かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠 149(スペイン)

2014年03月11日 | 短歌一首鑑賞
   【西班牙 3 オリーブ】『青い夜のことば』(1999年刊)P63
                 参加者:F・I、N・I、T・K、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
                 レポーター:N・I
                   まとめ:鹿取未放


105 燕だらけのトレドの小路昼深く青きオリーブに塩は凝れり

      (まとめ)(2008年10月)
 昼深いというから土地の人々はシェスタの最中なのかも知れない。そんな静まりかえったトレドの狭い小路を多くの燕が我が物顔に飛び交っている風景。そこまではよいが、下の句の解釈に迷った。歌は屋外の情景のように思えるから、レストランのテーブルの上に乗った料理のオリーブとは考えにくい。では、この青きオリーブはどこにあり、どのような状態なのか。
 ①は屋外にあるオリーブの樹、そこに燕の糞が白くこびりついている状態を「塩は凝れり」と少し婉曲に詠んだ。②は「オリーブを納めたる壺」と次の歌に出てくるので、オリーブ漬けの壺の上部に「塩は凝れり」という状態なのか。この場合は窓の内側にある壺が見えたのか?逆に屋外にあったとして、蓋が開いている状態で防犯上など平気なのか。さらに内外いずれにあっても、塩は凝っている状態になっているのに、オリーブは青さを保っていられるのか?など疑問点が多い。(鹿取)
   


     (レポート)(2008年10月)
 トレドはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三つの文化が混在する旧都。燕だらけという描写により昼なお暗い路地に燕のフンの白さが、また新鮮な青オリーブを食用にするため塩でまぶされている。塩の白さも清潔ではないと読者に連想されるのではないでしょうか。複雑感を出していると思います。(N・I)
                             

      (発言)(2008年10月)
★レポートの2行目、「燕のフンの白さが」はどこに繋がっているのですか?述語がないように思
 いますが。(鹿取)
★すみません、「目立つ」とでも追加してください。(N・I)