いやこれはまた唐突な。
……てすみません「東突」ですね。東トルキスタンのことです。ウイグル族の海外組織は亡命政府も含めて色々あるようですが、このうちウイグル人による独立国家成立を目指している「東トルキスタン解放組織」(ETLO)がこのほど、中共政権に対し武装闘争の開始を宣言しました。宣戦布告というところですか。
http://news.bbc.co.uk/chinese/simp/hi/newsid_4290000/newsid_4295900/4295912.stm
ソースはBBC、前回のコメント欄で「ひろぽん」さんが教えて下さったものです(ひろぽんさん有り難うございました)。写真までついています。黒覆面をかぶった男が紙を手に声明文を読み上げています。その背後には自動小銃を掲げたやはり黒覆面姿の2人が。
声明を読み終えたらそのままグロ映像(斬首)に入りそうな物々しい雰囲気です。実際にあの独特の音楽が流れて江沢民あたりが肉切包丁で首を引きちぎられたら快哉を叫ぶ人がたくさんいることでしょう。
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さてこのビデオ、ETLOからドイツ・ミュンヘンに本部を置く「東トルキスタン情報センター」(東土耳其斯担信息中心)へと送られてきたものをBBCが入手したそうです。制作したのはETLO天山支部の模様。
今年はときあたかも新疆ウイグル自治区成立50周年です。これをウイグル族の側からみれば「侵略されて50周年」な訳ですから唐突ではないのでしょう。ETLOはビデオ声明の中で、
「あらゆる手段によって中国政府に武装闘争を発動する」
と高らかに宣言しています。このETLOも東トルキスタン情報センターも、中共政権下においてはテロ組織認定されているそうです。中国が国際社会の反テロリズムの潮流に乗って、非暴力主義をとる者をも含めた内外の分離独立派に弾圧を加えている、と一部の人権団体は中共政権を非難しています。
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このニュースを香港では「明報即時新聞」、それに台湾の「中央通信」及び「中広新聞網」が論評抜きで速報しています。
●明報即時新聞
http://hk.news.yahoo.com/050930/12/1h6r1.html
●中央通信
http://tw.news.yahoo.com/050930/43/2cz0u.html
●中広新聞網
http://tw.news.yahoo.com/050930/43/2cz0u.html
興味深いニュースですが、やや眉唾な感じがしないでもありません。いや声明を発表したETLOは戦意旺盛なのでしょうが、これが内外のウイグル人たちの姿勢を代表するものかどうか。
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あれは昨年のことだったと思いますが、やはりウイグル人組織が米国で亡命政府の成立を発表したことがありました。ところが当の米国において最大のウイグル人組織がこの亡命政府を承認しませんでした。他国の組織も意見が分かれていたと記憶しています。
正直なところ「東突」の問題は私にはよくわからないのですが、常識的に考えれば、独立を目指すにしても武闘派と非暴力主義の穏健派グループがあるでしょうし、武闘派の中でも例えばアルカイーダに接触しても目的を果たそうという一派があれば、それでは国際社会から認知されないとする向きもあるのではないかと。
あとは方法論や目的は似ていても、人間関係の好き嫌いで割れてしまっているかも知れません。亡命政府が海外のウイグル人組織にすんなりと承認されなかった理由はそんなところだろうか、と当時考えたりしました。
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すると中央通信から続報が入ってきました。「世界ウイグル代表大会」という組織の報道官が9月30日、
「我々は武装闘争による新疆独立を支持しないし、それを励行しない。自らそれを行うこともない」
との態度表明を行いました。
同大会は非暴力主義を標榜しており、中国政府に対し呼びかけと対話要求を繰り返す一方、ウイグル人の問題について米国から中国に圧力をかけてもらい、民主的な方法で問題解決を図ろうという立場とのこと。穏健派というところでしょうか。ともかくETLOのやり方は物騒だし誤解を招くということで早々に一線を引いた、という感じです。
