続報・尖閣問題。

　前回速報した以上、続報に取り組まなければなりません。香港の「保釣」（尖閣防衛）組織に関する一件です。

　経緯をかいつまんで申し上げますと、香港の「保釣行動委員会」が８月15日の尖閣諸島上陸を目指してボロ船「保釣二号」を購入、その改装作業が終了し香港に回航しようとしたところ、邪魔が入って尖閣への出港予定日である８月12日の船出がかなわなくなった、というものです。

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　いやー自らの不明を恥じる次第ですが、今回の事態は本来予測されて然るべきものでした。

　靖国問題でも「参拝をやめろ」などと騒ぐことなく、外交部報道官が抑制された内容の声明を発表。実際に「八・一五小泉参拝」が実現すれば「抗議」とか「遺憾」といったリアクションが出るでしょうが、現時点ではそういう表現は一切なし。中共系メディアによる関連報道もその大半は日本メディア（主に『朝日新聞』と共同通信）の記事を引き写すのみで、叩くべき「敵」を小泉首相に絞りつつある様子です。

　そういえば東シナ海ガス田紛争でもその是非は別として、中国は日本の抗議に対して事を荒立てない方向に動きました。そういう空気の中で胡錦涛政権がかくもあからさまな「尖閣上陸」なんて過激なやり方で領土問題を持ち出す訳がありません。

　ただ、「中国民間保釣連合会」のような国内組織なら過去１年余がそうだったように、出港を企てるメンバーを武装警察が港で拘束し有無をいわせず連行、なんて真似ができますが、香港の同様の動きに対しては香港の法律に拠らなければなりませんから、さすがに荒っぽいことはできません。さてどうするのかな……と興味津々で考えていたところです。

　ところが、です。実は香港の連中、購入したボロ船の改修・整備をあろうことか中国本土である広東省・汕尾市でやっていたとは知りませんでした。それじゃ「どうぞ邪魔して下さい」と言わんばかりじゃないですか。orz

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　で、前回速報した通りお約束の展開で実際に邪魔された訳です。これについては香港紙『明報』電子版が改めて報じています。中国人権民運信息中心によると、「保釣二号」は中国本土における登録免許の期限が過ぎたため出港できないとのこと。その申請と船舶安全検査には１カ月を要するかも知れない、とのことです。

　●保釣行動は１カ月後に延期か（『明報』電子版　2006/08/09/19:10）
　http://hk.news.yahoo.com/060809/12/1r4dp.html

　ところが、当の「保釣行動委員会」の柯華・主席が同会のホームページでそれに猛然と反論したのです。

「『保釣二号』の船出が延期となったのは事実だが、『１カ月』になるかどうかはまだ決まっていない」
「『保釣二号』が予定通り香港へ回航できないことは『登録免許』や『船舶安全検査』のいずれとも無関係だ」

　http://forum.diaoyuislands.org/viewtopic.php?t=1704&postdays=0&postorder=asc&start=15

　まあ治安当局に肝心の船を押さえられてしまっているのですから、こう言うのが精一杯なのかも知れません。前回報じた通り、

「現時点で計画取り止めの理由を話すことには差し支えがある」
「しばらくしてからこの件について公に説明する」

　とも柯華は語っていますからね。

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　もうひとつ、実は「官」そのものも地味ながら動いています。香港観光ビザで香港に入境し「保釣二号」に乗船する予定だった中国本土の御同類３匹が中国側の出境手続きで引っかかりアウト。この「保釣ホイホイ」によって今後12日までに十数名が同じ目に遭うことが予想されています。

　http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/060809/5/1vid.html

　……というのが現時点での最新情報です。ただ既報していますが、華僑や台湾人が香港の動きに呼応して台湾から漁船多数で尖閣諸島に向かう、というのが本来の計画でした。香港側が一頓挫したことで、台湾からの行動計画も延期となるのかどうかはまだわかりません。