楊枝削りです。
最近、似たジャンルの本を読みました。下の2冊です。どちらも良書でして、二者択一ではなく2冊まとめて手元に置いておくべきものだと私は思いました。オススメです。
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| 中国禁止! 完全ガイド保存版―買うな、食べるな、使うな、危険な中国 (OAK MOOK 169 撃論ムック)オークラ出版このアイテムの詳細を見る |
この『中国禁止! 完全ガイド保存版』は翻訳本ではないので日本語がこなれていますし、読みやすいです。中国だけでなく日本国内などもカバーしている点がマル。一種の「買ってはいけないカタログ」のような意味合いもあり、日本における生活者にとって心強い内容です。
もちろん、「なぜこうなったか」についても十分な解説が加えられており、「チャイナフリー」(中国産未使用商品)が台頭するようになった現状がよく理解できます。
食の安全に限らず、中国製品の流入によって消費者が日常生活の様々な場面で「自己防衛」に走らざるを得なくなった現在の日本において、同書は恰好のノウハウ本ともいえるでしょう。ぜひ押さえておきたい一冊です。
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こちらはルポルタージュというべき内容です。中国報道に毎日接している私などは、中国のどこでどういう危険な食品が出たとか被害が出たとか、またそういう危険食品を生み出す構造というものについて推測することは難しくありません。ただ同書は危険食品の実例やそれを生み出す構造について実際に取材している点がすごいです。文中にもありますが、既得権益層に切り込んでその闇を暴くといった活動になりますから、かなり危険な取材もあったようです。
また同書には、
【識別法】中国で食品を買うときの注意と選び方
なる一章があり、これはなかなか重宝します。現地在住の日本人ならある程度ノウハウや対策を持っていることでしょうが、中国出張者や旅行者にとっては必読です。この一章を含め、具体的事例に富んだ「中国の危険食品まるわかり」といった内容に価値があります。
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ところで、後者『中国の危ない食品』には感嘆させられた一節があります。翻訳者による著者へのインタビューの章で、
――そもそも今日の中国がこのような粗製濫造を行ない、世をはばからぬ偽装・偽造が、ついには自分たちが毎日食べる食品にまで及んだ根本原因はどこにあるのですか。
「非常に簡単です。一つの強権がもたらした恐れや不安です。一人一人が恐れ、一人一人が毎日を最後の一日と考えて過ごす。そうすると、その人は自分の最低線(正常な人間が持っている道徳、良心など)を打ち破る」
という問答が登場しますが、私は著者の回答に驚嘆しました。私も以前からそう考えており、副業である香港誌のコラムで時折言及したりもしていたからです。
むろんこれは自らを誇っているのではありません。外から眺めていたり、現地で外国人生活者として観察している分にはそういう回答にたどりつくことは難しくないのです。しかし、中国人が自らを腑分けしてそう喝破したことに、著者の眼光の尋常でないものを感じました。
中国本土や香港の「やったもん勝ち」的行動原理の源泉が正にそれなのです。やや具体的にいうと、デパートからコンビニに至るまでのサービスの質の低さがその好例で、
「とにかく、いま目の前の客からできるだけ巻き上げること。だって明日どうなるかなんてわからないし、その客がリピーターになってくれる保証なんてないから」
という思考法に傾いている点が日本や台湾の社会と異なる部分です。
私の本業・副業でいえば、香港という法治社会にありながら平気でパクリに走るクリエイターのモラルの低さや海賊版の横行、また経営者があくまでも短期回収を狙う投資を繰り返すため掟破りが頻発し日本との信頼関係がなかなか構築できない、といった事例。これも結局は「明日はどうなるかわからない」という潜在的心理の表現です。
この「明日はどうなるかわからない」という不安は中国の歴代王朝が必要以上の搾取を行ったり(でなきゃ巨大建築の数々が存在したりはしません)、それによる戦乱が発生したり、といった繰り返しの蓄積によるものですから、漢族のDNAに刻まれているもの、といってもいいでしょう。現在の中共政権もやっていることは歴代王朝と何ら変わりませんし。
日本人からみて中国人の異質な部分の大方は、
「非常に簡単です。一つの強権がもたらした恐れや不安です。一人一人が恐れ、一人一人が毎日を最後の一日と考えて過ごす。そうすると、その人は自分の最低線を打ち破る」