また中央通信は台湾と香港の専門家へのインタビューも行っていますが、いずれも米国が「9・11」以降テロ組織と対決する姿勢で一貫していること、それについて中国の支持も取り付けたことから、ウイグル人の人権問題で米国は妥協する、つまり見て見ぬ振りをするだろうという見方で一致しています。
http://tw.news.yahoo.com/050930/43/2czgx.html
勇ましい声明ながら、それに賛同するウイグル人組織がどれほどあるかは疑問符、といったところでしょう。
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せっかくですから中共の動きも追ってみましょう。「50周年」及び「国慶節」(建国記念日)ということで、中央からの代表団が新疆ウイグル自治区を訪問して回り、かつて暴動がしばしば発生し不穏な状況にあると伝えられた新疆兵団をも視察しています。
今回その代表団を率いている「中央代表団団長」が羅幹・党中央政治局常務委員です。羅幹は司法・公安(警察)を束ねる党中央政法委員会書記を兼務しており、中共最高の意思決定機関ともいえる党中央政治局常務委のメンバーの中では治安方面の担当。その筋に顔が利く存在でもあるといえるでしょう。
羅幹は昨年秋に10万人が決起した四川省・漢源農民暴動の際にも成都まで出向いて鎮圧の総指揮を執ったといわれています。新疆の「50周年」にこういうドスの利く人物が送り込まれたというのは、新疆兵団の鎮撫も含め、決して偶然ではないと思います。また、現実に新疆に不穏要因が現出していることを示すものかも知れません。
http://news.xinhuanet.com/politics/2005-09/29/content_3559846.htm
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武装闘争は大いに結構。ただシシカバブを焼いている同族のお兄ちゃんとかを巻き添えにしないようにして下さい。ここはまず羅幹を斬首して出陣の血祭りとしたら如何。あいつ李鵬派だし。
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【追記1】香港紙『明報』の報道によると、今回中共に宣戦布告した「東トルキスタン解放組織」(ETLO)のメンバーの一部はアルカイーダで訓練を受けた経験があるそうです。
http://hk.news.yahoo.com/050930/12/1h7kb.html
【追記2】今朝の香港各紙(2005/10/01)によると、当ブログにて詳報を重ねてきた番禺太石村の「農民による民主化運動」が遺憾ながら予想されていた結末を迎えました。村長罷免動議賛成署名者584名のうち396名の村民が署名取り消しを申告。これによって法律の定める「村長罷免動議には村内有権者の20%の署名が必要」という要件を満たさなくなり、罷免動議そのものが不成立で落着しました。署名取り消しに応じた村民が当局の硬軟取り混ぜた脅し上げに屈したであろうことは想像に難くありません。……というか既報の通りですね。(2005/10/01/09:49)
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とはいえ、賽が投げられたからには、精々暴れて欲しいものですが。
東突内の一部過激派の宣誓だったんですね。
この件は外務省の方でも取り上げられました。
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4_T.asp?id=009
おそらくは欧米諸国でも似たようなものだと思われます。
と、言う事は政治・環境に加えて“テロの危険”が加わったと言う事で。ますます企業の中国離れが加速して行くんじゃないかな?行ったらいいな♪
まぁ東突開放組織にはいたるところで散発的にテロをやって、燃費の悪い中国軍を振り回して欲しいものです。いやー金がかかるぞーざまーみろ。
今朝の香港紙『蘋果日報』(2005/10/01)によると、米国領事館が在新疆の米国国民に対して警戒警報のようなものを出しているそうです。
中原の回族蹶起に期待。
弾圧する必要からの自作自演とか?
