この勘違いばーさんをどうにかしないと、と思っている人は多いと思うけど、またやらかした。
自民党候補に、防衛省、自衛隊としてもお願いしたい、と支援を訴えたそうだ。
稲田朋美防衛相は27日、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補の集会に出席し、「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支援を訴えた。自衛隊を政治利用したともとれる発言に野党は一斉に反発し、稲田氏は同日深夜、発言を撤回した。
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20170628/ddm/001/010/181000c
で、発言を撤回したといっても、どこが間違っていたのかを認識させないまま放置しちゃったらダメでしょう、これ。
しかも、毎日の記事もだらしないのは、「利用したともとれる発言」じゃなくて、利用した行為でしょう、既にそこで支援を訴えているんだから。
さすがに、あの国会をぶち壊しにした、へのへのもへじみたいな顔をした自衛隊出身の参議院議員もちょっとした苦言みたいなツィートをしていた。ダメージコントロールでしょう。
■ 岩盤を壊すための工作ツール
この稲田さんって、自衛隊という戦後日本がいろいろいろいろ工夫しながら持ってきた組織を破壊しようとしているんだろうな、とか思ってしまう。
だからこそこういうパーで、どこにも尊敬される余地のない人をトップに付けるんだろうと思う。率直にいって、金とトークしかないおばさんでしょ。
で、あらゆる組織がそうであるように、こういう外部からのパーが付けば、組織は、共に緊張をシェアしようという発想を失う。そうすれば、後に残るのは金と地位だけで動くようなだらけた組織となる。企業ならこれでは潰れる、という危機感が組織改革を後押しするが、公の組織にはそれはない。それはないからこそ、様々な監査機構が用意され、また、それ以外の一般市民の目と見解を議員を通じて表す、ってな仕組みになっている。が、軍というのはそれが届きにくい。届きにくいからこそ自律的で、強い自己抑制が求められる、というものだと思う。
そこにこういうパーが来るとどうなるかって話。
さらに、自衛隊の場合は、戦後様々なことを考えながら組織を作ってきたと思うわけですよ。表面的には大声ではいわないけど、戦史研究などを通じて、戦前の軍の間違いやら弱点を研究してきた。で、そこから出て来た知見によって、ここまで、ともあれ自律的で抑制的な組織になっていたのだろうと思う。防衛官僚の人たちが抑制を代表しているとしても、いわゆる制服組がまったくそうでないって話ではないでしょう。
この様子は、逆にいえば、外からは使いにくいかもしれないとも言えますね。
だからこそ壊しているのだろう、というのが私の考えです。だからこその稲田朋美なのだろう、と。
失敗を重ねたからこそ自制的だった集合体を、そうじゃないんです、大日本帝国は素晴らしい、私たちは何も間違っていなかった、戦争はすべきなんです、といったモードで壊しているわけね。
バカ女に釣られる人は少ないと思いたいが、おそらくそんなことはないだろうと思う。
今の世代は岩盤の中に込められた密かな「自省」によって抑制していたわけだが、現在の歴史教育では「自省」の部分が失われるわけだから、次の世代までその抑制が優勢であるとは限らない。
実に実に、大変なことをしていると私は思ってるんですよね。
ある種、この人は工作員なんじゃないのかと言いたいぐらい。国軍フェチの私から言えば、もはやこの工作員をどうやって無効化するか緊急対応が必要だという感じがひしひしって感じよ。
■ シビリアンが目覚めればいいんでないの
論理的に考えれば、密かにやっていた自省の部分を大っぴらにしていくことで、大日本帝国は素晴らしくもなかったし、軍の行動はまったく褒められたものではない、ということをプライマリーに作動させることによって、外部環境(つまり私たち)が抑制する、という形にすればいいんじゃないの。
そう、実のところ、軍にとって外部環境たる私たち、あるいはシビリアン、政治という側が、かなり迂闊でいい加減な、戦前のプロパガンダめいた半分インチキな歴史をひきずっていたために、本当のところを見ないと話しにならないこれら軍組織の中枢みたいなところが本当のところを密かに自省していた、とも言えると思う。
このように回復できない場合は、まぁなんてか、歯止めはないわなぁってことになる。
■ 帝国日本のサブカル化
で、シビリアンが真面目に考えようとするのを妨害するのが、神国日本みたいな、妙に軽いトンデモ系の論調か。
で、だからこそ、一方で、大日本帝国は立派だった、日本はこのままでいい、このままで世界から信頼され、尊敬され、みんな日本になりたいのだ、こんな日本が誇らしい、南京事件は捏造だ、朝鮮人虐殺はなかった、ノモンハンは勝っていた、世界最強の陸軍、海軍、神国日本は本当だ、等々といったトークがこれでもかと溢れかえっているということじゃなかろうか。1930年代の自画自賛の系譜というのは歴史資料にあるのに、多くの人は気づかない。
日本ガラパゴス化完遂法案
こうやってなんだかそんなに悪いものでもないでしょ、みたいな軽いノリにすることで、帝国日本が持っていた問題を考えることをジョーク化していく。
自衛隊のエンブレムが冗談みたいなものになったのもこの流れだと思う。
■ オマケ
法律的な議論をまとめてくださった渡辺弁護士の記事。こういう趣旨をまっさきに伝えられないマスコミが、今度もまた日本を壊してるなぁとしみじみ思いますよ。またあんたらか、みたいな。
安倍首相は稲田防衛大臣を即刻罷免せよ(三ヶ月ぶり二度目)
https://news.yahoo.co.jp/byline/watanabeteruhito/20170628-00072652/
略
筆者はすでに、教育勅語礼賛、南スーダンPKOの日報隠ぺい問題との関係で「稲田防衛大臣を即刻罷免すべきである」という論考を書いていますが、これで、三つ目の罷免事由(公選法違反の疑い)、四つ目の罷免事由(防衛大臣が自衛隊の政治的中立性に疑念を生じさせた)が発生しました。安倍首相はまだ稲田氏を庇う気でしょうか。安倍首相は4アウトの稲田防衛大臣を即刻罷免すべきでしょう。
おっしゃる通りだと思う。自民党は、野党の追及を受けて、稲田を公職選挙法違反である可能性が強いという趣旨から、首にするという態度がもっとも合理的な解決方法だと思う。
誤解を招く発言、とか、選挙に影響がということじゃなくて、公職選挙法違反は既に起こった行為なんですよ。言葉が過ぎたとかいう話じゃなくて。
また、自衛隊を自民党の私党のように扱うその態度も問題視されるべき。これは公務員は全体の奉仕者という憲法の話から追いかけることもできるだろうし、正しい道はそこだろうが、私はそれ以上にこの政権の思想が見え隠れすることもこの際適切に追いかけるべきだと思う。
そう。そもそも、生長の家の信者さんで、関西右翼の大物活動家の父の影響の下に政治家になった人物を防衛大臣につけているというこの事態は実に危ういのに主要メディアは口を拭ってきた。偽のではなく、ホントの歴史を見ていないことが招来した事態だと思う。
でも多分、日本は何もできない。そして、それが日本の評価となるだろうと私はみちょります。
この人、怒りを通り越して、さぁ、次などんな事をしでかしてくれるか、もう楽しみでもあります。
もうこうなると、この人、実は野党が自民党を内側から崩壊させるために送り込んだ実に有能な工作員なんじゃないかと思えてくるわ。