またまた……というより今度は本当にニュースの丸投げになってしまいますが。
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●農民1000人、外国公館へ陳情 腐敗に不満、当局が拘束(Sankei Web2005/06/23 20:58)
http://www.sankei.co.jp/news/050623/kok091.htm
中国共産党や官僚の腐敗反対などを訴える農民や労働者が18日から23日にかけ、北京市内の国連機関の施設や米国大使館、フランス大使館へ「陳情」のため相次いで押しかけ、約1000人が公安当局に拘束されたことが分かった。消息筋が明らかにした。
押しかけたのは、腐敗や農地の強制収用への不満、救済措置を中央政府に直訴するため、北京に滞在している地方農民ら。外国機関を対象としたのは、対策を講じない「中国指導部へのいら立ちの表れ」(消息筋)とみられ、胡錦濤指導部への失望感の高まりを示した形だ。
米大使館は「示威行為があったことを認識している」と一部事実関係を認めた。陳情者らは数十人の集団に分かれて両大使館などを訪れたが、待ち構えていた北京と地方の公安当局に次々と拘束され、警察車両で連れ去られたという。
消息筋によると、農民らは、それぞれ陳情内容を記した文書を持参したが、スローガンや垂れ幕などは掲げずデモの形態は取らなかった。
中国政府は5月1日に改正「陳情条例」を施行。陳情は代表者5人以下で行うことや、国家機関の建物を取り囲む行為などを禁止事項に規定、陳情活動に対する規制を強めている。陳情活動のため北京に滞在する吉林省出身の男性は「反日デモを黙認しておきながら、当局がわれわれを拘束するのは理屈に合わない」と不満を述べた。(共同)
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……以上、『産経新聞』が報じていますが、記事文末にある通り配信された共同電をそのまま掲載したようです。その共同通信の記事はこちら。
●農民1000人、外国公館へ陳情 腐敗に不満、当局が拘束(共同通信2005/06/23/20:55)
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=HKK&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005062301003901
これがVer. 1.0なのか、記事は第2段落(……高まりを示した形だ。)までしかありません。直後に3段落分を追加した新バージョン(上の記事)が流れ、『産経新聞』はそちらを使ったのだと思います。
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いずれにせよ、事実なら驚くべきニュースです。
「陳情」というのは中国語でいう「上訪」のことですね。陳情者は「上訪人士」、その多くは農民です。地元の揉め事や何らかの窮状(地元党幹部の汚職など)を改善してもらいたくて、でも地元ではラチが開かないので、はるばる北京までやってきます。
もちろん「上訪」は合法的な陳情活動で、北京の中央政府をはじめ省政府、県政府といった各地方にも担当窓口があります。人数は北京(上京陳情者)だけで年間延べ20万人にものぼるといわれています(記憶モード)。
ただ当局側はこうした庶民の陳情活動をうざったく感じているようで、窓口に出向く「上訪」ではなく、書類を担当部門に送る形の陳情である「信訪」を主流にしようとしています。上の記事の中で、「国家機関の建物を取り囲む行為などを禁止事項に規定」とのくだりがありますから、実際にそういう事態も発生しているのでしょう。
でも「信訪」で解決されるならコストもリスクも大きい「上訪」を選んだりはしないでしょう。で、「上訪人士」として上京してみたけれど、「北京の窓口でも駄目だ」ということになって今回は一大飛躍……というより切羽詰まったのでしょうが、米国やフランスの大使館を訪れて個々の陳情資料を渡そうとした、というものです。
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いずれにせよ、事実なら驚くべきニュースです。ところがこの情報、確度が問題なのです。
現時点まででこれを報じているのは共同通信のみ。今日付(2005/06/24)の香港各紙や台湾方面、それに反体制系ニュースサイトも回ってみたのですが、報じていたのは香港紙『太陽報』のみ。ただしこれも共同電の引用で、しかも初期バージョンをより簡素化したものです。
