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日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





【シリーズ:反日騒動2005(13上)】
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 いよいよ動きが出てきたようです。

 今朝(前回)お伝えしたように、四川省成都市では2日午後、イトーヨーカ堂が群衆に囲まれ、正面玄関のガラスなどが割られるなどして、警察が出動する騒ぎとなりました。今日(4月3日)署名活動が行われた深セン市でも多少の騒ぎが起きたようです。

 現時点までに出ている日本マスコミの報道は以下の通りです。

 ●ヨーカ堂襲撃、ガラス割られる=日本の常任理入りに反対、数人拘束-中国四川省(時事通信)
 http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=050403175508X850&genre=int

 ●中国・広東省で大規模反日デモ、常任理事国入り反対(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050403it11.htm

 ●中国で2000人がデモ 日本の常任理入りに反対(共同通信)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005040301003022

 ●<中国>日本の常任理入り反対デモ 広東、四川両省で(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050403-00000042-mai-int

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 成都の事件については、香港紙では前回紹介した『太陽報』、そして台湾・中央通信が引用した『成報』(いずれも3日付)がこれを報じています。備忘録として一応URLを出しておきます。


 ●香港紙『太陽報』(2005/04/03)。
 http://the-sun.com.hk/channels/news/20050403/20050403014320_0001.html

 ●香港紙『成報』(2005/04/03)。
 http://the-sun.com.hk/channels/news/20050403/20050403014320_0001.html

 日本のマスコミは12時間遅れての報道です。そのことに不満や怒りを感じる人も多いでしょう。私もそのひとりです。

 ●ヨーカ堂襲撃に関する写真
 http://editorial.gettyimages.com/source/search/FrameSet.aspx?s=ImagesSearchState|0|-1|30|0|0|0|1|||0|0|0|0|0|0|0|0|7|ito|-8193|0|0|0&p=7

 某巨大掲示板などで出ていたリンクですが、ここでたっぷり見ることができます。ただし最後の数枚は広州の活動風景のようです(キャプションでわかります)。

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 前回、前々回のコメント欄にいろいろ書き散らしましたが、ここで改めて考えをまとめておきたいと思います。

 まず、ヨーカ堂襲撃事件を「反日暴動」と捉えるのは全く間違いという訳ではないにせよ、本質をついたものではないように感じます。

 昨年秋、重慶市・万州区で幹部を偽称した男が日雇い労働者を打ち据えたことを発端に、万単位の群衆が政府庁舎前に押し掛け、警官隊と衝突した事件がありました。いわゆる重慶万州暴動ですが、今回のヨーカ堂襲撃事件もまた、これと同質のものだと思います。

 発端は「反日」であるけれども、実質は現在の社会状況を反映した騒動だと思うのです。常々指摘している失業問題、貧富の差の拡大、貪官汚吏の跋扈。それに加え、食品などを中心に物価高が進行しているようです。物価高は昨年秋以来の問題で、それによるデモや座り込みも起きていますが、今年に入っても改善された気配はありません。

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 国家統計局が先ごろ発表したところによると、今年2月の都市住民消費者物価は前年同期比3.9%の上昇。それだけを見ると伸び率は低いようですが、品目別に眺めると全く異なる景色となります。穀物価格が11.6%の上昇、肉類14.9%、水産品15.9%、野菜など13.1%……要するに、三度の食事に関係する品目はいずれも前年比2ケタ上昇であり、文字通り台所を直撃する形となっています。富裕層、準富裕層ならともかく、庶民はたまったものではないでしょう(※1)。

 胡錦涛政権がその気になれば、「反日」ならまだ抑えを効かせることができるでしょう。でも社会状況の反映(一種の「ええじゃないか」ですね)となると、火種は全国各地に存在します。「反日」がその発火点となればどうなるかわかりません。今回はその典型的なケースで、「反日」を端緒に、また「反日」に名を借りて市民が世の中に対する不満を爆発させたプチ都市暴動と言っていいかと思います。

 しばしば当ブログで言っておりますが、「インフレ+失業+貧富の差+汚職」に起因する都市暴動が今年は増えるように私は思います。今回はその先触れなのかも知れません。1989年、胡耀邦死去を発端に民主化運動が生起して天安門事件に至ったように、全国で展開される「反日」(署名活動)は恰好の起爆剤になり得ることを、今回の事件が証明しています。

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「(珍獣・糞青・学生ではなく)市民や出稼ぎ農民が混ざると、どういう方向にどう荒れるか予測がつきませんからねえ」

 と前回、前々回のコメント欄に書いたのですが、今回がまさにそのケースです。私が思うに、珍獣・糞青は中国民間保釣聯合会や愛国者同盟網といった「民間組織」の旗のもとに集まって活動しています。組織防衛の観点から、日貨排斥を叫ぶことがあっても、組織ごと潰されるかも知れない暴動などを望んではいない筈です。