で説明がつきます。それが中国人である著者の口からスラリと出たところに、著者が中国と中国人について深い考察を重ねてきたことをうかがわせます。
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ただし指弾しておきたい部分もあります。日本語版への序文として著者が日中関係について言及している部分で、
情報が政府を通した単一なものであることが、中日両国民が充分に理解しあえないという現状をもたらしました。
という認識は全くの間違いです。日本人が得る中国情報は「政府を通した単一なもの」ではありません。でも中国はそうなのでしょう。そこに「理解しあえない」問題の根があるのです。
政治制度や社会構造を含めてざっくりといってしまえば、「だって民度が違いすぎるから」というべきではないかと思います。
この点については著者の更なる考察を促しておきます。日本における国籍別外国人犯罪件数で中国(本土限定)が少なくとも18年連続1位、なんてこともきっとこの著者は知らないのでしょう。
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あと一冊だけ、オマケをつけておきましょう。
これは私にとってある意味原点ともいえる本のひとつです。同書の内容からすると、元々「ふくろうの本」とかいう小学生中・高学年向けのシリーズにあった、
『セロ戦 坂井中尉の記録』
という本を文庫化したものだと思います。私は幼稚園児のころ、買い物に出た母親についていった先の書店で何か1冊好きな本を買ってくれるというので、早速仮面ライダーの本を手に取って、
「これがいい」
と言ったのですが却下されてしまい、それじゃ飛行機の本ならよかろうと選んだのが『セロ戦 坂井中尉の記録』なのです。この一冊にハマッた私はボロボロになるまで何度も読み返し、小学生になってから『大空のサムライ』など坂井三郎氏の著作や、日本海軍関連の書籍を読みふけり、現在に至っております。
この本はその内容からして『坂井三郎空戦記録』を下敷きにしているようで、『大空のサムライ』には出て来ない面白いエピソードが収録されています。また今回の文庫本化によって『セロ戦 坂井中尉の記録』の挿絵の一部(たぶん)と、新たに関係者の写真多数などが添えられてもいます。
私にとっては、30数年ぶりに故旧と再会したような懐かしさがこみ上げてくる一冊です。
同書を見た、ある在京地上波キー局の報道部の方から、西村幸祐編集長経由でコンタクトがありました。
ヴァーチャル・ウォーター(仮想水)の概念を説明して、中国食品の場合は工場で使われる水や、実際の食品に含まれる水分の“質”の問題が深刻だから、これを切り口に中国食品の危険性を取り上げ、さらにシナ大陸の環境問題まで広げて報道してくれるようアドバイスしました。
因みに来週十日書店に並ぶVoice(ボイス)11月号に、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙の元記者ウィリー・ラム氏がこの切り口の論文を寄せているそうです。
草思社から上梓された『中国の危険な食品』は、小ぶりのソフトカバーで、中国への旅のバッグに放り込んだり、現地に住まう邦人が携帯しやすい装丁。あとがきに名前のある増田敦子女史は同社から出ている幾冊もの中国・台湾関連本の編集にも関わってる鋭い眼力の方です。
これをとりあげたチナヲチ氏の眼力もなかなかとお見受けします。(微笑)
日本と中国の違いというと、ワタシは先ずバスの乗り方を思い浮かべています。
日本では、バスが来ても、降りる人が先、乗る人が後。中が一杯なら、次の便を待てばいい。
ところが中国では、搭乗で小突き合い、怒鳴りあいのパニック。考えるに、中国人は「今の現実」が全てなのでしょう。この便を逃すと落伍者として扱われるという事に、起因しているかもしれません。むしろ、次にバスがやって来るかどうかも、わからない、という、システムの脆弱性するのだろうか。ここいら辺の問題は、日本と中国を分け隔てる深くて長い一衣帯水なのでしょうねぇ。
>>「とにかく、いま目の前の客からできるだけ巻き上げること。だって明日どうなるかなんてわからないし、その客がリピーターになってくれる保証なんてないから」
以前うちの駐在員が言っていた話ですが、とにかくシナでは一般的に今儲かればよいと言う発想で商売をし、後の信用を考えないので、合弁会社の営業マンにこういう商売をしないよう何度も強く指導したそうです。
私が聞いたのは結構前ですが、まったく変わっていないようですね。
御家人さんご紹介のムック、自衛の為一冊購入しようと思います。
スポーツの世界だとウツクシイ発言なのに・・・(笑)。
ルール無き明日の無さが産み出すものは、毎日が世紀末?
