かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠206(中国)

2017年09月13日 | 短歌一首鑑賞

馬場あき子の旅の歌27(2010年4月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)170頁
    参加者:K・I、N・I、Y・I、K・T、T・S、曽我亮子、F・H、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子
     司会とまとめ:鹿取 未放

206 敦煌は棉摘みごろの驢馬の脚ゆきてはるばるまた戻りくる

         (レポート)
 天山北路から敦煌に至る車窓からの景であろうか。棉を摘み、糸を紡ぎ手車で布を織っている少女達の映像が浮かんでくる。季節は夏の終わり頃か、肥沃ではないこの土地に人は畑を耕し少しの牧草をたよりに馬や羊を放牧して暮らしを立てている。肥えてはいない驢馬、働いているその脚に着目した。人間にむち打たれながら広大な土地を遠くへ遠くへと進んでいってまた戻ってくる。
棉の収穫時の風物詩である。四句め、五句めのひらかなの表記が荒漠とした感じを叙情詩のように飛翔させている。(藤本)


     (まとめ)
 摘んだ大量の棉を運んでいる場面で、驢馬の脚に焦点をあてたところが面白い。畑から集荷場まで運ぶのであろうか。映像で見る驢馬車は労働者が摘む山のような棉を運ぶには小さすぎるようだ。よって遠い集荷場まで驢馬の細い脚が何度も何度も往復するのである。歌謡調のリズムがその過酷な労働を労っているようでやさしい。(鹿取)




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