減る人も 増える子もなく 晦日蕎麦
92歳の義母もつつがなく、子らも結婚することなく家族の人数は相変わらずだ。
これで良いのだろうかと思いながら蕎麦をすする。
減る人も 増える子もなく 晦日蕎麦
92歳の義母もつつがなく、子らも結婚することなく家族の人数は相変わらずだ。
これで良いのだろうかと思いながら蕎麦をすする。
数の子の 薄皮取れず 霧の夜
数の子は新年の季語らしい。
薄皮を剥いている今は年の暮れだから、新年の季語とは不本意だ。
水は冷たくきれいに剥がれず、イライラが募る。
リビングからお笑いの声がする。
冬枯れの 羊歯粉々に 手から落つ
緑を保った羊歯に触った途端、粉々に散った。
ドライフラワーをうっかり触ると、取り返しがつかないことがある。
街路樹を 身ぐるみ剥いで 空っ風
電車が止まるほどの強風だった。
歩道に積もっていた枯葉が、一斉に車道を流れて行った。
風下にあるマンションの駐車場が枯葉に埋もれていた。