相変わらず不謹慎な標題で申し訳ありません(笑)。別に魏呉蜀……って訳じゃないんですけど、いま中国大陸の最低3カ所で疫病が蔓延中、あるいはその可能性を感じさせる兆候が出ているのです。
四川省だけじゃないんです。でもまあ、いま一番騒がれているので四川の話からしますか。
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例の病豚から広がった謎の病気です。四川省・資陽市と内江市で6月24日からこの「奇病」患者が続出しました。すわ中国肺炎(SARS)?と騒ぎかけたらそれは否定され、続いてエボラ出血熱では?との噂も出ましたが、昨日(7月25日)午後11時すぎ、ブタの連鎖球菌に感染したもの、という当局発表が出されました。
●四川の原因不明の疾病、ブタ連鎖球菌とほぼ判明(新華網)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-07/25/content_3266312.htm
「初歩査明」を「ほぼ判明」と訳したのですが、ニュアンスとしては多少含みを持たせている印象で、
「たぶんそうだと思うけど、もしかして、ひょっとすると違うかも……」
ぐらいの気の弱さをが出ている感じです(笑)。ただ、今朝(7月26日)の日本・香港の報道とも「ブタ連鎖球菌」で統一されてはいます。
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エボラ出血熱説はなかなか刺激的なのですが、反体制系のタレ込みニュースサイト「博訊網」から出た話を「大紀元」などが転載しているだけで、別方面からの報道がありません。このため、目下のところ「ブタ連鎖球菌」に比すれば確度に疑問が残ります(いや中共当局の公式発表だって疑問が残りまくりですけど)。
「博訊網」はタレ込みがあるだけに玉石混交なところがあるのですが、中国国内のネットから丹念にニュースを拾い上げたり、タレ込みがあったりするので、過去には幾度かヒットを放っています。特に暴動関係に滅法強くて、ひと荒れするとルポとともに画像までupしてくれる(笑)頼りがいのあるサイトなのです。
……肝心なことを書き忘れていました。上の「新華網」に出た当局発表によると、6月24日から7月24日正午の時点までで80名がブタ連鎖球菌に感染した(あるいは感染の疑いあり)とされていて、67名が感染確定、13名が感染の疑いありで未確定、4名が完治してすでに退院、死者は19名とのことです。この時点でも危険な状態にある患者が17名いるので、死亡者はさらに増える可能性があります。ちなみに、人から人への伝染は確認されていないとのことです。
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ところでこの資陽市というのは、何かとてもヤバいところなんでしょうか。街の掲示板に入ってみたら妙なスレが立っていて、そこにまたたくさんレスがついていました。党幹部が黒社会同然なのか、党幹部が黒社会と結託しているのか、そう思わせる何だか救いようのないことが色々書かれていました(下記)。
http://post.baidu.com/f?kz=956190
あとパニックめいたスレもひとつ(下記)。ひょっとして資陽市と内江市は封鎖されていて、市外に出ることも禁じられているのでしょうか?