現状では一見遠回りでも、(海外で)平和的な独立啓蒙運動を進めた方が有効なのでは。
日記と異なる内容ですみません。
つい2日前に友人が上海から戻ってきました。成田に着いたら検疫があり、申告書を書かされたそうです。いままではこんなことなかったのにと言っておりました。
どうも水際での対応を本格的に政府のほうでは取り出している模様ですが、最近帰国した方も同じような経験をしているのだろうか。
上海の職場では病気の話題は出ているとのころで、その人自身も衛生には注意はしているようです。
確かなところが分かればよいのですけど。
そろそろ新しい仕事場が欲しいと言うことでしょう。
福建省では霍乱(コレラ)が多発しているようです。
昨日私の手機に“厦門疾病予防控制中心”から短信(ショートメール)が届き「熱を通したものを食べ、沸かしたお湯を飲み、手を洗い、病原菌が口から入るのを防ぎ、節日の安泰を確保しましょう」だそうです。小学生相手ではないでしょうに。確かにトイレに行っても手を洗わないし、もし洗ってもハンカチなど持っていないので手をプラプラ振り回しているだけですからね。
日本や世界に伝えていこうという運動の
HPが出来ました。
チベットなどの弾圧は世界的に有名ですが東トルキスタンの弾圧はあまりにも無名なので
まずはみんなに知ってもらい対中世論を形成しようと言うことになりました。
http://www.geocities.jp/saveeastturk/
情報ありがとうございます。
福建ではコレラですか。また台風が行ったりしているので、病気がさらに流行りそうな感じですね。友人にはくれぐれも注意するように、またネットでチェックするように伝えました。
御家人さん、コメント欄をお借りして済みませんでした。
>>霍乱さん
中国に関する情報であれば気になさることなく勝手に使って下さい。内容によっては削除するかも知れませんけどw
香港か台湾かは忘れてしまいましたけど、そっちに住んでいて東京へ出張してくると、どちらか(たぶん香港)では必ず検疫の申告が義務付けられていました。
いままで中国がノーチェックで済んでいたとは驚きです。
福建省のコレラは私も気にしています。こういうネタは当局も隠し切れなくなってから渋々発表しますから。そのときには事態がより進行していることが多いですよね。
それから各地で数十から数百名単位の集団食中毒が頻発しています。これも9月以来よく目にするのですが、どうも気になります。
お許しも出たところで? ずうずうしくも旬の台風ネタ等現場より。4~5日前には(日本のメディアにて)台風19号が発生して、台湾からこちらに向かっているのは解っていました。しかしこちらのメディアは警戒を促すでもなく、厦門北方50kmに上陸した今日の日暮れ頃からテレビにて特番が始まり、「おとなしく家に居なさい」などと言いはじめました。
前回の泰利の時もそうだったのですが、パニックになるのを恐れて情報を遅らせているのではないかと思われる節があります。
明日からの被害報道から目が離せません。どうせ国慶節の連休でヒマですから。
件名:「台湾の声」【周知を】大阪靖国訴訟の原告は「台湾の戦没者の遺族ら」ではない!!
http://www.emaga.com/bn/?2005100000676248027914.3407
ただ台湾の新聞記事を見ると論調が分かれていますね。
国民党と外省人(外省人と自分を認識している台湾人はどのくらい居るのだろう?)は大陸に擦り寄ることで生存を計るのであろうか?
「霍乱さん」なんて間違えてしまって申し訳ありません。台風ルポ、大歓迎です。このブログを読んで下さる方には中国在住の方がかなりいらっしゃるようなので、情報交換という意義もあって私も嬉しいです。でもくれぐれもお気を付けて。
>>大丈夫?さん
こいつ北京の民族学院に入ったそうですね。馬英九が活動資金援助したりしていますし。゛メディアは国民党系が主流ですから仕方ないでしょうけど、独立派も中国の攻勢に打つ手なしという感じで情けないです。総統と議会のねじれ現象が痛いですね。でも香港の凋落ぶりを見ているから市民は選択を誤らないだろうと信じたいところです。そういえば最近の陳水扁の台風外交はなかなか面白かったですね。
北大落ちて、民族大ですか。
また、少数民族枠ですかね?
( ´,_ゝ`)プッ
【劉亜州】胡錦濤・中共要人研究第4弾【朱成虎】
http://academy4.2ch.net/test/read.cgi/china/1126015728/559
>599 名前: 名無的発言者 投稿日: 2005/10/03(月) 21:04:46
>ttp://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20051002#p1
>ほとんど絶滅危惧種である、まともなリヘラル派である梶先生の東トルキスタン問題の日本での扱いについての見解。
>完全に同意できなくても、アサピーあたりの中共大本営発表よりよほど読ませるものがある。
やはりウイグルは一筋縄ではいかないようです。
http://academy4.2ch.net/test/read.cgi/china/1126015728/559
↓
【劉亜州】胡錦濤・中共要人研究第4弾【朱成虎】
http://academy4.2ch.net/test/read.cgi/china/1126015728/599
武警の学校だか宿舎だかが土砂崩れにやられて50人行方不明、とか報じられていますね。まるで炭鉱事故のようです。
福州は毎度のことながら、ミン江の治水不良で洪水でした。報紙では59人行方不明(4日現在)ということでしたが、ホントのところはどーだか? すでに台風龍王の件は庶民の口端にも上らなくなっていますので、残念ながら打ち止めということで・・・
当サイトは移転しましたので変更をよろしくお願いいたします。
移転先:
http://saveeastturk.org
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