超級龍熱

香港功夫映画と共に

邵氏兄弟電影黄金時代 ① 幻の“実験陽剛片”、王羽主演「虎俠殲仇」

2017-01-10 09:57:41 | 邵氏兄弟電影黄金時代
さて、始まりました「邵氏兄弟電影黄金時代」第1回です。
2000年前後に天映娯楽社が約760本に及ぶ邵氏片のDVD&VCDリリースを開始した時点で、私は恐らくブートで約350本以上の邵氏片を観ていました。
それでもその時点で観たくても観れなかった邵氏片が何本かあり、それらが天映娯楽社から高画質でリリースされた時は本当に感激したのと同時に「いや~本当に良い時代になったなぁ!」と実感したわけです。
例えば「太極拳」(74)、「黄飛鴻義取丁財砲」(74)、「飛龍斬」(76)、「油鬼子」(76)、「黒蜥蜴」(81)らは私が海外の凄腕コレクターと邵氏片を頻繁にトレードしていた時代でも誰も持ってないし観ていない作品で、これらがアッサリと高画質のDVDで観れたのは逆に私も拍子抜けするほどの衝撃だったわけです。
ただ天映娯楽社は760本の邵氏片の殆どをリマスターし終わってはいましたが、諸事情で最後までDVD&VCDで発売しなかった作品もありました。
それらが日本人監督の山内鉄也が邵氏公司に招かれて撮った「梅山收七怪」(73)や邵氏が台湾の配給権を持っていた日本劇場公開作品「子連れドラゴン女人拳」(74)などで、これら未発売作品も最終的には大陸などでネット配信の形で公開され、邵氏片信者を号泣させたわけです。
ところが、現時点で未だにソフトでも未発売、ネットでも配信されず、それどころか現地の映画祭などでも上映されない“幻の邵氏片”が1本だけ存在するのです。
それが“陽剛導演”張徹が監督し、王羽が主演した「虎俠殲仇」(66)です。この「虎俠殲仇」は当時まだ張徹が翌年に発表する「獨臂刀」(67)で“陽剛”路線を確立する以前に様々な形で実験を試みている作品だそうで、何とモノクロで撮影されています。
それが証拠に当時の「虎俠殲仇」の広告を見ると、まだ女優の杜娟の扱いが男優の王羽よりも大きく、監督の張徹自身に男優を女優よりも全面に押し出す事に迷いが見られるのが判ります。
恐らくは王羽が正義漢で、羅烈が反派(悪役)だと思いますが、他にも前述の2人と同期の鄭雷も出演していて、劇中のアクションは激しい暴力描写が含まれているそうです。
私、龍熱はここに強く言いたい。この「虎俠殲仇」を観ない限りは邵氏電影をコンプリートした事にはならないのだ!と。
実はこの「虎俠殲仇」の貴重なプリントを香港電影資料館が所有しています。是非とも同館には今後「虎俠殲仇」の何らかの形での一般公開を決断してくれる事を強く強く願う次第です。
そう、香港映画の原点にして“最強無敵影城”は嘉禾影業にあらず、邵氏兄弟公司にあり!!
「邵氏兄弟電影黄金時代」、次回もどうぞお楽しみに!!
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