あ、ルールはありましたね色々厳しいのが。
よく目にする光景ですが、シナ人の犯罪者が悔悟の念や改悛の情とは無縁で、かといって開き直ったり居直ることもなく、驚くほどあっけらかんとしているのは何故か、考えてみて下さい。
偽装・偽造の問題、かなり以前から蔓延っていましたが、品目が限定されていたことと、流通先が主に国内であったことから、今ほど大騒ぎにはなりませんでした。因みに私が始めて偽造品をつかませられたのは(自覚と確証あり)、91年9月、場所は常州市の雑貨店、物は「紅搭山」という銘柄の煙草でした。あれから早や十六年ですか、何も変わっていませんね。ただ御多聞に漏れず、常州市の経済発展も目を見張るものがあると、風の噂に聞いたことがあります。
なぜ中国はそうなってしまったか?
私もしばしば考えましたが、解答は同じでも少しニュアンスが違います。
混乱期は言うまでもなく、中共時代も清朝時代も明朝時代も常にそうではなかったか、という事です。
常に人口の多数を占める部分では「明日の朝まで安心して眠れるか」「安心して継続して商売できるか」が重大な社会であったと思います。
つまり4000年そういう状態であったと思うのです。
そしてそのような社会しか築けない彼らが悪いのですが、中共時代に限定すべきではないと思います。
もちろん、農薬、化学、工業化の負の影響が、そういう社会において現在最も有効に働いている事は否定しないです。
情報云々に関しては、確かにマスコミが悪い。
しかし人民の少ないがある一定の人たちは、そのマスコミに相当疑問を抱いていて、日本に関する報道(歴史を含めて)を鵜呑みにはしていないと感じます。
韓国ではそのように思っても口に出せないが、中国では比較的軽く口に出来るよう感じました。
さて、どーでしょうか?
これだけ危険性が叫ばれているわけだから、何か対策を打つだろうと思って、近くにある中国食材店に行ってみたのですが、全く何もなし(笑)。全く普段と同じ。「ウチの野菜はアメリカ産ですので大丈夫です」程度の注意書きさえ貼っていない(笑)。しかも、何事もなかったかのように大勢の中国人が「Product of China」と書かれた商品を買っていきます(笑)。
「さすがChina!俺達が出来ないことを平然とやってのける!そこにしびれる、憧れるぅ!」(AA略
しびれているのは感動のせいなのか、鉛のせいなのかは定かではありません。
フザけたコメントで恐縮です。
いつも思うのですが、「大陸」と「島国」では常識が逆になるんですね。
日本は島国で、逃げようと思っても多寡が知れています。また、狭いために資源に限りがあることも知っています。ここから和という精神が生まれているのではないでしょうか。
これが大陸となると、逃げようと思えはいくらでも逃げられます。資源も無くなったら別の場所を探せばいいのですから、無限です。
これから生まれる精神とは・・「個」かな?「自分と絶対神」とか。
これが半分島の「半島」になると・・
だんだん地球は狭くなっているのですから、大陸ではなく島国の常識を広めていかないとダメでしょう。
日本に生まれて本当に良かった、と思います。
『中国禁止!』はいいですね。様々な具体例がわかりやすく、かつ広範囲にカバーされていて、読了すると改めて危機感を強めている自分に気付きます。しかも値段も装丁も手頃で読む上で構える必要がないのがいいです。オンガクでいえばオムニバス盤みたいなものなので、読みたいところから読めばいいですし。
それから先月か先々月、西さんの文章を月刊誌(立ち読みだったので誌名失念。すみません)で読みました。環境問題に関するものでしたけど、色々具体的な数値や事例が出てきて、やっぱりすごい下調べしているんだなあ、とうならされた次第。これからも大車輪の御活躍、期待しております。
>草思社から上梓された『中国の危険な食品』は、小ぶりのソフトカバーで、
>中国への旅のバッグに放り込んだり、現地に住まう邦人が携帯しやすい装丁。
同感です。あの本は危険な現地取材を繰り返して作品になっていますので生々しい説得力があります。それから食の安全という問題だけでなく、中国そのものについても改めて考える機会を与えてくれるという点で良書だと思います。
>>shimoyamaiさん
中国のバスはすごいですね。北京市が毎月11日を「自発的に行列する日」にしているので、いまも私が上海に留学していたころと大差ないのだろうと思います。車内で運賃を手渡しリレーで切符を買うのは面白かったですけど。
>むしろ、次にバスがやって来るかどうかも、わからない、という、システムの脆弱性するのだろうか。
私はこちらに一票です。中共政権を含めて、歴代王朝が護民官であったことがない。むしろ必要以上の搾取を行ったという歴史の蓄積がDNAとなって中国人の行動原理となっているのだと思います。