 中国国内のBBSで拾ったルポを元に経緯を追ってみましょう。

 事件が起きた4月2日午後、学生らしき十数人が「日本の常任理事国入り反対」という横断幕と中国国旗を掲げて現れ、イトーヨーカ堂の前で署名活動を始めたのが発端のようです(わざわざそんな場所を選んだのは嫌がらせでしょうが、浅慮としか言いようがありません)。署名する通行人が相次ぎ、横断幕がそういう字で埋まってほどなく、現場の群衆は数百名近くに達していたといいます。そのうちに、

「中国人は出て来い」
「日貨排斥」
「ヨーカ堂は中国から出ていけ」

 といった類の声が店内に向かって飛び、買い物客の中国人が出て来ると拍手が起こったそうです。このころ、国旗を掲げていた男子学生が「色々なメディアに電話したのに、どこも来やしない」と愚痴り、「これちょっとやり過ぎじゃないか」と小声で話していた人もいたようです。

 ほどなく、背広姿のヨーカ堂側の関係者が現れ、正面玄関の前にガードマンを並べて封鎖するような隊形をとりました。それに刺激されたかのように群衆を包む空気が不穏なものとなり、一触即発に近い状況になったそうです。ほどなく衝突、騒乱となって防暴警察(機動隊)が駆け付けて鎮圧、となる訳ですが、当初署名活動をやっていた学生たちは騒ぎが起こる前にいつの間にか姿を消していたそうです(※2)。


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 【※1】http://news.xinhuanet.com/fortune/2005-03/31/content_2766035_1.htm

 【※2】http://post.baidu.com/f?z=12675751&ct=335544320&lm=0&sc=0&rn=50&tn=baiduPostBrowser&word=%B3%C9%B6%BC&pn=50



反日騒動2005(13下)に続く)





コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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Unknown (紀伊国屋)
2005-04-04 01:03:22
 なるほど。ええじゃないかですか、、。インドネシアでのかつての反日暴動が実は反スカルノの現体制打倒運動だったように、排外運動が共産党体制の打倒であると、、、

 共産党政府も煽ってると、いつ火の粉が自分に降りかかるかわかりませんね。

 しかも排外運動しても中国政府自体には他国の警戒心を強めわすれ利益はないのですから
 
 
 
紛れ込んでますな (Skai2)
2005-04-04 01:10:06
>>紀伊国屋

どうも、今回の反日活動ってのは、妙に組織だっているのと、準備がかなり周到に行われている点、さらに老若男女、子供なども上手く利用してイトーヨーカドー事件以外は比較的、平和的に行われている印象が強いんですな



思うに、頭の良い、反体制派の連中がかなり紛れ込んで来ている可能性も高いかと、、



 
 
 
Unknown (御家人)
2005-04-05 00:23:12
紀伊国屋さん、コメント有難うございます。



珍獣や糞青が街頭に出て署名運動をやっていると、市民がそれに接触する。接触したら暴徒になってしまった。しかもエネルギーが「反日」とは別の方向に向いた暴徒。それが今回、成都と深センで起きたケースだと思います。

でも暴れるのは中共政権打倒というような高い政治意識のものではなくて、生活を改善しろというようなごく身近な、日常的なことに関する不満を爆発させているように思います。ただ、こういう事例が増えていけば確実に反政府運動になるでしょう。



中共にとってはここで一度水をぶっかけておかないと危ないと思います。

 
 
 
Re:紛れ込んでますな (御家人)
2005-04-05 04:24:20
Skai2さん、コメント有難うございます。



以下はかねてより愚考するところですが、中国情勢をみる上で、ことさら複雑に事態を捉える必要はないと思います。ただ同時に、ごく単純に割り切ってしまうのも事態を見誤る可能性があると思うのです。例えば「反日活動」、別に「反日運動」としてもいいのですが、これをひとつの動きとして捉えるのは誤りではないかと思うのです。



今回の「反日」についていえば、「署名活動」「メディア」「日貨排斥」「日系スーパー襲撃」を分けて考える必要があると思います。



活動主体にしてもそうで、為政者たる中共には自身の思惑があるほか、中国保釣聯合会や愛国者同盟など「なんちゃって民間組織」もまた自分の考え方を持っています。両者は重なるところもありますが、今は差異の部分が目立ち始めているように私は感じます。差異が目立ち始めているというのは、単に中共と「民間組織」の間にズレが生じているのかも知れません。あるいは「中共」といっても一枚岩ではないですから、胡錦涛一派とそれに対抗する政治勢力が「民間組織」の争奪戦をやっているのかも知れません。



それからもうひとつ、民衆という活動主体と民衆の間で共有されている空気、これも忘れてはならないと思います。



ですから、もし御指摘のように組織的である点、準備が周到である点、老若男女を利用している点があるとすれば、それぞれ「署名活動」「メディア」「日貨排斥」「日系スーパー襲撃」のどの部分に該当するのか、というところから検証していく必要があると思うのです。また、反体制派が紛れ込んでいるとすれば、それはどの部分か。



これは複雑に事態を捉えるということではなく、仔細に眺めてみるということです。私としては、今回の「反日」は一太刀でざっくりと斬って論じていい性質のものではないと考えています。

 
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