隊)100名余りが珠山鎮に出動。これが空気をいよいよ険悪なものにしたのか、11日には住民側も過去最高の2万人以上を動員し、一触即発のにらみ合いとなりました。

 均衡が破られたのは正午ごろのことです。防暴警察が鎮圧行動に移り、鉄製の警棒を振るって民衆を殴打して回り、次々に身柄を拘束。

 これに対し住民側はレンガや石を投げて応戦、警察署のガラスが割られるなどしたものの、負傷者十数名が出て病院に収容されました。その中には学生4名が含まれていて(2名説も)、うち中学生1名は殴打による負傷が元で病院で死亡したとのことです(足を切断されたのが死因との説も)。

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 官民衝突は昨日である3月12日にも発生。珠山鎮の役場前での白兵戦となりましたが、警官隊は警棒だけでなくスタンガンも加えられて装備が強化され、さらに午後には増派された武装警察(武警=内乱鎮圧用の準軍事組織)も駆けつけて合計1700名余りの兵力となり、住民側を駆逐して厳戒態勢に。付近を通りかかっただけの市民も殴打されるなどした模様です。

 目撃者によると、この4日間に及ぶ暴動で警察車両7台、バス8台が焼き打ちされたそうで、住民側の抵抗もなかなか激しかったことをうかがわせます。

 この事件に対し、湖南省当局は同省管轄下のメディアに向けて報道禁止を発令。住民がテレビ局や新聞社に電話して事件を報じてくれと訴えても「祟りが怖いから」と断られたそうです。報道NGは「兩會」(全人代&全国政協)期間中だけに過敏な対応となったという一面もあるでしょう。

 という訳で、事件の経緯は例によってタレ込みサイト「博迅網」や法輪功系ニュースサイト「大紀元」、また米国系中国向けラジオ局RFA(亜洲自由電台)などによって報じられることとなりました。

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 ●「博迅網」(2007/03/12)
 http://www.peacehall.com/news/gb/china/2007/03/200703121213.shtml
 http://www.peacehall.com/news/gb/china/2007/03/200703122126.shtml

 ●「RFA北京語」(2007/03/12)
 http://www.rfa.org/mandarin/shenrubaodao/2007/03/12/yongzhou/

 ●「RFA広東語」(2007/03/12)
 http://www.rfa.org/cantonese/xinwen/2007/03/12/china_riot/

 ●「大紀元」(2007/03/12)
 http://www.epochtimes.com/gb/7/3/12/n1643767.htm

 「大紀元」が焼き打ちに遭って転がされた黒焦げの警察車両などの写真を多数掲載しています。

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 以前お伝えしたホテル炎上暴動も党幹部の特権ビジネスとそれを隠れ蓑にした不埒な悪行三昧が原因でしたが、今回もそれに似たケースといっていいでしょう。党幹部のやりたい放題ぶりに、庶民は「官匪」としか表現しようのない憎悪を常日頃から抱いていることが改めて実証されてしまった形です。

●党幹部の悪行三昧に民衆激怒!四川でホテル燃えてます。(2007/01/20)

 今回の安達運輸公司の大株主に永州市の党幹部である常務副市長と交通局長が名を連ねていた件、元々あったバス会社が党幹部に賄賂を贈って籠絡したものか、党幹部が資金流用などで会社を設立させるなり大株主になるなりしたのかは不明ですが、中国全土いたるところでこうしたケースが数え切れないほど存在しているのでしょう。

 私はいま全人代で審議されており成立の可能性が高い物権法の導入には「ないよりマシ」という消極的賛成派ですけど、庶民がつましい生活を重ねてようやく蓄えたひと握りの資産が同法によって私有財産として保護されるのと同時に、党幹部が特権ビジネスで不正に得た財富、例えば今回のバス会社の株などもまた合法的な私有財産として認められ保護されてしまうことになります。

 そういう不条理を防ぐには党外に強力な権能を有する汚職摘発機関を設けることが必要かと思われますが、如何せん一党独裁制の下では実現しようがないでしょう。それゆえ胡錦涛も「社会主義栄辱観」だとか綱紀粛正を口やかましく言うだけで、あとは党中央紀律検査委員会の尻を叩くくらいのことしかできないのです。

 別に意識してキャンペーンを張っている訳ではありませんけど(笑)、現代中国社会が抱える問題の多くは、つきつめてしまうと一党独裁という制度に行き着くことになります。

 とはいえ、それなら民主化して多党制にして普通選挙を導入すれば救われるのか、と言われると、それはそれでウーンと首をひねらざるを得ないのですが。




コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (御家人@業務連絡)
2007-03-13 06:28:08
また3冊入手しました。よろしければどうぞ。

#019『趙紫陽軟禁中的談話』
http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b74539680

#020『趙紫陽軟禁中的談話』
http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/95647008

#021『趙紫陽軟禁中的談話』
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n53450874


同書の特集を組んでいるので副読本としてこちらも推しておきます。

◆#001最新号・香港の中国情報誌『開放』2007年3月号
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n53250966

◆#002最新号・香港の中国情報誌『開放』2007年3月号
http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g50354520

◆#003最新号・香港の中国情報誌『開放』2007年3月号
http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b75826909


>>dongzeさん
 不肖御家人が追い使っている中間が先日耳寄りな情報を仕入れてきました。数量は不明ながら「東×書店」が入荷準備中のようです。中共に内緒で香港から直輸入?
 値段はいつも通りでお安くありません(笑)。神田神保町までの交通費が片道200円以内で済む方は、私のところでなく「東×書店」に入荷するのを待つべきです。
 
 
 
国名国旗党名変更はあるか? (ショッカー)
2007-03-13 06:37:39
今の中国には、欧米や日本にすらある「良い意味での社会主義的政策」(福祉の充実等)がありません。共産主義どころか社会主義国家ですらない。ベトナムも似たような感じみたいですが。国名を「中国」、党名を「社会党」くらいにすれば中央アジアのキルギスのように当初は独裁でも長期的には民主化の期待も持てそうですが・・・・

甘いでしょうか?
 
 
 
それは貴重な情報を。。。 (dongze)
2007-03-13 09:53:38
御家人さん、
いい情報ありがとうございます。(まだHKに声かけていなかった)

今週末にでもチェックに行ってみます。
 
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