ひと晩寝かせてみたものの、外電や香港・台湾マスコミさらに反体制系サイトにも目下のところ後追いする様子がみられません。という訳で、ありそうな話だとは思うのですが、私はその信憑性に自信が持てないままであることを申し上げておきます。
……と半信半疑のままこの話題を続けることにやや気が引けますが、やはり面白いネタですので(笑)。ありそうな話だとは思うのです。今回は外国公館を目指したという点が新しいですし、だからこそニュースになったのでしょう。
ただこの「いっそ米国大使館を狙ってみよう」というアイデアは、農民主体と思われる「上訪人士」から出たものでしょうか。人権活動家あたりが耳打ちしたのではないかと思います。農民をバカにする訳ではありませんが、陳情一筋に思い詰めて上京してきた連中に、そこまで頭を回す余裕はないのではないかと。
あるいは、党上層部に権力闘争の気配があり、奪権を狙う一派が「上訪人士」を使ってひと騒ぎ起こさせることで胡錦涛政権に揺さぶりをかけてみた……という筋立てなら香港の政論誌あたりが書きそうでもあります。
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信憑性を横に置いてさらに続けますと、この記事はどこまでが「消息筋」でどの部分が共同通信の独自取材なのか明確ではありません。ということは全部消息筋情報なのかな、と考えるしかありません。
それにしても「約1000人」というのも大層な数字です。「数十人の集団に分かれて」といっても、数十人がまとまって歩けば目立ちますし、「約1000人」であればそれが数十の集団ということになります。情報が事前に洩れたのか追跡中に行き先を偵知したのか、あるいは最初から当局のペテンだったのかはわかりませんが、大使館に着くか着かないかのところで治安当局が「いらっしゃーい」と待ち伏せしていて、
「次々と拘束され、警察車両で連れ去られた」
のだと思います。陳情者の地元の公安担当者まで待っていた訳ですから、まさに飛んで火にいる……という展開です。
「米大使館は『示威行為があったことを認識している』と一部事実関係を認めた。」
とのことですが、「そういやウチの外で何か騒いでたみたいだよ」という程度のものでしょう。ともかく「上訪人士」による新しい試みは失敗したということです。
「陳情活動のため北京に滞在する吉林省出身の男性は『反日デモを黙認しておきながら、当局がわれわれを拘束するのは理屈に合わない』と不満を述べた」
……なんてあなた、いやしくも中共一党独裁政権の奴隷なんですから、それは「寝言は寝て言え」てなもんですよ。そんなことは日米英仏とか台湾といった国で主張して下さい。いま言うとすれば「われわれがこんな国に生まれたのは理屈に合わない」といったところでしょうか。
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ちなみに、
「胡錦濤指導部への失望感の高まりを示した形だ」
という形でまとめたのは、さすがは共同通信という印象です。「失望感の高まり」なんて生易しいものではないでしょう。政府(陳情窓口)を見限ったからこその行動ではないでしょうか。中国社会の一風景として、中共政権を「見限る人々が現れた」(海外メディアに捉えられた)ということは、見逃せない事実だと思います。
……ああそうでした。このニュースが事実だったら、なんですけど。北京在住の方、目撃談をお待ちしております。
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【追記】反体制系ニュースサイト「大紀元」でも報じられていますが、『産経新聞』の記事をそのまま使っていますので、これまた共同通信の引用のみです。(2005/06/24/11:37)
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なんとなく、ですが。
な気がしますし、公安が先回りできたのが不可解。
それに、数十人ずつ、数十のグループが存在した事を
正確に把握して「約千人」と報道できるのも、どうも、
不自然。
大紀元より先に掴んでるのも不思議。w
どうにもこうにも、謎は深まるばかりですね。
気になった点は、仮に外国に訴える事が成功して国外から苦情が寄せられても当の中共政府が「内政干渉だ」で一蹴するのは明らか。
そこから考えると・・・
あの国の農民はそういう事も解らない程に世間知らず?
なのか、
御家人さんのおっしゃるとおり誰かの入れ知恵?
かと思われます。
どうせなら、うっかり日本領事館へ向かっちゃって反日デモと間違えた香具師連中が合流して…
を期待せずにはいられませんでした(笑)。
そもそも
”中国政府は5月1日に改正「陳情条例」を施行。陳情は代表者5人以下で行うこと”(記事サイトより)
って何よ、5人以下って!