http://post.baidu.com/f?kz=26434297
パニックといえば香港では昨日時点でまだ四川省の冷凍豚肉が出荷されていたので(香港にとって四川省は豚肉の主要供給源のひとつです)、大手スーパーの百佳(パークン)や恵康(ウェルカム)などでは慌てて関連商品を撤去する騒ぎだったとか。今日から資陽市・内江市産の豚肉は出荷ストップ(香港だけでなく中国全土も)となりましたが、「対応が遅い」と関係部門が叩かれているようです。
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それにしても6月末からつい最近までよくも隠し通したものです。その間に流通した豚肉は大丈夫だったのでしょうか。なんでも今回のケースでは肉を食べた者は症状が軽かったそうですが……。一応関連記事を並べておきます。
●『重慶時報』(2005/07/25)※病院画像あり
http://cqsb.huash.com/gb/cqsb/2005-07/25/content_2073490.htm
●『燕趙都市報』からの最新ニュース(2005/07/26)
http://news.sina.com.cn/c/2005-07-26/02126525945s.shtml
●大手ポータルサイト「新浪網」(sina.com)の特集ページ
http://news.sina.com.cn/z/sccxbjb/index.shtml
『燕趙都市報』のタイトルは「ブタ連鎖球菌の疑い」と新華社電より慎重です。それとも真実を書かせてもらえない記者による精一杯の抵抗?……ともあれこの件は今後の展開に期待ということで(紋切型)。なにせ「疫病三国志」と謳ったばかりにあと2つこなさなければなりません。
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2つ目はたぶん上のケースよりも早く起きていたものでしょう。青海省で渡り鳥が鳥インフルエンザに感染してバタバタと死んだというニュースです。bird-fluといえば、中国山東省から2003年に日本へと輸出されたダッグの中にH5N1ウイルスに感染していたものがあった、と最近報道されていましたね。
●香港紙『明報』(2005/07/21)
http://hk.news.yahoo.com/050721/12/1er0d.html
で、バタバタと……というのはどれくらいかというと、香港紙『蘋果日報』(2005/07/22)によれば何と6000羽。渡り鳥はこの青海省で子育てまでやってから世界各地へと飛び立っていくそうで、それによって鳥インフルエンザの伝染が大きく拡大する可能性がある訳です。
そこでWHO(世界保健機関)が中国政府にサンプルなど関連情報を提供するよう求めているのですが、なんと現在に至るまで当局は無視。何の情報開示も行っていないそうです。去年も似たようなことがあったように記憶しています。
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これにはさすがにWHOもムカついて、報道官があちこちで柔らかく瀟洒に不満をぶちまけ(キレてしまうと中国がいよいよ情報を出さなくなるので)、それが香港紙に出たり英国紙『デイリー・テレグラム』に出たりして、その英国紙をまた香港紙『東方日報』(2005/07/25)が転載したりしています。
この日の『東方日報』によると、青海省の現場では鳥インフルエンザの感染により人間もバタバタと死んでいるのを、中共当局がその地区を封鎖し、情報統制を敷いて隠ぺいしている……という驚くべき事態が進行中、とのことですが、これも上述した「博訊網」のみがソースなので何とも言えません。ただ中共当局がWHOの要請をはねつけ続けていることは事実です。
この『デイリーテレグラム』紙から引用した『東方日報』の記事によると、WHOは新疆ウイグル自治区とカザフスタンの国境付近での現地調査も要求したとのことですが、これにも音沙汰はありません。……もしこれが事実だとすれば、問題の地区は青海省にとどまらなくなる訳ですね。北京駐在のWHO代表は、
「このままでは百万に達する人命が失われるかも知れない」
と警告を発しているのですが、中共当局がそれを聞いたら「なーんだ、たったそれだけ?」と思うのかも知れません。いや冗談ではなく。
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そして最後の一件。これはひょっとするとまだWHOの耳には入っていないのかも知れません。広州市・天鹿湖森林公園で最近、300羽を超えるコサギが次々に死亡した、というニュースです。これは中国通信社電を香港の親中紙『香港文匯報』(2005/07/25)が報じていますから確かなことなのでしょう(実際は1000羽かも知れませんけど)。
