銀座のバーで、自分や、隣で飲んでいる人の氏素性やら
家庭の事情やらを、話題にしても良いものなのか?
バーでのスタンダードなテーマの一つです。
日常の中で、例えばいきなり営業に来た人とか、
知らない人に何かの目的で、話すことを「強いられる」場合には
もちろんできるだけ情報の提供を、まず求めますよね。
当然です。
けれども銀座のバーは「非日常空間」であり、そこで過ごす時間、
かわす会話は、自分の実際の生活の中に組み込まれることを
前提としません。
むしろ、そこでその時だけを楽しみ、中身の詳細は忘れてしまっても
いいのです。印象的な経験であればいつかふとしたときに、
記憶の底からその部分がよみがえり、大げさに言えば人生に花を添える
こともある、という程度の「お楽しみ」。
その場の空気の流れに身を任せて(たぶん程よく酔って)、
聴くともなく聴き、語るともなく語る、それだけのことです。
知ろうとする、わかろうとする、覚えようとするなど野暮なことです。
そういうわけで、エムズで時を過ごされて
「いや~~今日は楽しかったなあ。影山さん、ありがとうね(^^♪」
と何度か言ってお帰りになった年配の紳士の
お名前も存じ上げずに何年も、ということもままあり。