日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 血湧き肉躍るような話題ではありませんが、官民衝突,特に都市暴動が発生する遠因として、

「生活苦」

 というほどではないにせよ、

「家計のやりくりが難しくなった」

 というイライラが相当浸透していると思いますので、一応チェックしておきます。

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 国家統計局がきのう(6月12日)発表したところによると、今年5月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同期比3.4%に達しました。関係部門では「3%」を警戒ラインとみており、これを突破したこととなります。都市部で3.1%、農村部で3.9%だったとのこと。今年1~5月でみるとCPI上昇率は2.9%です。ただし、

 1月:2.2%
 2月:2.7%
 3月:3.3%
 4月:3.0%
 5月:3.4%

 ……と、3カ月連続で警戒ラインである3%を突破しているほか、5月の上昇率「3.4%」は過去2年で最大の上昇幅。低所得世帯への手当支給といった救済措置の実施を検討あるいは決定している地方政府もあります。

 「上昇率3.4%」といっても都市によって状況は異なるでしょうし、公式統計がこれなら実勢はもっと深刻な筈、という考え方もできるでしょう。例えば広東省では水害の影響で食品価格が平時の2倍に高騰しているということで、香港への野菜などの供給にも影響するのではという見方が出ています。

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 この「上昇率3.4%」も中身をみてやることでかなり印象が変わってきます。過去3年間には、CPI上昇率自体は1%でも、このうち食品価格の上昇率が2ケタ台で文字通り台所を直撃する形となり、年金生活者などが悲鳴をあげるといった事例がままありました。それに起因するデモなども起きています。

 今回はどうかといえば、やはり目立つのは食品価格で、上昇率は8.3%。非食品価格の上昇率が1.0%だったことを考えると、今回も台所直撃型です。この「食品価格」をさらに詳しくみてみると、

 卵類     ↑37.1%
 肉類・加工品 ↑26.5%
 食用油脂   ↑21.4%
 穀物     ↑_5.9%
 水産品    ↑_4.1%
 調味料    ↑_4.1%
 生鮮野菜   ↓_2.3%
 果物     ↓11.2%

 となり、極端なバラつきが目立ちます。

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 この中で目を引くのはやはり卵類の上昇率37.1%でしょう。その理由について香港の親中紙『香港文匯報』は、

「鳥インフルエンザの影響」

 としているのですが、ここまで極端な数字になるものでしょうか。逆に鳥フルが実際にはひどく蔓延しているのを当局が隠蔽しているのではないかと心配になります。

 肉類・加工品の上昇率26.5%も相当なものですが、これは豚肉の高騰による影響が大きいとされています。その理由として飼料の値上がりなど生産コストの上昇と周期的な供給量の減少期に入っているためだそうです。

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 国家発展改革委員会の発表によると、全国36都市の豚肉平均小売価格は6月8日時点で1kg当たり21.32元に達しており、今年4月25日の同17.14元から24.5%も値上がりしています。昨年6月の最安値である同14.58元に比べると6元余り高く、上昇率は実に46.3%。

 豚肉の価格は過去最高値である1997年第一四半期の1kg20.22元を上回って新記録更新中。卵類や牛肉・羊肉も程度の差こそあれ高騰基調で、6月8日時点・全国36都市の平均価格は卵類が同7.7元、牛肉が同22元、羊肉は同22.72元で、前年同期比での上昇率だとそれぞれ51.6%、15.8%、16.5%となります。卵類の値段は去年の5割増しになっている訳で、国家発展改革委員会も、

「短期的には、大幅な価格上昇は低所得層の生活に影響する」

 としています。穀物価格の前年同期比5.9%上昇、水産品価格の同4.1%上昇というのも小幅とはいえ毎日の献立に関わってくるものですから庶民には痛いでしょう。

 主食+おかず類が軒並み値上がりしており、いかに果物が2桁台で値を下げているといっても、所詮はデザートですから痛み止めにはなりません。生鮮野菜は上述したように水害などで地域的なバラつきが相当大きいものと思われます。

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 以上は当局が発表した数字によるものです。現地での感覚はどうなのか、地域ごとにどのくらいブレがあるのか、といったところまではわかりません。現地在住の方で庶民の声を拾える方は是非情報をお寄せ頂ければ、と思います。

 「家計が苦しくなってきた」感がどのくらいあるか、というのは社会の安定感に直接影響しますので、見逃せないところだと思うのです。高騰の目立つ豚肉に対し当局は「秋口には状況が改善されるだろう」としていますが、逆にいえばこの夏いっぱいは高値が続くということです。

 ちなみに国家発展改革委員会は「インフレ懸念はない」としています。

 懸念があろうとなかろうと、現実は比較的深刻な状況のようです。一例として、教育部が全国の大学に対し、

「食品価格の上昇で学生食堂の質が落ちることのないようにせよ」

 との通達を発しています。株踊りのようなインパクトはありませんが、これはこれで弱火でコトコト煮込むような形で効いてくる「火種」といえるでしょう。


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 ●「新華網」(2007/06/12/10:59)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2007-06/12/content_6231007.htm

 ●「新華網」(2007/06/12/17:44)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-06/12/content_6232648.htm

 ●「新華網」(2007/06/12/23:21)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-06/12/content_6233644.htm

 ●『香港文匯報』(2007/06/13)
 http://paper.wenweipo.com/2007/06/13/CH0706130004.htm

 ●『香港文匯報』(2007/06/13)
 http://paper.wenweipo.com/2007/06/13/CH0706130003.htm




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