●広州で謎の大量死――コサギ300羽(『香港文匯報』2005/07/25)
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0507250039&cat=002CH
で、その死んだコサギを、付近の農民が天の恵みとばかりに持ち帰って食べているというのです。
「これだけ暑い日が続けば鳥だって死ぬわさ」
と農民の多くは気にも留めないということです。バーベキュー風に焼いたり鍋にしたり。ある農家の軒下には数十羽のコサギが吊るされていたそうで、死んではいないものの気息奄々、明らかに病んでいる様子なのですが。……そういうコサギを市場に売りに行く農民もいるそうです。
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この広州の事件はまだ何の展開もみせていません。農民がバタバタ死んだとか、調べたらコサギからH5N1ウイルスが発見されたといったことは何も起きていません。……いや「報道されていません」と言うべきでした。
ただこの『香港文匯報』、これを報じる一方で、同日に謎めいた記事を掲載しているのです。
●伝染病例はひた隠し――広東省の病院(『香港文匯報』2005/07/25)
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0507250004&cat=002CH
この記事によりますと、広東省の病院は伝染病患者が出てもすぐ上に報告することなく、広東省衛生庁によるインフルエンザや鳥インフルエンザに関する調査ではじめて発覚することが多い、というものです。要するに伝染病例の隠蔽が一般化している訳です。そのあとに一例として病院名がズラリと並ぶのですがそれは省略。
驚いていいニュースだと思いますが、これを最初に伝えたのは中国国内紙(広州の地元紙)の『信息時報』。これを『香港文匯報』が転載し、また同日の『東方日報』もこの記事を掲載しています。
で、特に『香港文匯報』のように「コサギ大量死」の記事と並ぶと合わせ技なのではないかと疑ってしまいかねない、というより疑っていいと私は思います。これが冒頭に書いた疫病蔓延中という可能性を感じさせる兆候なのですが。……下衆の勘繰りが過ぎますか。そうですか。
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3件の記事を並べてみて興味深かったのはWHOの対応ぶりです。
●広州のコサギ大量死は知らないものとみえて反応なし。
●青海省などの鳥インフルエンザには激しい関心と危機感。
●四川省のブタ連鎖球菌についてはWHO西大平洋地区報道官が「中国当局は適切な処置を行っている」(※1)
四川省の件は妙に楽観していて、どうでもいいみたいですね。何だか中国人ならいくら死んでも構わないというような、bird-fulも中国国内から出ることがなければいいと言っているような。……いやいや、まさかそんなことはありますまい。
それにしてもコサギ食べるなよ農民。あと市場で売るなって(笑)。
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【※1】『香港文匯報』(2005/07/25)
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0507250003&cat=002CH
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これは中共の考え出した新しい生物兵器といえますね。
いや、病原菌自爆テロというべきか。
私達日本人はこうして日本政府に殺されるのかあ~。やっぱり、みんなちゃんと選挙行かないとだめだよ。自覚自覚。
洒落にならない事態になるのを私も案じています。広州近郊だと日本人への影響も考えないといけません。情報や人員の封鎖もやりにくい。私は賭博師ではなく、素人ながらヲチを心がけているので、何か情報が出たからといってその都度真面目に取り上げることは極力避けているつもりです。ソースを馬鹿なりに吟味します。で、何だかいかがわしいコサギのニュースですが、中共系通信社-香港の親中紙ということで、情報の流れは当局の御墨付同然の確度です。
病院の伝染病例隠蔽も怖いのですが、当局もそれをやることも忘れてはいけません。中国肺炎(SARS)のときに当の広東省当局がそれをやり、その事実を暴いた『南国都市報』に権力による報復が行われたことは以前ふれた通りです。
>>arereさん
中国人団体旅行客への観光ビザの対象を全土に拡大したことでどうなるかは別として、現在ちょっと微妙な日台関係を考えれば、まず台湾人へのノービザを先に決めて空気を入れ替えるのが筋のように思います。