まるで「逮捕し易い人数で来なさいね」と言ってるも同然ですよ・・・、怖ぁ・・・(苦笑)。
内政問題を自国で解決できないのですから。
tp://dolby.dyndns.org/upfoo2/mov/1119577950320.avi
Face to Face 面対面 出演する福原愛さん
異常な質問が続く様子。
日本側の報道を信じていました。
ネット以外の日本国内のテレビでも、同様に中国側で取り上げくれたよ、嬉しいな見たいな報道姿勢でした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050623-00000013-scn-int
【中国】福原愛:中央TVに登場、中国でブームなるか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050619-00000114-kyodo-spo
愛ちゃん中国TVに登場 中国語駆使して生活語る
(イカレタ記事なので、全て転載しておきます)
福原愛が19日放映の中国中央テレビの人気インタビュー番組「面対面」に登場、流ちょうな中国語で生活ぶりなどを語った。
福原は「中国のチームには勝つために入りました」と決意を示した上で、「遼寧省チームには友人が多いので、自分の家のように感じています」と語った。中国のファンの応援にも期待する姿勢を示したが、中国では日本のように外出先でファンに囲まれて困ることがない、と外国ならではの気楽さも強調した。
「中国で練習して強くなったあなたが、北京五輪で中国選手に勝つのを心配しているファンもいるが」と聞かれると「中国は強いから」と受け流した。しかし、収入や私生活などのストレートな質問にはさすがの愛ちゃんもしばしば立ち往生。「お金のことは分かりません」「話題を変えましょう」と防戦に必死だった。
(共同通信) - 6月19日21時24分更新
通信機器を持っている不満分子にも対応できそうですね。使っているのを見つけたらすぐさま取り上げたりして。
この陳情条例と連動する形で、北京市内には中共がコソーリ設置した監視カメラが多数あるはずです。集音マイクも。
そこなんですよね。
困りに困って陳情までしに来た農村の方々が、そこまで待ってられるかなぁ…と。
となると、やっぱり陰で国際評価を気にするレベルの連中が農民を利用したっぽいかも?
オービスなら大使館周辺の道路にもかなり目立たないように配備されています。
ちょっと場違いなtbを貼らせていただきました...ご苦笑ください。
失礼しました。
U.S. Says China Should Prod N. Korea on Talks
By Dafna Linzer Washington Post Staff Writer
Friday, June 24, 2005; Page A26
WaPo;ブッシュ政権の高官;「中国は北朝鮮にもっと影響力を発揮すべき」
Undersecretary of State Robert Joseph・・・"The Chinese can exert more influence,"
he said. "China has to make a decision how to influence North Korea. It has a number
of tools."
Joseph would not comment on the report, but he said that if China does not take more
action "there possibly could be very significant consequences for U.S.-Chinese relations."
"As you look at alternative futures, the best future for China is a future in which
there are no nuclear weapons on the Korean Peninsula."
国務省次官のロバート・ヨセフは「中国はもっと影響力を発揮すべきで、幾つかの手段を持って
いるのだから、どうすればよいかを意思決定すべきだ」
次官は、もし中国が行動しないのなら「米中関係に大きな影響が及ぶ可能性がある」とした。
「中国にとって、選択肢の中で、核のない朝鮮半島が最善の未来であるはずだ」
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なんか知らんけど、国務省の態度も強硬になってきたような感じで、中国にも、何もしないなら
どうなるか解っているのか、ゴラァ、と文句を言い始めたような。国務省も、これ以上だらだらと
時間の引き延ばしや会議のための会議を続けることに耐えられなくなってきたような。
となると、貧しい農民が如何に暴動を起こそうが戦車に粉砕されてお終いというパターンが延々と繰り返されるに過ぎないのかとも思われます。
上海と北京、地方と中央、富裕層と貧困層、軍部と党中央、もっと決定的に対立軸が浮き彫りになるような事態の招来が待たれます。
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