木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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デザインを切り込み隊長に

2006年07月25日 | デザイナーとの付き合い方(相談室)
◆デザインを切り込み隊長に ≪中小企業とデザイン4≫
33:【デザイン相談室】考え方12


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

 記事の目次
 デザイン相談室の目次    デザインの考え方と運用について
 デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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デザインを「コア・コンピタンス」に

今月は3回続けて、中小企業とデザインについて話してきました。

 デザインはどこまで必要か?
 老舗として生きる
 コア・コンピタンス

 今回は、もっと具体的なデザインの利用方法をお知らせします。

 かっこよく言えば、デザインを「コア・コンピタンス」とした企業の例です。

 上のように書くと大変かっこいいですが、そんなに難しい話ではありません。

 その企業は、20人弱の企画提案型の玩具商社です。社内で企画したアイデアを顧客に提案し、採用されたら、中国の協力工場に設計・生産させて、輸入販売をするという会社です。

 付き合っている顧客が、業界大手で、基本的には受注発注で、在庫リスクを負わずに商売ができるため、安定的に運営できているようです。

 この会社の特徴(コア・コンピタンス)は、「デザインの提案力」です。20名弱の企業に5~6名のデザイナーを抱えています。普通の考え方であれば、デザイナーは間接業務になるため、そんなに多く抱えることはできません。

 しかし、この会社は、お客様からの要望を常に営業が聞き取り、頼まれれば、10枚程度のスケッチを翌日までに届けて、受注に結びつけるという形で仕事をしています。スケッチ(=デザインの提案力)が最大の営業ツールになっていると言うわけです。

 顧客からすれば、なんらかの要望を出せば、翌日までにアイデアを10数枚のスケッチにして持ってきてくれるわけですから、こんなに便利なことはないでしょう。

 相手が大企業で紳士的なため、その中のアイデアが採用されれば、当然、発注はその会社にする、という暗黙の了解があるお陰で成り立つ手法のため、危うい面もありますが(アイデアを盗まれるかもしれない)、中小企業が「デザイン」を武器にして、営業に役立てている一例です。

 この会社は、大手顧客のルートセールスの営業ツールに「スケッチ」を使っているわけですが、その大手顧客を獲得するためにも、上手く利用しているそうです。


デザインを切り込み隊長に

 小さな会社が、コネのない状態から大手企業に口座を開くのはなかなかたいへんなことです。

 そこで、最初は企画会社として、顧客の企画部に出入りします。企画関係の外注業者は、メーカーに較べると規模の小さなところが多く、参入の障壁はそんなに高くありません。そうやって、顧客の企画部門、生産の上流工程に、「デザイン」を武器に入っていきます。

 企画部門に対しても、上と同じく、常に顧客の要望を汲んだスケッチを提案します。この場合は、スケッチが最終成果物ですから、企画部からスケッチ代をいただきます。営業しながら、お金も入るわけです。

 企画会社として、スケッチを出し続け、顧客の企画部と懇意になり、半年から1年経ったころに、

 「実は、弊社は、製品の製造もできます。仕入れの方を紹介していただけないでしょうか?製造までさせていただければ、スケッチ代金はいただきません。」

 と、お願いする。すると、顧客の仕入部門も、社内からの紹介で、なおかつ、デザイン提案もしてくれるということであれば、一度付き合ってみようかと、口座を作ってくれる、というわけです。

 時間はかかりますが、デザインを切り込み隊長にして、大手企業を獲得することもできるという、いい例だと思います。


 中小企業にとっての「デザインの効果」の話、如何でしたでしょうか?

 もし、デザインの導入を検討されているのであれば、あまり悩まずに、デザイナーに声をかけてみてください。きっと、何かが始まります。

 御相談がありましたら、このブログにコメントをください。出来る限りお答えいたします。


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