銀幕大帝α

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タイム・トゥ・ラン

2016年03月22日 20時49分00秒 | 洋画アクション
HEIST
2015年
アメリカ
93分
アクション/犯罪
劇場公開(2016/01/09)



監督:
スコット・マン
『ザ・トーナメント』
出演:
ジェフリー・ディーン・モーガン
ロバート・デ・ニーロ
ケイト・ボスワース
デイヴ・バウティスタ
ジーナ・カラーノ
マーク=ポール・ゴスラー
D・B・スウィーニー
リディア・ハル
タイラー・J・オルソン
モリス・チェスナット




<ストーリー>
裏社会のボスで巨大カジノのオーナー・ポープ。彼の下で働くヴォーンは、重い病を患う娘のためポープに借金を申し出るが断られ、同僚と共に現金強奪を企てる。

-感想-

超掘り出し物キタコレ(゜∀゜)
2016未体験ゾーンの中に傑作現る!

病を患う幼き娘の治療費が払えない雇われカジノディーラー。
妻を亡くし娘からは距離を置かれているカジノの帝王。

この裏社会をも牛耳るボス・ポープが金庫に保管している汚い金を、切羽詰ったカジノディーラーのヴォーンが仲間を掻き集め強奪した事で、殺し屋からも警察からも追われる羽目となる、そんな至ってシンプルなストーリー。

ヴォーン達はバスに逃げ込み運転手を脅しながら高速を暴走させ、その周りをパトカーが併走していく様は傑作アクション映画『スピード』そのものだが、これはあくまでもヴォーンが大事な娘を想っての自身の死は承知した上で危険と隣り合わせの計画を主に描いた事が重要であり、乗客・運転手は決して傷つけないという元軍人としてのプライドと性格の良さも彼に好感を抱かせる意味では登場した時からはっきりとは分からせてくれる。

度々、警察とのやり取りで乗客解放の条件を飲むヴォーンだが、ここに彼だけしか知り得ない秘策有り。

金強奪前の作戦でヴォーンは「俺は金を奪った後はお前らとは別の行動を取る」と言っていたが、この言葉の中にも大切なヒントが隠されている。

ヴォーンには元妻と手術を待つ娘が居る事は序盤で判明していたが、警察の捜査で他に彼には妹が存在する事も確認される。
が、誰もその妹の容姿を知らないってのが、作品ラストで大逆転を生み出すのだ。

仲間のキレやすい態度とは正反対に運転手と乗客全員には誠意を示していたヴォーン。
その優しさが乗客達の心をも動かし、ヴォーンは金の入ったバッグを持って警察の包囲から脱する事に成功するのだが、最後に訪れた場所でポープ達に捕まってしまう。
しかし、これも全部計算の内。
バッグを開いてみるが金が入っていない。
一体、何処に金は消えたのか。
この答えには正直驚いた。
全く読めなかった、推測すらも不可能。
私までもが上手く騙されたというか、ヴォーンの密かに練った計画にまんまと踊らされてしまった感じだった。

金がないと激高するのは当然。
ポープはヴォーンの頭に銃を突き付けるが、しかし娘を心から可愛がる父としての気持ちは同じ。
撃つべきか撃たないでおくべきかの葛藤をするデ・ニーロの表情演技が抜群。
ポープは娘から完全に突き放されてしまった父親としての情けなさを抱いたまま生きている。
けどヴォーンは違う。
長年一緒にカジノで働き信用を寄せていたヴォーンが今自分の目の前で娘の為に命を張って裏切ってまでして我武者羅にやり遂げ様としているのだ。
その熱意に気持ちを動かされたのは目に見えてはっきりとしており、「お前は立派な父親だ」とその場から送り出してあげる場面は不覚にも目頭が熱くなってしまった。
愛する娘を持つ父親同士だからこそ理解できる心情。
裏側では悪行を働いているポープだが、家族を大事に想う父親としての優しさは失ってなかったんだなと、自分が出来なかった事をヴォーンに託したその一方的な情けとは違う温かみに感動しちゃったよ。

これは本当に脚本が秀逸。
デ・ニーロ初め、それぞれの役者の演技も見事。
未体験ゾーンのみで公開されたのが勿体無い程に思える最高の父親奮闘記でした。

評価:★★★★
16/03/22DVD鑑賞(新作)
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2 コメント

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今晩は (morkohsonimap)
2016-03-23 01:58:40
これは拾い物の映画ですよねぇ
ってか、このような映画を普通に上映できないシネコン全盛の日本の興行形態自体が間違ってると思うのですが
でもこういう作品をDVDで見られると言う幸せもあるこの時代にも感謝します
オープニングの手品の種がしっかりとクライマックスで回収されてるのには唸った
脚本がいいですよね
キャスティングもグッドでした。
返信する
>morkohsonimapさんへ (ヒロ之)
2016-03-23 15:32:27
こんにちは!
コメント&TBありがとうございます。

いやはや未体験ゾーン作品の中にこんなにも上質な作品が隠されていようとは思ってもいなくて、嬉しい悲鳴でしたねぇ。
ほんと、これだけの内容のある作品を未体験ゾーンのみでしか公開出来ない日本の配給会社の感性を疑ってしまいますが、レンタルで観れるってのは映画ファン冥利に尽きますよ。
そうですねぇ。
伏線がきちんと回収されているという意味でも、脚本の良さが際立っているように感じました。
これを見逃している人は勿体無いですよ。
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