かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠 94(韓国)

2013年12月27日 | 短歌の鑑賞
【発光 武寧王陵にて】『南島』(1991年刊)P95
               参加者:K・I、崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
               レポーター:崎尾廣子
               司会と記録:鹿取 未放


433 公州に百済の宝みてあれば倭の土器のうたげさびしも

(レポート)(13年12月)
 公州地方には熊津時代を中心に膨大な古墳が分布する。(韓国の古代遺跡 中央公論社)出土品の数々を見た後の感慨深さが下の句から伝わってくる。「さびしも」からは土器への愛着も感じ取れる。上の句が下の句を、下の句が上の句をそれぞれに生かしあい歌に奥行きが生まれている。


(記録)(13年12月)
 ★ぴかぴかだけがいいわけじゃない。土器はしっとり、どっしりとして。(曽我)
 ★倭の土器の話ですけど、縄文式土器のようなものは日本で初めて造られたって言われているの
  ね。火山国だから土が噴火で焼かれるのを見て造り始めたって。(慧子)
 ★日本の土器は、それでも大陸や朝鮮半島の影響を受けているようですけど、ここではそういう
  歴史ではなくて、目の前の宝を見ながら、往事の日本では素朴な土器で宴をしていたんだろう
  な、とその後進性に感慨を覚えている。貴族達でさえ素朴な土器で宴会をしていたんだろうと、
  日本の国そのものが貧しかった時代に思いを馳せている。まして半島に派遣された役人達はき
  らびやかな金属器などを見てしまって彼我の違いにわびしさを感じただろう、そんな往事の
   日本人を思いやっているのかもしれない。(鹿取)