>>90さん
>とにかくシナでは一般的に今儲かればよいと言う発想で商売をし、後の信用を考えない
そうでしょうとも。何たって一応法治&契約社会が成立している香港だってひどいものですから。私も香港側の対日交渉役(いまも似たようなものですが)だったときに梯子を外されて呆然としたことが何度もありますから(泣)
>>でんすけさん
正に毎日が世紀末です。ルールはありますけどこれから法治社会を実現しようという国です。法制あって法治なし。しかもルールには袖の下がつきものですから、何やら「中共人」が自らを潤すためにルールが存在しているようにみえてしまいます。
>>参謀本部作戦課さん
紅塔山のニセモノですか。私の方は1989年でしたが、上海市の外文書店に「内部書店」という分厚いカーテンで遮断された一室があり、入口には門番のお爺さんがいて身分証を確認します。私は留学生だったので学生証で自分の名前のところをさりげなく指で隠してパッと示して中に入ることができました。入ると日本語ワールドでして、表紙は真っ白で題名と作者だけが書かれ、発行元も何も書いていない、ただ日本の書籍を丸々コピーしたと思われる小説本とかがズラリと並んでいました。あの規模から察するに国家事業として海賊版を量産していたのだと思います。
>>ふー太郎さん
「現在の中共政権もやっていることは歴代王朝と何ら変わりません」と書いたように、中共政権に限定した話ではありません。
でも歴代王朝から中共政権に至るまで毎日が「一つの強権がもたらした恐れや不安」に脅えているというのはちょっと誇大表現のように思います。常態といっていいのかも知れませんが、さすがに毎年そういう事例が発生することはないでしょう。
ただ「おじいさんが徴発されて」「お父さんが子供の頃に」くらいのタームで厄災が降りかかってきたので、ごく身近な話として頭に刻み込まれたのではないかと思います。もっともバザールの露店などは毎日のように「官匪」による苦労があったかも知れません。香港も40年くらい前はそういう社会だったようです。
>情報云々に関しては、確かにマスコミが悪い。しかし人民の少ないがある一定の人たちは、
>そのマスコミに相当疑問を抱いていて、日本に関する報道(歴史を含めて)を鵜呑みにはしていないと感じます。
鵜呑みにするような教育が行われてはいますが、実際には鵜呑みにしない人たちが結構いると思います。ただ日本に対しては国策もありかなり硬直した価値観であるように思います。
また反日は政策によってそれを煽るケースがありますから平気で口にできるということでしょう。あくまでも強権政治ですから、政府批判などを軽々しく口にしたり、社会に対する問題意識を行動に起こせばそれ相応のお返しが待っていると思います。
>>歩厘さん
おや米国在住だったんですか。「Communist China」って凄い表現ですね(笑)。「Japan」というバンドの「Red Army Calls You」という歌詞を思い出してしまいました。
鉛でしびれてしまってはいけません(笑)。でも深センや香港ではインゲンだかサヤエンドウ、ともかく有毒野菜の入った料理を食べて、食後ほどなくいきなりビリビリきて七転八倒する事例が実際に発生しています。中国を眺めている身としては現地感覚という手触りを確認したいのですが、最近は怖くて中国に行けたものではないと考えています。
>>日ノ丸さん
一衣帯水という言葉は実に意味深いです。海があったからこそ中国モノのソフト・ハードが全面的に入ってくることなく、その結果日本オリジナルが育って明治維新によって近代化が成功したのだろうと思います。半島だとそうはいきませんから中国の引き写しになってしまいます。その弊害が、あるいは日本との対比が明確に表れたのが19世紀以降ではないかと愚考する次第です。
>大陸となると、逃げようと思えはいくらでも逃げられます。
>資源も無くなったら別の場所を探せばいいのですから、無限です。
故・司馬遼太郎氏はこの「資源」を「食」に置き換えて繰り返される易姓革命を説明していますね。
私の居住地ではネットで有名な「そこまで言って委員会」を放映していますが、「中国の危ない食品」著者の周勍氏が出演していました。「食を通して中国人の精神を書きたかった」との事でした。
出国できたので帰国も出来ると周氏の発言がありましたが、帰国できるならシナ政府が「言論の自由を保証している」と言う宣伝のために出させたのかもしれず、色々考えてしまいます。
ちなみに周氏は質問を受けても分からない事は分からない、と答えて正直な印象がありました。
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