中国人団体旅行者の顔ぶれが来日後、日が経つにつれてどんどん減っていくのが怖いですね(笑)。いや福建省からの台湾ツアーで最初23人いたのが最終日には3人になっていた(人数は記憶モード)という例もあるのです。もっとも対日観光の場合、ビザを出してもらえるのはある程度裕福な連中でしょうから、それよりも密入国の方が危ないです。あとは、中国人観光客が来日して日本にいる中国人の組織と接触して日本のためによからぬことをする可能性でしょうか。
>やっぱり、みんなちゃんと選挙行かないとだめだよ。
完全同意。
今回のエントリーも非常に興味深く拝読いたしました。
これまた某巨大掲示板からのネタですが、韓国発ニュースで
中国産ウナギから発癌性マラカイド・グリーン発覚、との記事を見掛け、
病死コサギを売り食いする農民と同じ衛生観念なのだと納得いたしました。
フランス映画の「WATARIDORI」を鑑賞した時
「自然っていいなぁ…。鳥になりたい。」などと和んでいたのですが、
WHOの対応差が、そんな気分を吹っ飛ばしてくれました。
今後もチナオチ楽しみにしております。
>完全同意。
同じく。
政治に文句を言うには政治に参加していないといけないですから。駄目モトで投票に行きましょう。
昔、漢方薬の原料は日本産が本場物より上とか言う話を聞いたことがあります。何故かというと本場物より質が良いし、訳わからん混ぜものもないからという事らしいです。だから中国人旅行者が日本製漢方薬と原料を買っていくと。まだ中国バブルがくる前に聞いた話なのですが、事情は変わってないでしょう。現在も衛生観念が信じられない位低いみたいですから。
>病院の伝染病例隠蔽も怖いのですが、当局もそれをやることも忘れてはいけません。
ってことは手に負えなくなるまで隠蔽という公算が大きいのかもしれませんね。明治期のコレラ流行時の様に、日本は患者隔離でしのげる事を祈りましょう。不法滞在者達もいざとなったら死にたくないから平気で病気の同胞を当局に引き渡してくれるでしょうし。
某巨大掲示板では、これを機にチベット族への迫害を強化するのではないかという見方もありました。
○疫病
疫病対策をしたとしても、その資金は役人の利権となり、ピンハネされるでしょう。……何より情報を封鎖している為、適切な処置を行き渡らせるまでに時間がかかるであろう事が致命的です。効果が期待できなければ、疫病→隔離・情報封鎖→暴動という形の騒乱も増えて来るかもしれませんね。中共としては金を生み出す都市部さえ無事ならば、何百万死のうと関係ないのかもしれませんが。
コメント有難うございます。中国産ウナギの話、今日の香港各紙にも出ていました。香港も日本料理屋などでウナギをよく使うので他人事ではなかったのでしょう(たぶん日本も)。「WATARIDORI」は前に中国映画を観にいったとき予告編に接しました。いま本編を観たら私も素直に感情移入ができないと思います。疫病に公害そしてあの衛生観念、いまや病気になりたきゃ中国へ行け、てなもんですね。
>>暇人さん
レス有難うございます。漢方の薬材にそんな裏話があるとは知りませんでした。「訳わからん混ぜものもないから」というのはわかるような気がします(笑)。中国肺炎のような本格的な疫病(しかも伝染病)なら、告発者も出るでしょうしネットにも情報が流れる(記者の良心の発露だったりします)でしょうから完全に隠蔽するのは無理でしょうね。公害病とか、報道されないだけで色々あるんでしょうね。この調子だと経済破綻以前の問題で北京五輪が流れるかも知れません。
>>蒼穹如是閑さん
コメント有難うございます。「博訊」のタレ込みは私もかなりチェックしています。ただ真偽の判断が難しいですね。青海省のチベット自治州の件は疫病なのか、高値で売れる冬虫夏草を採取に来る農民(チベット族)と警官隊の衝突なのか(ちょっと前にあった話です)、地名が同じなので混同されるか何かして別の事件としてタレ込まれたのかも知れません。私個人は、写真つきでもない限り、「博訊」を単独ソースで扱う度胸はちょっとありません。内容にもよりますけど、反政府系は反政府系で虚報を飛ばすこともありますからね。
>中共としては金を生み出す都市部さえ無事ならば、何百万死のうと関係ないのかもしれませんが。
13億のごく一部に独占された都市の繁栄が農村出身の出稼ぎ労働者などによって辛うじて支えられていることを考えると、なかなかそうもいかないと思います。都市住民であれ農民であれ、百万人死んだくらいでは中共当局は動じないかも知れませんけど(笑)。毎度のことながら、今年は都市暴動に期待です。もし「権力闘争の夏・暴動の夏」になったら私は仕事を臨時休業にしてこのブログ一本に……て無理ですね。
社民、公明、共産は捨て置くとして、民主は旧社民党がたくさん巣くってますし、自民も売国奴とまともな人がごちゃ混ぜなので、投票のたびに悩みます。
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