超級龍熱

香港功夫映画と共に

“舞拳六式”炸裂!陳元龍(即:成龍)武術指導、アンジェラ・マオ主演『舞拳』

2008-02-08 01:11:30 | 作品レビュー
一昨日はエスピーオーさん配給による韓国コメディー映画で、キム・サンチャン&キム・ヒョンス導演作品『覆面ダルホ~演歌の花道』の試写に行ってきました。いやこれがまたメチャに良かったんですよぉぉ!
もう早くも今年のベスト3に入るかも。チャ・テヒョン演じるロック歌手志望の青年ダルホが、ひょんな事からトロット(韓国の演歌)歌手にさせられるんですが、いざ全国TV放送デビューの際にどうしてもトロットを歌うのが嫌なダルホは何と覆面を被って歌ってしまうんです。ところがこの“覆面歌手”が大ウケしてしまって(苦笑)、ダルホは一躍大スターになるんですが、何時の間にかロック歌手を目指していた頃の純真さを失っていたダルホからは、愛する恋人も友人も離れていってしまいます。
そして歌謡界の一大イベントである歌謡大賞のステージに立ったダルホは、“覆面歌手”としての成功の代償として自分が大切な物を失いそうになっている事にようやく気ずき、ある決意をします・・!そのダルホの決意とは!?
このクライマックスでのダルホの熱唱シーンは、余りにも感動的でもう観ていて涙が止まりませんでした(号泣!)。
とにかく主演のチェ・テヒョンが最高にナイスです。
この『覆面ダルホ~』は3月からシネマート六本木で開催される「韓流シネマ・フェスティバル/2008春」にて上映されますので、是非!

さて、今日は昨年にアンジェラ・マオにこの作品の事を訊いてから是非観直してみたかった陳誌華導演、そしてアンジェラ・マオこと茅瑛主演『舞拳』(79or80)を観てみました。
以前にも言ったかと思いますが、この映画はジャッキー・チェンこと成龍が武術指導(製作当時ジャッキーがアンジェラに殺陣を付けている写真が何枚も残っていますね)を担当している事もあって、私がアンジェラにインタビューする事が決まった前後辺りに、何人ものジャッキー信者の知り合いたちから「絶対にアンジェラに『舞拳』の事を訊いて下さい!」と頼まれていました。
で、まずオープニングでアンジェラ演じる主人公・飛飛がバックセットで披露する素晴らしい演武シーン、アンジェラ本人によるとこのオープニングのアンジェラの演武シークエンスは全てジャッキーが武術指導しているそうです。
改めて映画の主演女優であるアンジェラのその証言を訊いた上でこのオープニングを観直してみると・・何かジャッキー信者ならずとも感動してしまいますね。
まあ当時のジャッキーは既に『蛇拳』や『酔拳』で武打星としてブレイクした前後だと思いますが、この『舞拳』の導演がジャッキーの長年の盟友である陳誌華であった事から本作の武師としてジャッキーが呼ばれたのでは、とアンジェラは語っていました。
ただ注目なのはこの『舞拳』にはジャッキーの他にも、パン・ガンを始め王恒、孫祥、趙興と4人が武師助理として付いていたので、『舞拳』全ての武打シーンをジャッキーが付けていたとは決して限らないかと思います。
物語的には飛飛、そして許不了&王太郎の乞食武道家たちがチョン・プイ扮する男性を助けた事から、チョン・プイたちと悪の武道家・馬撥春(撥の字異なります。馬を演じるは嘉凱!私の大のお気に入りの武打星です)と馬の弟子の水長流(演じるは孫榮吉!こりゃまたマニア号泣のキャスティング!)らとの五形門を巡る抗争に飛飛たちが巻き込まれていく、という展開です。
許不了と王太郎の2人が飛飛に自分たちのそれぞれの武術を教え、飛飛が敵と闘う際に2人の教えた武術の技を飛飛がどれだけ多く使うかを数えながら王太郎らが一喜一憂する辺りが可笑しいんですが、やはり映画の一番の見せ場はクライマックスにおける古いお堂の前で展開される飛飛と馬撥春&水長流の激しいクンフーファイトでしょう。
飛飛が1人練武しているところに悠然と姿を見せた悪の師弟コンビは、まずは師である馬の飛飛に対する挑発で闘いの火蓋が切られます。

馬「フン!何だそれは?まるで踊りだな?」
飛飛「そうよ、いまちょうど踊りの相手を探していたところよ!」
馬「何だとぉ!?」
長流「師父!だったら俺がコイツの相手をしてやりまさぁぁ!」

ここでのアンジェラvs孫榮吉の対決に始まり、続くアンジェラvs嘉凱の一騎打ちは約17分にも及ぶ壮絶なクンフー・ファイトとなりますが、明らかにこのファイト・シーンはこの映画の他のファイト・シーンと比べても武打シーン自体の質やボルテージが格段に上がっている事から、ジャッキーがこのファイト・シーンの武師を務めている事は明白でしょう。飛飛の合掌殺法に苦戦する弟子に馬は「長流!顛馬三式だ!」と指示を飛ばしますが、哀れ水長流は飛飛に惨敗!激怒した馬撥春は己の得意とする秘拳“顛馬拳”を駆使して飛飛に襲いかかります!
ここからは飛飛が駆けつけた許不了と王太郎が奏でる音楽に乗り得意の“舞拳六式”で馬相手に逆襲に転じ、最後は飛飛オリジナルの秘拳“醜人多作怪”で馬撥春を打ち倒して劇終です。
既にお判りのようにこのアンジェラ主演作『舞拳』は、ジャッキーの出世作の1本である『酔拳』をモチーフとしていて、“酔拳(酒を飲んで闘う)”が“舞拳(音楽の旋律に乗って闘う)”として置き換えられ、劇中での闘いにおける重要なキーポイントとして使用されています。だからこそのジャッキー・チェンの武術指導だったわけです。
そう言えば、アンジェラはこの『舞拳』を自分の好きな作品のベスト3にも入れていましたね。
あとこの『舞拳』で奇天烈な五形拳の使い手としてアンジェラと2度に渡って闘うディーン・セキこと石天ですが、確か私とアンジェラとのインタビューでは『破戒』(77)のパートで石天についてアンジェラに訊いていますので、DVDが発売の際にはそちらも是非ご覧になってみて下さい。

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