「熟議」で日本の教育を変える 現役文部科学副大臣の学校改革私論 (教育単行本) | |
鈴木 寛 | |
小学館 |
☆本書は、タイトルがまず謙虚すぎる。本書を読めば、日本の教育を変えるばかりか、日本そのものの知識基盤を変革することになるから、「熟議」で日本を変える、世界を変えるということだろう。
☆この本の内容は、わかりやすいし、水準というかハードルが同時に高い。
☆この熟議のレベルをデフォルト(初期値)として、対話ができるのならば、
☆すずかんさんの言うように、日本は「哲学」で世界に貢献できるだろう。
☆まさに明治維新の思想の原動力を醸成した塾のような存在がたくさんできるのだろう。
☆しかし、なぜ日本の教育を変えると、段階的なタイトルをつけたのだろう。
☆そこにすずかんさんに遠慮させる何かが民主党に働いているということだろう。
☆文科省の副大臣としての立場?それもあるかもしれないが、もっと他の壁・・・。
☆いずれにしても、読むときに注意をしなければならないのは、
☆その制約である。枠組みである。あくまで、国家正義を前提とした経済的自由を保障する
☆国家的リベラリズムであり、市民社会的リベラリズムというか、宮台真司氏的な
☆卓越主義的リベラリズムではないということだ。
☆ましてサンデル教授の語るようなアリストテレス的コミュニタリズムでもないだろう。
☆パーフェクトなリバタリアニズムでもないし、コンサバでもない。
☆あるポジショニングで有効な理論をすずかさんは論じているのだから、
☆ポジショニングを括弧に入れて話そうという前提には、クリティカルシンキングが必要である。
☆ビジネス的には、価値は中立な方がよいから、括弧に入れるというより、マスクをかけようということになるか。
☆何でもよいから新しいことをやって儲けようよという発想もありだからだ。
☆しかし、はっきり言えることは、ここから熟議を本当にスタートできるとしたら、
☆福沢諭吉がずっと懸念していた、議論のできない日本人の壁を、
☆100年以上経って、やっと崩せるのである。
☆2回の戦争で、すっかり明治維新当時の精神を忘却してきたわたしたちではあるけれど、
☆竜馬人気に便乗して、その続きをやろうではないかということのようである。