マンデラの名もなき看守
cast >> Joseph Fiennes, Dennis Haysbert, Diane Kruger, Faith Ndukwana, Shilor Henderson, Tyron Keogh, Megan Smith, Jessica Manuel, Patrick Lyster, Clive Fox, Jennifer Steyn, Andre Jacobs, Danniy Keogh ...
director >>Bille August(117min)《フランス・ドイツ・ベルギー・南アフリカ作品》
soundtrack>>
《あなたに逢って、知った。世界は間違いだらけだと ーーー 》
悪名高い “アパルトヘイト(人種隔離政策)” が行われていた時代の南アフリカ共和国を舞台に、後に南ア初の黒人大統領となるネルソン・マンデラ(← "Malcolm X" に出演 cf. "INVICTUS" )が「27年」にわたる獄中生活で出逢った白人看守との実話を描いた物語 ーーー。原作は、ジェームズ・グレゴリーの手記 "Goodbye Bafana: Nelson Mandela, My Prisoner, My Friend"。すべての人々に等しく “自由” と “権利” を獲得するため闘い続け、2008年7月18日で「90歳」を迎えるマンデラが、初めて自身の人生の映画化を許した記念すべき作品。監督は、ビレ・アウグスト( "Les Miserables" "The House Of The Spirits" )。
1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国 ーーー。黒人差別を「当然のこと」として受け入れていた白人男性のジェームズ・グレゴリー(ジョセフ・ファインズ "Shakespeare In Love" "Killing Me Softly" )は、国内一の刑務所と名高いロベン島に、反政府運動の主謀者ネルソン・マンデラ(デニス・ヘイスバート "Love & Basketball" "Queen" "Waiting To Exhale" "Absolute Power" "24" )担当の看守として抜擢される。マンデラと生まれ故郷が近く、彼らの言葉である「コーサ語」がわかるグレゴリーは、国家公安局のジョルダン少佐(パトリッ ク・リスター)から、秘密の会話や手紙の内容をスパイするよう求められたのだった。しかしマンデラと接しているうちに、グレゴリーは彼が「共産主義の危険なテロリストだ」という “白人の常識” に疑問を抱き始める。危険を冒して禁制品である “自由憲章” を手に入れたグレゴリーは、次第にマンデラの気高い思想に傾倒していく・・・・・。
何より「信憑性」を追求した監督は、南アでありとあらゆる人(元囚人・元刑務官も含む)にインタビューするなど可能な限りのリサーチをし、実際の現場でロケを行った。J・ファインズとD・ヘイスバートは、演じる上で重要な鍵となる “コーサ語” と、南アの伝統文化 “スティック・ファイティング(剣術)” を習得するために特訓、見事に披露している。本作ではもうひとつ、グレゴリーと妻グロリア(ダイアン・クルー ガー "TROY" "National Treasure" )や子供たちとの家族愛も欠かせないのだが、個人的にはそれ以上に、マンデラとグレゴリーが築いた関係とその演技に釘付けになってしまう。このふたりが、実に秀逸。
肌の色や生まれ育ち、
宗教などを理由に生まれつき他者を憎む者などいない。
人は憎しみを学ぶのだ。
憎しみを学ぶことができるなら、
愛することも学べるはずだ。
なぜなら愛は、
人間の本性により自然によりそうものだからだ。
ネルソン・マンデラ ーーー『自由への長い道』
“自由憲章(Freedom Charter)” とは、ネルソン・マンデラが後に議長を務めた "ANC(アフリカ民族会議)" が1955年に採択した、人種差別撤廃を唱えた宣言のこと。・・・観てよかったと、心から思える作品でした。
関連作品 >> "INVICTUS" "Cry Freedom" "GANDHI"
>> Africa - filmography